【初心者向け】ロイヤルティマーケティングとは?重要な理由やメリット、具体的な進め方をご紹介!
国内人口が減少する昨今、「新規顧客の獲得」だけを目指すマーケティング施策では充分な効果を得られません。これからの時代は、接点がある顧客をロイヤルカスタマーに育てるための施策(ロイヤルティマーケティング)が重要になります。
本記事では、主にマーケティング施策を担当している方に向けて、ロイヤルティマーケティングがどのようなものなのかを詳しく解説したうえで、実施するメリットや進め方をご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
<この記事のポイント>
✓ポイント1 国内人口が減少する昨今、新規顧客を獲得するのは容易なことではない
✓ポイント2 今後は、接点のある顧客をロイヤルカスタマーに育成することが重要に
✓ポイント3 ロイヤルティマーケティングを実施したら、効果の検証と施策の改善を
目次[非表示]
- 1.ロイヤルティマーケティングとは?
- 2.ロイヤルティマーケティングが重要となる2つの背景
- 2.1.1.ターゲティング広告の効果が弱まっている
- 2.2.2.国内市場が縮小傾向にある
- 3.ロイヤルティマーケティングに取り組む4つのメリット
- 3.1.1.ロイヤルカスタマーを獲得できる
- 3.2.2.LTVが向上する
- 3.3.3.他者推奨の行動が発生しやすくなる
- 3.4.4.解約率が低下する
- 4.ロイヤルティマーケティングの進め方は3ステップ
- 4.1.ステップ1.プログラムの内容を決定する
- 4.2.ステップ2.プロモーションを実行する
- 4.3.ステップ3.効果的な改善策を洗い出す
- 5.ロイヤルティマーケティングでよくある3つの質問
- 6.【まとめ】
- 7.おすすめの資料はこちら
ロイヤルティマーケティングとは?
ロイヤルティマーケティング(Loyalty Marketing)とは、「顧客のロイヤルティ(自社の商品・サービス・ブランドへの愛着・信頼)を高める取り組み」です。
具体的な手法のひとつに、「会員制度」があります。会員限定の特典・サービスの提供(オリジナルグッズのプレゼント、チケットの先行予約権の進呈など)により、ロイヤルティを高めることが可能です。
ロイヤルティの高い顧客(ロイヤルカスタマー)は、ロイヤルティが低い顧客に比べて、頻繁に高額な商品・サービスを購入し、自社の利益に貢献してくれます。一度掴んだ顧客を離さず、何度もリピートしてもらうために、ロイヤルティマーケティングを実践しましょう。
ロイヤルティマーケティングが重要となる2つの背景
近年、ロイヤルティマーケティングが重視されるようになりました。その背景として挙げられているのは、「ターゲティング広告の効果が弱まっている」および「国内市場が縮小傾向にある」という2つの事情です。
以下、それぞれについて詳しく説明します。
1.ターゲティング広告の効果が弱まっている
個人情報を保護する観点から、2022年4月に改正個人情報保護法が施行され、Cookie規制が強化されました。
その結果、Web上でのサイト訪問者の行動を追跡しにくくなり、以前と比べてターゲティング広告(ユーザーの年齢・性別・居住地、Webサイトの閲覧履歴などの条件を指定して、各ユーザーに適した内容を表示させる広告)の効果が弱まっています。
このような事情から、最近、Web広告を通じた新規顧客獲得が困難になっており、代わりに「既存顧客を他社に流出させず、ロイヤルカスタマーとして育成すること」が重要になってきました。
2.国内市場が縮小傾向にある
高度経済成長期とは異なり、現在の日本では人口が減少し続けているため、全体的に市場が縮小する傾向にあります。例えば、2022年10月1日時点における日本の人口は約1億2494万7千人で、2021年10月からの1年間で55万6千人も減少しました。
「出生率の大幅な改善」「大量の移民受け入れ」が直ちに実現・実行されることは現状では予想しにくく、しばらくの間は新規顧客を獲得しにくい状況が継続するでしょう。
そのため、「既存顧客が他社に流出しても、別の新規顧客を獲得すれば良い」という姿勢ではなく、一度接点を持った顧客を大切にし、リピーターやロイヤルカスタマーになってもらうことを目指してマーケティング施策を講じなければなりません。
ロイヤルティマーケティングに取り組む4つのメリット
ロイヤルティマーケティングに取り組むメリットは、「ロイヤルカスタマーを獲得できる」「LTVが向上する」「他者推奨の行動が発生しやすくなる」「解約率が低下する」の4つです。以下、それぞれについて詳しく説明します。
1.ロイヤルカスタマーを獲得できる
1つ目のメリットとして、ロイヤルカスタマー(自社の商品・サービス・ブランドの熱心なファン)を獲得できることが挙げられます。
一般的にビジネスでは、1対5の法則(「新規顧客を獲得するコストは、既存顧客を維持するコストの5倍かかる」という法則)や、5対25の法則(「顧客離れを5%改善できれば、利益率が25%以上改善される」という法則)が成立しており、熱心なファンを獲得すればコストを削減でき、利益を増加させやすくなるでしょう。
