
バス会社で導入されているポイントサービスとは?仕組みやメリットを解説
近年、顧客ロイヤルティ向上のための施策として、さまざまな業界でポイントサービスが導入されています。特に、交通業界においては、競合が激化する中で、顧客の乗車意欲を高め、リピート率を向上させることが重要な課題となっています。バス業界においても、ポイントサービスは、顧客とのタッチポイントを増やし、より深い関係性を築くための有効な手段として注目されています。
バス会社で導入されているポイントサービスの仕組みとしては、ポイントサービスの会員登録と同時に、PASMO、ICOCA、PiTaPaといった交通系ICカードを設定することで、ポイントを貯めたり、あるいは交通系ICカードからポイント割引が適用されたりといった仕組みが主流になっています。
この記事では、路線バス、高速バスどちらも含んで「バス会社」としてまとめ、バス会社のポイントサービスについてご紹介いたします。
<この記事のポイント>
ポイント1 バス会社のポイントサービスは、あらかじめ会員登録と交通系ICカードの設定をするとポイントが貯まる仕組みが主流
- ポイント2 利用時間帯や毎月の利用合計金額でポイント付与率が変動するポイントサービスも展開されている
- ポイント3 ポイントサービスによりリピート率の向上やエシカルな行動の促進につながっている
目次[非表示]
- 1.バス会社で導入されているポイントサービス
- 1.1.小田急バス
- 1.2.京阪バス
- 1.3.神戸市バス・山陽バス
- 1.4.大阪シティバス
- 1.5.東急バス
- 1.6.京都市バス・京都バス・西日本ジェイアールバス
- 1.7.西日本ジェイアールバス・JRバス中国
- 2.バス会社におけるポイントサービス導入のメリット
- 2.1.新規顧客獲得と顧客ロイヤルティ向上
- 2.2.データ分析によるマーケティング
- 2.3.顧客の行動変容
- 2.4.地域で利用できるポイントへ交換させることで地域活性化
- 3.まとめ
- 4.おすすめの資料はこちら
バス会社で導入されているポイントサービス
バス会社では、利用金額や乗車によってポイントが付与されていますが、ポイント付与の条件やポイントの利用方法はバス会社ごとにまちまちです。ここでは、バス会社のポイントサービスの仕組みを解説します。
小田急バス
小田急バスは、2024年10月より全路線で「小田急おでかけポイント」サービスを導入しています。このポイントサービスは、事前に小田急の会員サービス「小田急ONE(オーネ)」へ会員登録し、登録した大人用の記名PASMOで小田急バスに乗車すると、1乗車ごとに1ポイントが付与される仕組みです。
貯まったポイントは、小田急ポイントサービス加盟店で1ポイント1円から利用できます。また、「小田急ONE」を介して、商品との交換、PASMOへのチャージなどに利用できます。
京阪バス
京阪バスでは、交通系ICカード「ICOCA」を利用した乗車で、運賃の5%分を「京阪バスポイント」として付与するサービスを提供しています。事前に会員登録を済ませたICOCAで乗車すると、翌日以降にポイントが付与されます。運賃以上のポイントが貯まると、車載機が自動的にポイントで精算する仕組みになっており、ポイントの付与から利用までがシンプルです。
神戸市バス・山陽バス
神戸市バス・山陽バスでは、ICOCAで市バス・山陽バスに乗車すると、1か月間の利用額に応じて翌月15日にポイントが貯まる「神戸市バス・山陽バス共通乗車ポイント」サービスを展開しています。事前にWEBまたは郵送での会員登録が必要です。
付与されるポイントは、「普通ポイント(利用金額の2~5%)」と「昼間ポイント(利用金額の5~10%)」の2種類があります。「昼間ポイント」は、降車時間が9時半から16時の場合に、普通ポイントに上乗せされる仕組みになっており、「普通ポイント」「昼間ポイント」それぞれ1か月の利用金額が2,300円未満か、2,300円以上かで付与率が変わります。
例えば、1か月2,300円以上の利用があり「昼間ポイント」も付与される場合は、利用金額の15%ポイントが貯まることになります。貯まったポイントは、市バス・山陽バスに乗車の際に、乗車料金以上にポイントが貯まっている場合、自動的に乗車料金を1ポイント=1円として決済されます。
大阪シティバス
大阪シティバスでは、対象のPiTaPaまたはICOCAの交通系ICカードを登録することで、乗車ごとに「Osaka Point」が貯まるサービスを提供しています。ポイント付与率は、カードごとに異なり、「OSAKA PiTaPa」は月々の支払額の1%、「OSAKA PiTaPa LiTE」と「ICOCA」は月々の支払額の 0.5%がポイント付与されます。
