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住友生命のVitalityポイントとは?健康増進活動で保険料が割引される仕組み

昨今、健康・ヘルスケア関連サービスにまつわるポイントサービスは、ポイントマーケティングのトレンドの1つになっています。そんななか、住友生命保険相互会社では、「Vitality健康プログラム」を利用したうえで健康増進活動を実施した加入者に対して「Vitalityポイント」を付与しています。

行動経済学の知見に基づいて施策が工夫されており、貯まったポイントの数量に応じて保険料が割引される仕組みです。結果的に加入者の健康状態が改善するため、保険金支払額の抑制につながると考えられます。

本記事では、住友生命のVitalityポイントについて詳しく解説します。住友生命の施策を参考にして、ポイントサービスに行動経済学の知見を活かしてみてはいかがでしょうか。


<この記事のポイント>

  • ポイント1    住友生命では、健康増進活動をした加入者にポイントを付与している

  • ポイント2 貯まったポイントの数量に応じて保険料を割引する施策を実施している
  • ポイント3 健康を維持するインセンティブとなり、保険金支払額の抑制につながる


目次[非表示]

  1. 1.住友生命の「Vitalityポイント」とは
    1. 1.1.Vitalityポイントが付与される健康増進活動の例
  2. 2.貯まったポイント数に応じて、保険料が割引される
  3. 3.Vitality健康プログラムは、行動経済学の知見を踏まえて設計されている
  4. 4.まとめ
  5. 5.おすすめの資料はこちら

住友生命の「Vitalityポイント」とは

住友生命の「Vitalityポイント」とは、「Vitality健康プログラム」を利用することを選択した保険加入者が、健康増進活動を実施した際に付与される独自ポイントです(後述するように、貯まったポイント数に応じて保険料の割引を受けることが可能)。

保険というシステムについて考えたとき、加入者の健康状態が悪化するということは保険会社としては保険金支払額が大きくなってしまうことを意味します。

保険会社が保険金支払額を抑制するためにできることとして、加入者に対して、健康状態を維持・改善する行動を促す施策が考えられます。健康増進活動を実施した加入者に対して、ポイントを付与したり、保険料を割引したりすれば、結果的に加入者の健康が増進され、保険金支払額が抑制されるというわけです。


Vitalityポイントが付与される健康増進活動の例

Vitalityポイントが付与される健康増進活動の例を、下表にまとめました。


オンラインチェック                          
会員ポータルの専用画面で健康(食生活・タバコ・ストレスなど)に関する質問に回答した場合にポイントを付与(内容によって250ポイントまたは750ポイント) 
Vitality健康診断
健康診断を受けた場合や、スマート体組成計でBMIを測定した場合に500ポイントを付与(所定の基準を満たした場合は、1,500ポイントまたは2,000ポイントに増加)
予防
各種ガン検診、肺炎球菌ワクチン接種、歯科検診を受けた場合にポイントを付与(歯科検診は1回500ポイントで、それ以外は1,000ポイント)
運動
所定のウェアラブルデバイスまたはスマートフォンアプリを利用して歩数・心拍数を計測した場合や、指定されたフィットネスジムで運動した場合、所定のスポーツイベントに参加した場合にポイントを付与(活動内容ごとにポイント付与数が異なる)


なお、上記内容は概略であり、対象となる性別・年齢や年間付与数の上限など、さまざまな条件があります。詳細は、住友生命の公式サイトでご確認ください。


貯まったポイント数に応じて、保険料が割引される

Vitality健康プログラムでは、健康増進活動への取り組み方(獲得したVitalityポイントの数量)に応じて、「Vitalityステータス」が上昇します。下表に、ポイント数とステータスの関係をまとめました。


獲得したVitalityポイントの数量
Vitalityステータス
0~11,999ポイント
ブルー
12,000~19,999ポイント
ブロンズ
20,000~23,999ポイント
シルバー
24,000ポイント以上
ゴールド


1年ごとにポイントの数量が集計され、前年度のステータスに応じて、翌年の保険料が所定の割引率・割増率で増減します(1年目は、Vitality健康プログラムを利用しない場合と比較して、割引率15%の状態から開始)。2年目および3年目以降に関して、保険料の割引率・割増率を表にまとめました。


前年のステータス
ゴールド
シルバー
ブロンズ   
ブルー
保険料の割引率・割増率(2年目)

割引率+2%

(保険料減少)     

