
ID統合で得られる4つのメリット!顧客満足度の向上にも繋がる重要施策
多種多様なサービスが乱立し、ユーザーから見た「わかりやすさ」や「使いやすさ」の重要度が高まりつつある昨今。
ポイントカードのアプリ化によって、「財布にいろいろなお店のポイントカードが入っていて管理が大変」という物理的な煩わしさからは解消されましたが、今度は「アプリやポイントの種類が多くてわかりにくい」という声をよく聞くようになりました。
そんななか、サービス提供者である企業のあいだで注目を集めているのが、「ID統合」です。このページでは、ID統合の概要とメリット・デメリットについて解説します。
<この記事のポイント>
ポイント1 ID統合は、複数のシステムやサービスで使用されるユーザーのIDを一元化すること
- ポイント2 コスト削減やセキュリティ強化といったメリットのほか、顧客満足度の向上にも繋がる
- ポイント3 事例としてはJR東日本が推し進めるJRE POINTがあり、新たな「経済圏」の創出を目指している
目次[非表示]
- 1.「ID統合」とは?
- 2.ID統合がもたらす4つのメリット
- 2.1.メリット①「顧客満足度の向上」
- 2.2.メリット②「データ管理の効率化とマーケティング活用」
- 2.3.メリット③「コストの削減」
- 2.4.メリット④「セキュリティの強化」
- 3.ID統合の事例「JRE POINT」
- 4.まとめ
- 5.おすすめの資料はこちら
「ID統合」とは?
ID統合とは、複数のサービスでバラバラに使っていたIDを1つにまとめ、連携させることを指します。
冒頭で「アプリやポイントの種類が多くてわかりにくい」というユーザーの声を取り上げましたが、まさにこの問題を解決するための仕組みですね。
同一企業が運営する複数のサービス・アプリ・ポイントなどを一元化し、1つのID(アカウント)に集約。そうすることで、ユーザーは複数のIDとパスワードを管理する必要がなくなり、会員登録やログイン操作も1回で済むようになります。
なぜID統合が注目を集めているのか
ID統合が注目を集めているのは、インターネットを介して利用できるサービスが多様化し、近年ますます複雑化していることにその一因があります。
同じ企業が運営している店舗でも、系列店ごとに別のアプリをインストールする必要があったり、ECサイトを利用する際には会員登録を別途する必要があったり、ポイントの種類が複数あったり。ユーザー目線では、この上なくわかりにくい状態です。
同時に、企業にとってもそのような状態はあまり好ましくありません。顧客満足度の低下に繋がるのみならず、複雑化すればするほど、個々のサービスの管理コストもかかります。セキュリティリスクなどの問題もあるため、ID統合を含む自社サービス全体の見直しは急務だといえるでしょう。
ID統合がもたらす4つのメリット
このような諸問題を改善する手段として注目を集めている、ID統合。
ここからは、具体的にはどのようなメリットがあるのかを整理しつつ、もう少し詳しく見ていきましょう。
メリット①「顧客満足度の向上」
ID統合によってもたらされるメリットとしては、まずユーザーエクスペリエンスの向上があります。
複数の関連サービスのアカウントをひとつに集約することで、都度行う必要があったログイン操作が一度で済むようになります。既存ユーザーはログインの手間がかからなくなり、またサービス登録のハードルも下がるため、新規ユーザーの獲得にも繋がります。
メリット②「データ管理の効率化とマーケティング活用」
企業側の目線では、ID統合によって顧客データを統一することで、より一貫したサービス提供ができるようになります。
具体的には、それまではサービスごと、あるいはアプリごとに管理していたデータを一元化することで、データ管理の効率化に繋がります。
加えて、別々に管理していた顧客データを横断して全体像を把握できるようになるため、顧客の行動履歴の詳細な分析が可能に。一人ひとりのニーズに合わせたマーケティング施策を展開することで、ひいては顧客満足度の向上に繋がります。これもID統合のメリットだといえるでしょう。
メリット③「コストの削減」
企業目線でのメリットは、それだけではありません。複数のシステムを利用して、別々に管理していたIDを一箇所に集約することで、それぞれのサービスやアプリごとに発生していたコストを削減できます。
個々のシステム利用料といった金銭的なコストもですが、それらを運用するための人的リソースの削減にも繋がります。場合によっては、業務プロセス自体の改善にも繋がるため、目に見える以上の効果が得られるかもしれません。
メリット④「セキュリティの強化」
関連するメリットとして、セキュリティリスクの低減も無視できないポイントです。
念のために補足しておくと、複数のIDを別々に管理している状態は、見方によっては「サービスを分散させることで漏洩リスクを減らしている」と捉えることもできます。ですが、そういったサービスほど古いシステムを利用しているケースもありますし、一箇所で情報漏洩が起きれば、結局は芋づる式に被害に遭う可能性も否定できません。
漏洩時の対応コストなども考慮すると、一箇所に集約していたほうが全体のリスクの低減に繋がるといえるでしょう。ID統合を行うタイミングで最新のシステムに更新することで、セキュリティ対策の刷新と強化に繋げる、という考え方もできます。
ID統合の事例「JRE POINT」
ID統合の具体的な事例の1つとして挙げられるのが、JRE POINTです。
JRE POINTは、JR東日本が提供するポイントプログラム。JR東日本では長らく、えきねっとやモバイルSuica、VIEWカードなど、複数のサービスで別々に会員IDを管理していました。現在は段階的にユーザーIDの統合を進めており、2027年度までにすべてを集約することを目指しています。
ID統合によって目指す「Suica経済圏」
JR東日本が推し進めるID統合の目的は、前述のようなメリットが得られるのみにとどまりません。
同社は以前からポイントサービスの集約と刷新を進めており、その最終的な狙いとして、JRE POINT生活圏の拡大による「Suica経済圏」の創出があります。
「買い物もできる交通系ICカード」という現在のSuicaの用途をさらに広げて、人々の日常生活にまで浸透させること。ゆくゆくはマイナンバーカードや行政サービスとも連携し、Suicaで地域社会をDXするための基盤づくりとして、ID統合を推し進めている格好です。
まとめ
JRE POINTの事例からもわかるように、ID統合によってグループ間のシナジーを加速させることは、大企業ならではのニーズだと言えるでしょう。歴史のあるサービスであればあるほど、そして関連サービスの数が多ければ多いほど、その統合は計画的に進めなくてはなりません。
また、ID統合はユーザー目線でもメリットが多いため、IDの移行作業が進みやすい傾向にあります。「IDを集約することで煩わしい操作が減る」というだけでも移行するモチベーションになりますし、おトクなキャンペーン施策などを打てば、その動きを加速させられます。
顧客データを移行する際に発生する作業にもいろいろありますが、そのなかで、個々のIDごとに発行したポイントも統合する必要が出てきます。その点は、長年にわたりポイントマーケティングに携わってきたジー・プランが得意とする分野ですので、ぜひご相談ください。
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