また、定期券の利用でもポイントを貯めることができ、大阪シティバスの定期券では月一律40ポイントが付与されます。貯まったポイントは、Osaka Point提携店で1ポイント1円として利用したり、Osaka Point500ポイント以上で、PiTaPaの交通利用代金に充当することができます。
東急バス
東急バスでは、毎月のノッテチャージ利用額に応じてポイントが貯まる「ノッテチャージサービス」を展開しています。「ノッテチャージサービス」は、東急バス乗車時にPASMOの残額が運賃を下回っている場合、一定金額が自動的にチャージされるサービス。PASMOのオートチャージと同じ仕組みですが、「ノッテチャージサービス」は東急バスの利用にのみ限定される点が異なります。
あらかじめ対象となるTOKYU CARDへの入会、PASMOのオートチャージ設定、「ノッテチャージサービス」への申し込みが必要です。貯まったポイントは、PASMOへのチャージ、東急グループの加盟店やWEBサイトでの利用、他社ポイントへ交換することも可能です。
京都市バス・京都バス・西日本ジェイアールバス
京都市バス、京都バス、西日本ジェイアールバスでは、京都の地下鉄・バスのICポイントサービス「もえポっ」を展開しています。事前に「もえポっ」のサイトにICOCAやPiTaPaを利用者登録することで、1か月の利用金額や乗継利用に応じてポイントが貯められます。
ポイントの付与と利用はモバイルICOCA、ICOCA、PiTaPaで異なります。モバイルICOCAは「WESTERポイント(チャージ専用)」に変換された後、モバイルICOCA上で電子マネーにチャージ可能となります。ICOCAは、ポイント付与後に地下鉄各駅の券売機などで1ポイント1円として、10ポイント単位でチャージが可能となっています。PiTaPaは、翌月の交通利用料金から自動で50ポイント単位で割り引きされます。
西日本ジェイアールバス・JRバス中国
JR西日本グループでは、共通ポイント「WESTERポイント」を導入しています。西日本ジェイアールバス・JRバス中国では、対象のバス路線の高速バスチケットを指定の窓口で購入することにより、WESTERポイントを付与するサービスを展開しています。
ポイントの付与・利用には、あらかじめWESTERアプリもしくはWESPOアプリの登録・提示が必要です。対象となる利用額110円につき1ポイントを貯めることができ、貯まったポイントは1ポイント=1円として、対象商品の購入に利用することができます。
バス会社におけるポイントサービス導入のメリット
バス会社でポイントサービスを導入することで、さまざまなメリットが得られます。以下で、バス会社におけるポイントサービス導入のメリットについて解説します。
新規顧客獲得と顧客ロイヤルティ向上
ポイントサービスの提供は、新規顧客の獲得につながります。ポイントを貯めることで、顧客はより積極的にバスを利用するようになり、リピート率向上につながります。また、ポイント交換による特典は、顧客満足度を高め、より強いブランドロイヤルティを醸成します。これまでは、紙の回数券によってリピート率や収益安定化を図っていたものが、デジタル化の普及によりポイントサービスが紙の回数券に取って代わるものとなっています。
データ分析によるマーケティング
ポイントサービスの導入により得られる顧客の利用データは、顧客の利用パターンや嗜好を分析する上で貴重な情報源となります。このデータを活用することで、個々人の利用状況に応じたキャンペーンの展開や、新商品・サービスの開発に役立てることができ、より効果的なマーケティング施策を展開することができます。
顧客の行動変容
本記事でご紹介した神戸市バス・山陽バスにおける「昼間ポイント」のような事例は、特定の時間に利用をシフトさせることで、ピーク時の混雑緩和に寄与することが考えられます。こうした顧客の行動変容をポイントサービスを通じて促すことにより、企業は効率的な運行を可能にし、また顧客の立場からも快適な利用に繋がるでしょう。
地域で利用できるポイントへ交換させることで地域活性化
バスという地域に密着した交通機関のポイントは、地元の店舗やサービスで使えるポイントであるケースが多くなっています。地域内でポイントが有効に使えることで、地域経済の活性化に繋がると考えられます。顧客にとっても地域密着ポイントがもらえることで日常的にバスを利用しやすい環境となり、ひいては地域全体の魅力を高めることができます。
まとめ
ポイントサービスは、バス会社が顧客との関係性を深め、リピート率をさらに向上させることに貢献しています。また、公共交通の利用は顧客にエシカルな行動を促し、企業への愛着を寄せるための有効な手段となっています。また、これまでの紙の回数券に代わるものであると同時に、ピーク時間帯の混雑緩和のためにポイントを付与しているケースもあり、顧客の囲い込みや行動変容を促すインセンティブのひとつとなっています。
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