
スマホ決済とポイントサービスの関係とは?これまでの歴史をご紹介!
近年、幅広い業界・業種でスマホ決済(PayPay・d払い・楽天ペイなど、QRコードやバーコードを用いて決済を行うサービス)が普及しています。多くのスマホ決済では利用金額に応じてポイントが貯まるため、消費者にとってポイントサービスが身近な存在になりました。
本記事では、これまでのスマホ決済とポイントサービスの歴史的な展開をご紹介します。現時点における各種スマホ決済とポイントサービスの状況も分析しますので、ポイント施策を担当している方は、ぜひ参考にしてみてください。
<この記事のポイント>
ポイント1 スマホ(コード)決済サービスとポイントサービスには深い関係がある
- ポイント2 多くのスマホ決済サービスでは、利用金額に応じてポイントが貯まる
- ポイント3 スマホ決済サービスの動向を踏まえて、ポイント施策を立案しよう!
目次[非表示]
スマホ決済サービスとは?
スマホ決済サービスとは、「専用アプリをインストールしたスマートフォン端末」および「QRコードまたはバーコード」を用いて、ショッピングの支払いを実行するサービスです。以下に示すように、2種類の方式があります。
- CPM(Consumer Presented Mode)方式:顧客のスマホ画面に表示されたQRコード・バーコードを、店舗側が読み取る方式
- MPM(Merchant Presented Mode)方式:店舗側が提示するQRコード・バーコードを、顧客がスマホのカメラで読み取る方式
コンビニエンスストアやスーパーなどでは前者の方式が主流ですが、個人経営の飲食店やイベント会場などでは後者の方式も散見されます。
スマホ決済サービスの歴史およびポイントサービスとの関係
スマホ決済サービスの歴史は、ポイントサービスと切り離せない関係にあります。以下、日本におけるスマホ決済サービスの先駆けである「LINE Pay」が登場してから現在に至るまでの歴史を振り返りつつ、ポイントサービスとの関係を整理します。
2014年にリリースされた「LINE Pay」がスマホ決済サービスの先駆け
日本におけるスマホ決済サービスの先駆けは、2014年12月にリリースされた「LINE Pay」です。そして、2018年には、「PayPay」や「d払い」など、さまざまなスマホ決済サービスが開始されています。競争が激化する中、多くのスマホ決済サービス事業者は、「ポイントサービス」「割引クーポンの配布」など、利用者を増やすために多種多様な施策を打ち出しました。
日本政府は、キャッシュレス化推進などを目的として2019年10月から2020年6月にかけて「キャッシュレス・ポイント還元事業」を実施したほか、2022年1月から2023年9月にかけては「マイナポイント事業」も実施。スマホ決済サービスで貯まるポイントも、施策の対象とされました。これらのポイント付与事業の効果もあり、スマホ決済サービスに対応する店舗が増加しています。
QRコードの統一規格「JPQR」が策定される
上述した「MPM方式(店舗のレジ・座席などに掲示されているQRコードを、顧客がスマホのカメラで読み取る方式)」を採用している店舗においては、スマホ決済サービスごとにQRコードを掲示しなければなりません。複数のQRコードが掲示されていると、消費者側としては、目的のQRコードを探すのに手間がかかります。
このような状況を改善するために、一般社団法人キャッシュレス推進協議会によってQRコードの統一規格「JPQR」が策定され、2019年8月に1万2,000店舗で導入されました。JPQRを活用すれば、1枚のQRコードで複数のスマホ決済サービスに対応することが可能です。
なお、JPQRの詳細について知りたい場合は、以下の記事をご覧ください。
ポイントサービスを実施するなら把握するべき!QRコード決済の統一規格「JPQR」
民間企業に加えて公的機関もスマホ決済サービスを活用する時代が到来
2024年5月時点においては、民間企業に加えて、数多くの公的機関でもスマホ決済サービスが活用されています。以下は、公的機関のスマホ決済サービスの活用事例です。
- 国税庁(税務署):国税(所得税など)の納付手段
- 日本年金機構:国民年金保険料の納付手段
- 自治体:地方税・国民健康保険料・水道料金などの納付手段
基本的に、納税に関してはポイント付与の対象外とされています(クレジットカードでスマホ決済サービスの残高をチャージした場合は、チャージ分のポイント還元を受けることは可能)。詳細は、国税庁や日本年金機構、自治体、決済サービス事業者の公式サイトでご確認ください。
主要スマホ決済サービスのポイントサービスの現状
ここからは、主要スマホ決済サービス(au PAY、d払い、LINE Pay、PayPay、メルペイ、楽天ペイ)のポイントサービスの現状をご紹介します。なお、ここでは概要として簡素にご紹介しますが、それぞれのサービスについてより詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
【2023年最新】大手スマートフォン決済サービスのポイント白書
au PAY
au PAYでは、通常、コード決済200円(税込)につき1ポイントのPontaポイントが付与され、獲得したポイントを支払いで利用できます(1ポイント=1円の価値)。