後述するように、熱心なファンは自発的に「周囲の人物(家族・友人・知人など)への口コミ」「ECサイトにおける好意的なレビューの書き込み」「SNS上における拡散」などを実践する傾向が見受けられます。このような行為を期待できることも、ロイヤルカスタマーを獲得するメリットです。
2.LTVが向上する
2つ目のメリットは、LTV(Life Time Value)が向上することです。LTVとは「1顧客が生涯にわたって企業にもたらす価値の合計(購入した商品・サービスの総額から、コストを差し引いた金額)」を指し、日本語では「顧客生涯価値」と訳されます。
上述したように、日本国内の人口が減少し、市場が縮小する時代を迎え、「新規顧客を獲得することで利益を伸ばす」という戦略を採用することは困難になりました。
これからは、「自社と接点を持った顧客をロイヤルカスタマーとして育成し、LTVを向上させる(長期的に自社の商品・サービスを購入し続けてもらう)」という方向に舵を切るべきでしょう。
3.他者推奨の行動が発生しやすくなる
3つ目のメリットは、他者推奨の行動(家族・友人・知人といった身近な人への口コミ、ECサイトへの好意的なレビューの書き込み、SNS上での拡散など)が発生しやすくなることです。
SNS上の拡散によるマーケティング(バイラルマーケティング)は、2013年頃にアメリカで急拡大し、新たなマーケティング手法として注目されるようになりました。ちなみに、「消費者の89%は、商品・サービスを購入する前にレビューを参考にする」という調査結果もあります。
ロイヤルティマーケティングを実施して、顧客を「自社の商品・サービス・ブランドの熱心なファン」に育成できれば、顧客が自発的に「この商品・サービスがおすすめ」と周囲に伝えてくれるほか、インターネット上でも好意的な意見の書き込みをしてくれるため、コストをかけずに宣伝の効果を得ることが可能になるでしょう。
4.解約率が低下する
4つ目のメリットは、解約率が低下することです。自社の商品・サービスに愛着・信頼を持ってくれたロイヤルカスタマーは、次回以降も同じ商品・サービスを選んでくれる可能性が高くなります。
各種サブスクリプションサービスの契約更新時期に、顧客が自社ブランドの熱心なファンになっていれば、解約せずに利用を継続してくれるケースが多いでしょう。
ロイヤルカスタマーの割合が増えるほど、解約率が低下していくので、さまざまな施策を講じるべきです。
ロイヤルカスタマーを獲得するために、上述した「会員制度」のほかに、「ポイントサービス」を実施することも検討しましょう。ポイントサービスを実施する際には、「ランク制度」や「ステージ制度」を導入し、より多くの商品・サービスを購入した顧客に対して「特別感」を与えるような特典(限定グッズやチケットの先行予約権の進呈など)を用意することが大切です。
ロイヤルティマーケティングの進め方は3ステップ
ロイヤルティマーケティングは、「プログラムの内容を決定する」「プロモーションを実行する」「効果的な改善策を洗い出す」という流れで進めるのが一般的です。以下、各ステップについて詳しく説明します。
ステップ1.プログラムの内容を決定する
まずは、プログラムの内容を検討しましょう。
ロイヤルカスタマーの育成に役立つプログラムは、以下の3種類に大別されます。いずれか1つのみ実施するのではなく、3種類を組み合わせて実施するほうが良いでしょう。
- 会員制度
- ポイントサービス
- 「特別な体験プログラム」の提供
会員制度を設計する際には、「どのタイミングで、どの商品・サービスの販売情報を提供するか」「どのくらいの頻度で、どのくらいの金額の割引クーポンを会員に配布するか」といった点を決めてください。
また、ポイントサービスを設計する際には、「顧客がどのようなアクション(実店舗やWebサイトの訪問、商品・サービスの購入、問い合わせ、資料請求など)をした場合にポイントを付与するのか」や「還元率」「有効期限」「ポイントの使い道」などを決めなければなりません。
そして、ロイヤルカスタマー向けに「特別な体験プログラム」を用意するのであれば、適用条件(「年間に〇万円以上、商品・サービスを購入する」など)や、特典の内容(「空港ラウンジサービスの提供」「コンサート・握手会への招待」など)を具体的に決める必要があります。
プログラムの内容を決めるうえで重要になるのは、カスタマージャーニーマップなどを活用して顧客の行動を「見える化」し、顧客の立場で考えること。
なお、カスタマージャーニーマップとは、「ある商品・サービスの存在を知ってから、情報収集しながら購入意欲を高め、最終的に購入に至るまでの過程」を時系列で図示したものであり、行動パターンや思考、感情といった切り口で分析するためのフレームワークです。
ステップ2.プロモーションを実行する
プログラムの内容が確定しても、利用する人がいなければ意味がありません。プロモーションを実施して、プログラムの存在を認知してもらいましょう。
以下に、プロモーション方法の具体例を示します。
- 会員向けにメールマガジンやダイレクトメールなどを送付する
- 各種SNSや公式サイト上で情報を発信する
