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【2025年最新】ハウスメーカー業界のポイント白書

ハウスメーカー業界では、家を「建てて終わり」ではなく、「建てた後も続く顧客との関係性」が重視される時代へと変化しています。そうした中で注目を集めているのが、ハウスメーカー各社による独自のポイントサービスです。リフォームや設備交換など、暮らしの質を高める提案と連動したポイント制度は、顧客満足度の向上とリピーターの獲得に寄与しています。本記事では、ハウスメーカー各社がどのようにポイント制度を導入・活用しているのか、事例をもとにその傾向と狙いを整理し、業界全体の動向と今後の可能性について考察します。


<この記事のポイント>

  • ポイント1    ハウスメーカー業界では独自のポイントサービス導入がトレンドである

  • ポイント2 ポイントサービス導入により、生涯設計やライフラインに関連させた継続的な接点が構築されている
  • ポイント3 地域密着型、金融連携、メンテナンス特化など、各社の強みを活かしたポイントサービスが展開されている


目次[非表示]

  1. 1.ハウスメーカー業界のポイントサービス概要
    1. 1.1.生涯設計やライフラインに関連した接点の構築
  2. 2.ハウスメーカー業界のポイントサービス事例
    1. 2.1.三井ホーム
    2. 2.2.一条工務店
    3. 2.3.オープンハウス
    4. 2.4.飯田グループ
    5. 2.5.ネストハウス
    6. 2.6.ケイアイスター不動産グループ
    7. 2.7.近鉄不動産
    8. 2.8.LIXIL
  3. 3.まとめ
  4. 4.おすすめの資料はこちら


ハウスメーカー業界のポイントサービス概要

住宅業界、特にハウスメーカー業界において、顧客との関係性構築が重要な課題となっています。従来、住宅購入は一生に一度のイベントと捉えられがちで、購入後の顧客との接点は限られていました。そのため、ポイントサービスのような継続的な関係を築くための施策は、あまり一般的ではありませんでした。

それが近年、ハウスメーカー業界では、独自のポイントサービスを導入し、単なる購買促進としての施策だけではなく、継続的な関係構築を促しながら、リフォームや紹介制度の強化など、顧客のライフプランに合わせた継続的なサービス提供を行うようになってきています。一度きりの取引で終わらせるのではなく、住宅購入を契機に、生涯にわたる顧客との関係性を築き、維持することで、ビジネスの安定と成長が期待できるのです。


生涯設計やライフラインに関連した接点の構築

ハウスメーカーの独自ポイントサービスの多くは「リフォーム」、「紹介」、「アンケート回答」、「アプリ利用」など、生涯設計やライフラインに関連させた顧客との継続的な接点を作る仕掛けになっています。

また、多くはリフォームや設備交換などにポイントを利用でき、暮らしの質向上や長期的なサポートに寄与しています。さらに、グループ内のサービスと連携することで、ポイントの利便性や汎用性を高める取り組みも見られ、顧客の囲い込みと満足度向上を図っています。その他、地域密着型、金融連携、メンテナンス特化など、各社の強みを活かした施策を展開することで、それぞれのポイントサービスの他との差別化が図られています。


ハウスメーカー業界のポイントサービス事例

ハウスメーカー業界では、顧客との継続的な関係構築やリフォーム促進、紹介制度の強化などを目的として、独自のポイントサービスを導入する企業が増えています。以下で、ハウスメーカー業界のポイントサービスについて、具体的な事例をいくつかご紹介します。


三井ホーム


引用元:https://www.mitsuihomeclub.com/housesupport/point/

三井ホームが提供する「おうちポイント」は、会員サービス「三井ホーム倶楽部」の一環として展開されているポイントプログラムです。ポイントは、おうちサポート(月額プラン)やメンテナンス費用積立制度の利用、アンケートへの回答、お住まい見学会への協力、新築やリフォームの紹介などで貯めることができます。

ポイントは、生活用品や食品を購入できる三井ホーム倶楽部オンラインショップやリフォーム工事などに、1ポイント=1円として利用でき、ポイント発行から15年間有効です。さらに、三井不動産グループの商業施設で利用できる商品券への交換も可能で、暮らしのさまざまな場面で活用できる利便性の高い制度となっています。

このように「おうちポイント」は、顧客の住宅資産を長く快適に保つためのインセンティブとして機能しており、三井ホームとの関係を継続的かつ価値あるものにする仕組みとなっています。


一条工務店



引用元:https://ma.ichijo.co.jp/i-point/

一条工務店が2024年3月に導入した「i-ポイント」は、同社の住宅オーナーを対象とした独自のポイント制度です。日常の暮らしや住宅の維持管理に関わるさまざまな行動を通じてポイントを貯めることができ、貯まったポイントを多様な方法で活用できる仕組みとなっています。