なお、Ponta会員IDは、リクルートIDおよびau IDと連携することが可能です。Pontaカード・リクルートID・au IDで獲得したPontaポイントが集約されることで、「Pontaポイント経済圏」と表現されるエコシステムが成立し、au PAYの利用促進に役立っています。
d払い
d払いでは、通常、コード決済200円(税込)につき1ポイントのdポイントが付与されます。獲得したdポイントは、実店舗やオンラインショップにおける支払いで、1ポイント=1円の価値で利用することが可能です。
2024年4月には、国内最大級のECモールであるAmazonとの協業をスタートしました。Amazonのアカウントと連携すれば、Amazonにおけるショッピングで購入金額の1%分のdポイントが貯まります(5,000円(税込)以上購入した場合で、1決済あたりのポイント付与上限は100ポイント)。Amazonとの連携を契機に、今後、スマホ決済サービスにおけるdポイントの存在感が増していくかもしれません。
LINE Pay
LINE Payでは、「Visa LINE Payクレジットカード(P+)」を登録したうえでコード決済を行うと、支払金額の5%分のLINEポイントが付与されます(月に500ポイントが上限)。貯まったLINEポイントは、1ポイント=1円の価値で利用可能です。
なお、2023年10月1日にLINE Payを運営するLINE株式会社と、PayPayを運営するヤフー株式会社が統合され、「LINEヤフー株式会社」が誕生し、2024年6月13日には、日本国内におけ るLINE Payのサービスが2025年4月30日までに終了することが発表されました。時期は未定で すが、LINE Pay残高をPayPay残高に移行する機能が提供される予定です。
LINE Payに関してより詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
ヤフーとLINEが統合!PayPayポイントで、共通ポイント業界に変化が起こる?
PayPay
PayPayでは、通常、決済金額の0.5%分のPayPayポイントを獲得することが可能です。さらに、条件を満たすことで付与率が2%まで上昇する「PayPayステップ」と呼ばれる仕組みも用意されています。獲得したPayPayポイントは、1ポイント=1円の価値で買い物で利用できます。
ECモールのYahoo!ショッピングでも、PayPayを利用することが可能で、通常よりもポイント付与率が増加するのでお得です(付与率が最大1.5%上乗せ)。LINEヤフー株式会社が展開する経済圏への既存顧客の囲い込み、および、新規顧客の獲得につながっているものと考えられます。
メルペイ
フリマアプリ「メルカリ」を通して利用できるメルペイでは、ほかのスマホ決済サービスと異なり、コード決済を利用した際にポイントが付与されません。
メルペイで使用される「メルカリポイント」は、基本的にはフリマアプリ「メルカリ」の売上金で購入する仕組みです。また、各種キャンペーンでも付与されます。購入・獲得したメルカリポイントは、1ポイント=1円の価値でショッピングで利用できます。
メルペイのポイント施策は、メルカリ利用者に対して「より多くのアイテムを出品して売上増を実現しよう」「たまったポイントで取引をしよう」という気持ちを湧き起こし、取引の活発化につながるでしょう。
楽天ペイ
楽天ペイでは、コード決済で支払った際に、決済金額の1%または1.5%分の楽天ポイントが付与されます(楽天ペイの残高にチャージしたうえで支払った場合は1.5%、楽天銀行口座や楽天カードから自動的に引き落とされる方法の場合は1%)。
貯まった楽天ポイントは、1ポイント=1円の価値で、ECモール「楽天市場」や楽天グループ以外の実店舗で利用可能です。
楽天ペイのポイント施策は、楽天経済圏(楽天市場・楽天モバイル・楽天銀行・楽天証券など、楽天ポイントがたまるサービスを中心としたシステム)の拡大に寄与するでしょう。
スマホ決済サービスの動向を踏まえて、ポイント施策を立案しよう
スマホ決済サービスでは、各グループの経済圏・サービスの拡大につながるようにさまざまな施策を実施しています。そのため、スマホ決済サービスやポイントを導入する際には、「経済圏」を意識して選定する姿勢が求められます。
例えば、商品を「楽天市場」にも出品しているのであれば、楽天ペイ(および楽天ポイント)に対応するといった考え方です。そうすることで、顧客が実店舗で商品を購入した際に付与されたポイントを使って、楽天市場でも別の商品を購入してくれるかもしれません。
まとめ
スマホ決済サービスとポイントサービスには、密接不可分な関係があります。「どの経済圏・ポイントサービスと関わりを持つべきか」という観点・切り口で、自社・自店舗が導入するスマホ決済サービスを選定しましょう。
ところで、自社・自店舗の独自ポイントも併用する場合は、他社ポイント(共通ポイントなど)への交換が可能な仕組み(ポイント交換サービス)も用意するほうが、消費者にとっての魅力が増します。
例えば、ジー・プランのポイント交換ソリューション「ポイント・コンセント」や「PCT LITE」なら、自社ポイントから共通ポイントなどへの交換や、他社ポイントの直接発行が可能になります。既存顧客の囲い込みや新規顧客の獲得に役立つので、導入することも選択肢のひとつとして検討してみてはいかがでしょうか。
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