- 会員向けアプリやポイントアプリで情報を提供する
- 接客・会計時に対面でプログラムの存在を伝える
- プログラムの内容を記載したポスターを店舗の壁面に貼る
これらの施策は1回だけではなく定期的に実施し、継続的にプログラムの利用を促すことが大切です。
ステップ3.効果的な改善策を洗い出す
施策を成功に導くためには、「実施したら、それで終わり」ではなく、効果を検証して改善すべき点を洗い出さなければなりません。
そして、PDCAサイクルを回してカスタマーエクスペリエンスを改善していきましょう。大切になるのは、どの顧客体験がどの程度ロイヤルティに影響するのかを数値化して分析し、重要な顧客接点を発見することです。
顧客のロイヤルティを測る指標として、NPS®(Net Promoter Score)があります。NPS®とは、「あなたは、この商品・サービスを他人にすすめますか」といった質問を投げかけ、0~10までの選択肢を選んでもらったうえで集計し、「推奨者(9または10を選択した人)の割合-批判者(0~6を選んだ人)の割合」として数値化したものです。
NPS®が高ければ、ロイヤルティマーケティングが成功していると判断できます。
ロイヤルティマーケティングでよくある3つの質問
ここからは、ロイヤルティマーケティングに関する「よくある質問」(および、それに対する「回答」)を3つご紹介します。
質問①そもそもロイヤルティとは?
ロイヤルティ(Loyalty)とは、「忠誠」「忠義」「忠節」「義理」「誠実」といった意味の英単語です。
もともとは「国家に対する忠誠心」を意味する単語でしたが、現代では「企業や商品、サービス、ブランドなどに対する愛情・親近感」といった意味を有するビジネス用語として広く使用されています。
なお、「特許権」「実用新案権」「商標権」などの使用料を意味する「ロイヤリティ(Royalty)」とは異なるので注意しましょう。
ロイヤルティについて詳しく知りたい場合は、こちらの記事もご覧ください。
質問②ロイヤルカスタマーを増やす方法とは?
以下に、ロイヤルカスタマーを増やすための施策の例を示します。
- ダイレクトメールやメールマガジン、SNSなどを活用し、顧客との接点を増やす
- 「商品のこだわり」「開発した背景」「競合他社との違い」など、顧客に興味を持ってもらえそうな情報を定期的に発信す
- 一般客とリピーターを差別化し、後者に対して「特別感」を与える特典を用意する顧客目線で商品・サービスを企画・開発・改善する
大切なのは、PDCAサイクルを回して効果を検証し、施策を改善していくことです。
流れとしては、まず「NPS®で現状の顧客ロイヤルティの状況を把握すること」からスタートしてください。そのうえで、どの層をロイヤルカスタマーにするのかを決め、KPIを設定しましょう。
そして、カスタマージャーニーマップなどを活用しつつ、適切なカスタマーエクスペリエンスを設計し、具体的なアクションに移した後、効果を検証してください。改善するべき点がある場合は、施策を見直しましょう。
なお、ロイヤルカスタマーを増やす方法について詳しく知りたい場合は、こちらの記事をご覧ください。
質問③ロイヤルティ向上に欠かせない「カスタマーエクスペリエンス(CX)」とは?
カスタマーエクスペリエンス(Customer Experience、CX)とは、「購入前後を含む全購買プロセス(商品・サービス・ブランドに接する過程)において、顧客が得る体験・価値・メリット」を意味するビジネス用語です。日本語では「顧客体験」と訳されます。
カスタマーエクスペリエンスという用語は、「商品やサービスそのもの」を利用する際の体験だけを指すものではありません。
店頭での接客、WebサイトやSNSアカウントの運用から受けるイメージなど、さまざまな接点における体験が含まれます。
なお、カスタマーエクスペリエンスについて詳しく知りたい場合は、こちらの記事もご覧ください。
【まとめ】
日本国内の人口が減少し、新規顧客の獲得が困難になっている昨今、ロイヤルティマーケティングの重要性が増しています。
「自社の独自ポイントによるポイントサービス」を実施することは、カスタマーエクスペリエンスの向上、そして、顧客のロイヤルティを高めるのに有効です。
加えて、「他社のポイントと交換できる仕組み」も用意すれば、更なるカスタマーエクスペリエンス(CX)の向上を期待できます。
その中で、ジー・プランのポイント交換ソリューション「ポイント・コンセント」を導入することも選択肢のひとつとして検討してはいかがでしょうか。
自社の独自ポイントを直接、他社ポイント(150社のポイント銘柄と提携)に交換することが可能になり、顧客満足が高まるでしょう。
ポイント・コンセント
https://www.g-plan.net/service/solution/pointconcent
Net Promoter®およびNPS®は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズ(現NICE Systems,Inc)の登録商標です。
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