例えば、アフターサポートアプリ「i-サポ」への月1回のログインで30ポイント、年1回のログインで100ポイントが付与されます。また、「i-サポ」内の特集記事を読むことで1記事あたり30ポイントから、アンケートへの回答でも30ポイントからのポイントが獲得できます。さらに、設計打ち合わせ中に「家づくりタブレット」へ入力することで100ポイントからポイントが付与されるなど、住宅建築の各段階でポイントを貯めることができます。

貯まったポイントの活用方法もメンテナンスの支払い、商品券への交換など多様です。「i-サポ」内のオンラインストア(住宅設備等を購入可能)での商品購入時には、1ポイント=1円として利用でき、購入金額の2%がポイントとして還元されます。また、ポイントは各種ギフトカードへの交換や日本赤十字社への寄付にも使用可能です。

このように、「i-ポイント」は住宅オーナーの暮らしを豊かにし、住宅の長期的な品質維持を支援するためのインセンティブとして機能しています。


オープンハウス


引用元:https://www.ouchilink.com/company/

オープンハウスグループが提供する「おうちリンク」は、同社で物件を購入した顧客向けの生活支援サービスで、住宅購入後のライフライン手続きや日常生活に必要なサービスをワンストップで提供することを目的としています。

「おうちリンク」の利用者は、ガスやでんきなど公共料金をはじめとした対象サービスの利用料金に応じて「おうちリンクポイント」を獲得できます。ポイントは、複数のサービスを利用することで倍率が上がり、より多くのポイントを獲得することが可能です。また、住信SBIネット銀行と連携した金融サービス「おうちバンク」の口座を支払いに指定することで、ポイント還元率が最大4%に増加するなど、支払い方法によっても還元率が変化する仕組みをとっています。

貯まったポイントは、1ポイント=1円として、コンビニATMで入出金ができる金融サービス「おうちバンク」口座へのキャッシュバックやAmazonギフトカードへの交換が可能です。ポイントの有効期限は、最後にポイントを獲得した日から1年間で、期限内に新たなポイントを獲得することで自動的に延長されます。

「おうちリンク」は、2021年5月のサービス開始以来、順調に会員数を伸ばし、2023年6月末時点で1万人を突破しました。このサービスは、オープンハウスグループで物件を購入した顧客に対して、住宅購入後の生活をサポートし、長期的な顧客関係を構築しています。


飯田グループ


引用元:https://iida-mc.jp/about.php

飯田グループホールディングスが提供する「いいだメンバーズクラブ」は、飯田商事のガス契約者である住宅購入者や入居者、家主を対象とした会員制サービスです。会員は、毎月のガス代やアンケート等を通じてポイントを貯めることができ、貯めたポイントをガス代の支払いや商品券、飯田のサービス券と交換できます。ガス代にポイントを充当する場合は、1ポイント=1円、商品券は1ポイント=0.8円、飯田のサービス券は1ポイント=1.25円と、それぞれポイント還元率が異なります。

商品券加盟店舗は、地域に根ざした店舗やサービスで構成されており、「いいだメンバーズクラブ」は、住宅購入者に対するアフターサービスの一環として、顧客の生活の質を高めるとともに、地域社会との連携を強化する取り組みとなっています。


ネストハウス

山口県を拠点にする地域工務店である株式会社ネストハウスでは、住宅購入予定者に向けてポイント還元サービスを提供しています。ポイントは、住宅の見学会や相談会への参加、ショールームでの打ち合わせなど、ネストハウスが主催する各種イベントやサービスの利用を通じて付与されます。

例えば、見学会や相談会への参加で5ポイント(5,000円相当)、ショールームでの打ち合わせで3ポイント(3,000円相当)が付与されます。これらのポイントは、新築住宅の建築代金や家具、カーテン、照明器具などの購入費用に充当することができます。

見学会や相談会に合わせて気軽に立ち寄りやすいマルシェなどのイベントを開催するなど、顧客との接点を増やしている点は地域密着型の工務店ならでは。家づくりや暮らしへの意欲を高める施策のひとつとなっています。


ケイアイスター不動産グループ


引用元:https://owners.ki-group.jp/point/

住宅販売だけでなく不動産業を幅広く扱っているケイアイスター不動産グループが提供する「KEIAIポイント」は、住宅購入後のオーナーサポートを目的とした独自のポイントプログラムです。この制度は、住まいを取得した後のメンテナンスやリフォーム、オプション工事、太陽光発電の設置といったさまざまなサービスに対して、費用の一部をポイントで還元・割引できる仕組みとなっています。

KEIAIポイントは、主に「KEIAIコンシェルジュサービス」への加入によって獲得することができます。このサービスには、電気やインターネットといったライフラインの手続き代行、設備トラブルへの24時間対応、暮らしに関する各種サポートなどが含まれており、複数のサービスに加入することで追加でポイントが付与されます。

獲得したポイントは、住宅に関するオプション工事やリフォーム等に利用することが可能です。100万円未満の施工であれば最大5%、100万円以上の工事であれば最大10%のポイントの使用が上限となります。

