消費者にポイント利用を促すのに適したタイミングとは?行動経済学の知見をご紹介!
ポイントサービスを展開している企業は、顧客に対して、期間限定の還元率上昇キャンペーンなどで「保有しているポイントの利用」を促すことが可能です。
しかし、ポイント施策やマーケティングの担当者のなかには、「キャンペーンを実施して、ポイントの利用を促しても、顧客があまり商品・サービスを購入してくれない」とお悩みの方もいるのではないでしょうか。もしかすると、原因は「キャンペーンの案内をするターゲットが間違っていること」にあるかもしれません。
行動経済学の知見によると、「ポイント残高が少ない消費者」にポイントの利用を促すと、支払いの知覚コストを高めてしまう(お得感が減少する)ことが指摘されています。「一定以上のポイント残高がある消費者」にターゲットを絞ってポイントの利用を促すという選択肢も有効でしょう。
本記事では、「消費者に対してポイント利用を促す場合、どのようなタイミングが適しているのか」について詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。
<この記事のポイント>
ポイント1 知覚価値(お得感)が高まるように、ポイントの利用を促すことが大切
- ポイント2 ポイント残高が低い顧客に利用を促すと、知覚価値が低くなってしまう
- ポイント3 経験や勘ではなく、行動経済学の知見を踏まえて施策を実施しよう!
目次[非表示]
消費者行動論やマーケティング論における「知覚価値」とは?
消費者行動論やマーケティング論で見聞きする「知覚価値」という概念を正しく把握していないと、「どのようなターゲットに対して、ポイントの利用を促すべきなのか」という問題に対する行動経済学の知見を理解できません。そのため、まず「知覚価値」がどのような概念なのかを説明します。
知覚価値とは、消費者が商品・サービスを購入する際に感じる、いわゆる「お得感」を意味する用語です。しばしば、消費者行動論やマーケティング論などで用いられます。顧客満足度を向上させるためには、品質に加えて、知覚価値も高めなければなりません。以下は、知覚価値の計算式です。
知覚価値=知覚ベネフィット÷知覚コスト |
次の章以降で、「知覚ベネフィット」および「知覚コスト」について説明します。
知覚ベネフィット
知覚ベネフィットとは、商品やサービスの性能・品質、付属物などから感じられるメリット・肯定的な要素のことです。
「性能・品質が良い」という点だけではなく、例えば、「おまけの品が付属物として提供される」といった点も、知覚ベネフィットの向上に寄与します。
知覚コスト
知覚コストとは、商品・サービスを購入する際に感じられるデメリット・否定的な要素(「商品に支払う金額」や「購入する手間」など)のことです。
例えば、「家から店舗に出向くまでに時間がかかる」「重量物を持ち運ぶのに労力を要する」といった点は、知覚コストを大きくするでしょう。
消費者に対してポイントの利用を促すのに適したタイミング
ここからは、行動経済学の知見に基づいて、「どのようなタイミングで消費者にポイントの消費を促すべきなのか」を説明します。
上述したように、「知覚価値=知覚ベネフィット÷知覚コスト」という式で表されるため、消費者のお得感(知覚価値)を大きくするためには、知覚ベネフィットを高めるか、知覚コストを低くしなければなりません。
行動経済学の研究者である中川宏道氏は、2016年に発表した論文「ポイントと現金の支払いに関する知覚コスト:消費者はどのようなときにポイントを使うのか?」において、「家電量販店およびスーパーのポイントサービス会員を対象とした実験結果によると、ポイント残高が少ない消費者にポイントの利用を促すと、支払いの知覚コストを高めてしまう(お得感が減少する)」という主旨の指摘をしています。
たとえば、ポイント利用を促すにおいても、「お得感(知覚価値)を大きく(知覚コストを低く)したい」とお考えであれば、「ポイント残高が少ない顧客」に対してはメールやダイレクトメールなどで通知しない選択をするなどの対策も考えられるということです。
感覚や勘任せではなく、行動経済学の知見を踏まえてポイント施策を講じよう
ポイント施策やマーケティングの担当者のなかには、経験や勘に頼ってキャンペーンを展開したり、顧客に対してポイントの利用を促したりしている方もいるかもしれません。
しかし、上述したように、行動経済学によると、「ポイント残高が少ない顧客に対してポイント利用を促すと、お得感(知覚価値)を減少させてしまう可能性がある」と示唆されています。
ポイントマーケティングにおいても、行動経済学の知見を取り入れることで、より効率的にキャンペーンや顧客のポイント利用を促すことができるかもしれません。
まとめ
ポイントの利用を促すといったケースにおいても、行動経済学の知見に基づいた施策を取り入れることで、顧客の知覚価値(お得感)を損なわずに済むと考えられます。
加えて、ポイント施策の担当者は、「独自ポイント」を展開するだけではなく「共通ポイント」や「ポイント交換サービス」にも対応すれば、幅広い消費者を自社の顧客として取り込みやすくなることを認識しておきましょう。
例えば、ジー・プランの法人向けソリューション「ポイント・コンセント」や「PCT LITE」なら、共通ポイントの直接発行や、独自ポイントから共通ポイントへの交換が可能になります。消費者の利便性が高まり、集客増に結びつくので、導入することも選択肢のひとつとして検討してみてはいかがでしょうか。
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