割引率+1%

(保険料減少)     

変動なし  
変動なし
保険料の割引率・割増率(3年目以降)

割引率+2%

(保険料減少)

割引率+1%

(保険料減少)

変動なし
割増率+2%(保険料増加)


Vitality健康プログラム利用者は、保険料の割引以外にも、さまざまな特典を受けられます。以下は、特典の具体例です。

  • スポーツ用品の割引
  • フィットネスジムなどの会費の割引や無料体験
  • エクササイズ動画を無料で視聴可能

また、Vitalityステータスが昇格した場合や、イオンヘルシーフードを購入した場合などには、「Vitalityコイン」を獲得できます。付与されたVitalityコインは、Amazonギフトカードや電子マネー(楽天Edy、nanaco)、他社ポイント(WAONポイント、PayPayポイント)との交換が可能です。


Vitality健康プログラムは、行動経済学の知見を踏まえて設計されている

上述したように、1年目は、「Vitality健康プログラムを利用しない場合」と比較して割引率15%の状態からスタートし、何もしなければステータスが「ブルー」のままとなり、年々、割引率が減少(保険料が増加)していきます。これは、行動経済学の知見に基づいて設計された仕組みです。

行動経済学によると、「人間は損失を回避するように行動する」とされています。そのため、最初から15%の割引率を設定しておけば、Vitality健康プログラム利用者は「割引率を低減させないために(保険料が増加しないように)、健康増進活動に取り組もう」と考えやすくなるでしょう。

また、Vitality健康プログラムでは、1週間サイクルの運動目標を達成することで特典(コンビニエンスストアなどで各種ドリンクと交換可能なチケット)を獲得できる「アクティブチャレンジ」という仕組みが用意されています。

これは、行動経済学において「双曲割引」と呼ばれる概念(遠い未来のことよりも、目の前にある誘惑に負けてしまう人間の本性)を踏まえて設計された施策です。「1年後のステータス上昇」までは待てなくても、「1週間後のご褒美」を獲得するために努力できる方は多いでしょう。

住友生命では、飽きたり挫折したりすることなく健康増進活動を継続してもらうために、行動経済学の知見に基づいて、身近な目標を設けています。


まとめ

住友生命では、「Vitality健康プログラム」を利用したうえで健康増進活動を実施した加入者に対し、「Vitalityポイント」を付与しています。ポイントを貯めるとステータスが上昇し、保険料が割引される仕組みなので、保険加入者は「健康増進活動に取り組もう」という意欲が湧いてくるでしょう。

行動経済学の知見を踏まえて設計されており、保険加入者は健康状態が改善され、保険会社は保険金支払額が抑制されるため、双方にとってWin-Winの施策です。

生命保険以外の業界でも、住友生命のポイント施策は参考になります。行動経済学の知見に基づいてポイントサービスを設計し、既存顧客の囲い込みや新規顧客の獲得、売上増・コスト削減を実現しましょう。

ところで、ポイントサービスを実施する際に課題となるのが、「独自ポイントのみの展開では消費者への訴求力が低い」という点です。住友生命でも、Vitalityコインを他社ポイント(WAONポイントやPayPayポイント)と交換できる仕組みが用意されています。多くの消費者に選んでもらうためには、他社ポイント(共通ポイントなど)への交換や発行にも対応するのが得策でしょう。

他社ポイントへの交換や発行に対応するためには多大な手間がかかりますが、法人向けのソリューションを活用すれば業務効率化を実現し、運用コストを削減できます。例えば、ジー・プランの「ポイント・コンセント」や「PCT LITE」なら、共通ポイントなどを直接発行できるほか、独自ポイントと共通ポイントとの交換が可能になり、既存顧客の囲い込みや新規顧客獲得につながるでしょう。導入することも選択肢のひとつとして検討してみてはいかがでしょうか。


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佐藤拓真
佐藤拓真
2018年頃からライターとして活動。「企業がポイントサービスを活用する方法」「ポイントを活用したビジネスのトレンド」「ポイントを活用したマーケティング手法」「ポイント制度やシステムに関する基礎知識」などについて、フラットな視点からレポートしています。私は「ポイント活動(ポイ活)」が注目されるようになる前から、さまざまなポイント(電子マネー、マイルなどを含む)を貯めてきました。自分自身の経験も踏まえて記事を執筆していくので、企業でポイント制度の導入・運用に携わっている方の参考になれば幸いです。

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