「KEIAIポイント」は住宅購入者に対して、住み始めた後も安心して暮らしを継続できるよう支援するアフターサービスの中核を担っており、顧客との長期的な関係性を築くための重要な施策として位置づけられています。


近鉄不動産

近畿地方を拠点とした大手不動産会社である近鉄不動産が提供する「KIPSポイント」は、近鉄グループ共通のポイントプログラムの一部として、不動産取引に連動したポイント付与制度です。具体的には、近鉄グループのマンションや戸建て住宅の購入、土地契約、そしてリフォームや仲介契約などを対象に、契約者に対して所定のポイントを付与する仕組みになっています。

例えば、新築・分譲マンションを契約した場合、一戸あたり10,000ポイントが付与されます。所定の申込書の提出が必要で、物件引き渡し後にポイントが付与されます。リフォームやリノベーションでも税抜100万円以上での工事請負代金に対して、0.5%相当のポイントが付与され、付与上限は10,000ポイントとなっています。

貯まったKIPSポイントは、近鉄グループの店舗(百貨店、スーパーマーケット、ホテル、レストランなど)の支払いにそのまま1ポイント=1円相当として利用できるほか、500ポイント単位のクーポンに交換したうえで広く利用が可能です。また、近鉄特急netポイントや百貨店ネットポイントなど、他の共通ポイントへ交換したり、近鉄グループの商品やサービスと引き換えることもできます。

有効期限は、ポイント獲得年度の翌々年1月15日までとされており、例えば2024年1月1日~12月31日の獲得分は2026年1月15日までが利用期限です。

このように「KIPSポイント」は、住宅購入やリフォームといった資産的イベントと日常生活の消費をつなぐ仕組みとして機能しており、近鉄沿線やグループ施設を日常的に利用する顧客にとって、住まいと生活の両面で顧客満足度が高められる総合的なポイント体系となっています。


LIXIL

住宅設備メーカーの大手であるLIXILは、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)と三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)が統合して誕生した、新しい共通ポイントサービスVポイントを採用しています。リフォーム工事の成約金額に応じてVポイントを付与したり、LIXILのグループ会社や各店舗で、来店や賃貸契約などでVポイントを貯めることができます。

具体的には、リフォーム工事の成約金額200円(税抜)につき1ポイントが付与され、上限は10,000ポイントとなっています。ただし、VポイントサービスはLIXILリフォームネット登録店・リフォームショップ加盟店のうち、Vポイント提携店に限られます 。共通ポイント「Vポイントサービス」の採用により、顧客に対する付加価値の提供と、加盟店の営業支援を両立させる取り組みとなっています。


まとめ

ハウスメーカー業界では、顧客が住宅を購入したことを契機に、その後の生涯にわたる関係性を構築することが、企業の安定的な成長と収益の確保に不可欠であると認識されています。このような長期的な顧客エンゲージメントを強化するため、多くのハウスメーカーが独自のポイントサービスを導入し、その内容は多様化の一途をたどっています。

これらのポイントプログラムは、主にリフォームや設備の交換といった住宅の維持・管理に利用されることで、顧客の暮らしの質を向上させるだけでなく、住宅の長期的な資産価値の維持にも貢献しています。さらに、ハウスメーカーのグループ会社が提供する関連サービス(例:家具・家電販売、インテリアコーディネート、引っ越しサービスなど)との連携を強化することで、ポイントの利便性や汎用性を高める取り組みも積極的に推進されています。

将来的には、住宅の快適性や資産価値を維持するためのインセンティブとしてのポイント機能がさらに強化されると予測されます。また、電気、ガス、水道といったライフラインサービスや、日々の生活に密着したサービス(例:セキュリティサービス、家事代行、健康関連サービスなど)との連携が進むことで、住宅そのものだけでなく、生活全般を包括的にサポートする総合的なポイント体系が一般化していくと考えられます。これにより、顧客は住まいと生活の両面から手厚い支援を受けられるようになり、ハウスメーカーは顧客との関係性を一層強固なものにすることができるでしょう。

しかし、ポイントサービスを自社で構築・運用するには、システム開発コストや運用負荷、提携先との連携など、多くの課題があります。そこでおすすめなのが、ポイントの発行・交換を実現できる外部ソリューションです。ジー・プランでは、大手・共通ポイントを直接発行/交換するプラットフォーム「ポイント・コンセント」を提供しています。共通ポイントなどを直接発行・交換することが可能なので、従来のポイント発行・交換にかかるコストを大幅に削減することができます。

ポイントサービスの促進や拡充の施策を打ち出す際には、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。


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中野友希
中野友希
大学院で租税法を専攻し法学修士を取得。税理士補助・社労士補助、衛生管理者などを経て、フリーライターに。ビジネス、ガジェット、ヘルスケア、ペットなどのWEBメディアを中心に『読むサプリ』をモットーに執筆中。

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