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【2024年最新】映画業界のポイント白書~シネコン・小規模映画館編

コロナ禍による影響を大きく受けた映画業界では、映画館入場者数がようやくコロナ禍前の状況に戻りつつあるものの、ミニシアターでは閉館が相次いでいます。この状況を打開するため、あるいはさらなる売上向上を促進すべく、ポイントサービスによる顧客囲い込みやリピーター確保を通じた巻き返し策が講じられています。

複数のスクリーンを持ち、映像・音響設備を備えたシネマコンプレックス(以下、シネコン)では、多くの企業が独自ポイントサービスを展開しています。会員登録により、最新の情報提供を行うことはもちろん、一定回数の有料鑑賞で無料鑑賞特典が得られたり、誕生日割引を提供したりといった、リピーターに訴求、あるいは顧客に特別感を与えるようなポイントサービスがいくつか展開されています。

また、小規模な映画館でも同様なポイントサービスが展開されており、いずれもアプリやインターネットから会員登録可能なものが主流になっています。一部では、紙のポイントカードのみの施策や、プラスチックカードとオンラインでの会員登録を併用した施策が展開されています。この記事では、大手シネコンを中心に映画業界のポイントサービスについて詳しく解説します。 


<この記事のポイント>

  • ポイント1    映画業界では、施設ごとに独自ポイントサービスが展開されている。

  • ポイント2 アプリやウェブから会員登録することにより割引や特典が得られる仕組みが主流。
  • ポイント3 リピーターに訴求した施策が多く、顧客満足度の向上につながっている。


目次[非表示]

  1. 1.映画業界は独自ポイントサービスの施策が主流
    1. 1.1.少数の大手シネコンは共通ポイントも導入
  2. 2.シネコンのポイントサービス事例
    1. 2.1.1,TOHOシネマズ
    2. 2.2.2,イオンシネマ
    3. 2.3.3,ユナイテッド・シネマ
    4. 2.4.4,シネマサンシャイン
    5. 2.5.5,松竹マルチプレックスシアターズ
    6. 2.6.6,ヒューマックスシネマ
    7. 2.7.7,シネマワールド
  3. 3.小規模映画館のポイントサービス事例
    1. 3.1.1,チネチッタ
    2. 3.2.2,神保町シアター
    3. 3.3.3,キネマ旬報シアター
    4. 3.4.4,シネマイクスピアリ
    5. 3.5.5,新文芸坐(名画座)
    6. 3.6.6,キネカ大森(名画座)
    7. 3.7.7,元町映画館
    8. 3.8.8,なんばパークスシネマ
  4. 4.まとめ
  5. 5.おすすめの資料はこちら


映画業界は独自ポイントサービスの施策が主流

映画業界をけん引するシネコンのポイントサービス導入の特徴として、会員登録サービスに加えて独自ポイントサービスが展開されている点が挙げられます。ポイントサービスの特典は、「作品を一定回数鑑賞すると、1回無料で映画鑑賞ができる」といったリピーターに訴求したものが多くなっています。

この、独自ポイントによるポイントサービスの展開は、大手シネコンだけでなく小規模映画館でも比較的多く採用されています。一方、ポイントサービスを導入していない映画館では、会員登録サービスを提供し、顧客に上映作品や館内サービスの最新情報を提供する、といった取り組みがなされています。


少数の大手シネコンは共通ポイントも導入

少数ではありますが、大手シネコンでは、dポイントやWAONポイントといった共通ポイントを導入している映画館があります。例えば、TOHOシネマズはdポイント、イオンシネマはWAONポイントとdポイント、松竹マルチプレックスシアターズはdポイントが、たまる・使えるお店となっています。各映画館では、独自ポイントサービスに加え、これらの共通ポイントのメリットも得ることができます。一方で、小規模映画館では、共通ポイントを導入しているところがほとんどありません。


シネコンのポイントサービス事例

シネコンでは、どのようなポイントサービスを導入しているのでしょうか。以下では、大手シネコンのポイントサービス事例について解説します。


1,TOHOシネマズ

東宝株式会社が全国に展開するTOHOシネマズ入会金・更新料ありの「シネマイレージ®カード」の発行により、マイルをためることができ、たまったマイルで映画館内の飲食物と交換できるポイントサービスを提供しています。

マイルは、本編上映時間1分=1マイルで換算してためることができ、映画鑑賞をした翌年12月31日までが有効期限となっています。

また、特定の曜日に映画鑑賞料金が割引になったり、「スタンプラリー」と称して、有料で6本映画を鑑賞すると1本無料になったりといったカード特典も提供しています。

クレジット機能が搭載された「シネマイレージ®カードセゾン」は初年度無料、2年目より有料となっており、カード利用でたまる「永久不滅ポイント」は、JALマイレージやdocomo、auのポイントにも移行可能。さらに「永久不滅ポイント」200ポイントをTOHOシネマズ映画鑑賞引換券1枚に交換できる特典があります。


2,イオンシネマ

イオングループのイオンシネマでは、入会費・更新費ありの「ワタシアタープラス」に登録することで、ポイント「ミタ」をためることができます。映画を1回鑑賞するごとに、1ミタずつたまり、2ミタで1,300円クーポン(「一般作品」(通常1,800円で見られる映画)を1,300円で鑑賞できるクーポン)に交換可能、6ミタで自動的に無料鑑賞クーポン1枚と交換できます。

その他、入会時や月に1回、映画観賞クーポンのプレゼントや、売店で使用できるクーポンの配布などの特典があります。さらに、座席指定で先行予約ができる「e席リザーブ」を一般よりも3時間早く予約することができ、人気作品でも座席指定をした上で映画鑑賞の予約がしやすくなっています。


3,ユナイテッド・シネマ

ユナイテッド・シネマでは、入会手数料・更新料ありのメンバーズカード「CLUB SPICE」に入会することで、ポイントをためることができます。映画1本鑑賞ごとに1ポイントたまり、6ポイントで映画1本無料となります。その他、平日であれば会員価格で映画鑑賞できるなどの特典も提供しています。


4,シネマサンシャイン

シネマサンシャインでは、年間有料会員サービス「シネマサンシャインリワード」を展開しており、入会や映画鑑賞1回ごとに1ポイントたまるポイントサービスを提供しています。たまったポイントは2ポイントで1,200円鑑賞券(「一般作品」(通常1,800円で見られる映画)を1,200円で鑑賞できる券・一部対象外や別途差額料金必要)に、6ポイントで1回無料鑑賞することができます。

その他、会員限定でオンラインチケット早期購入ができたり、特定の曜日に会員サービスデイを設け、特別価格で映画鑑賞ができたりといった特典も提供しています。


5,松竹マルチプレックスシアターズ

松竹マルチプレックスシアターズでは、年会費・入会金無料の会員サービス「SMT Members」を提供しており、有料鑑賞1回につき10ポイントをためることができます。60ポイントで無料鑑賞クーポンに交換できます。

ただし、クーポン利用は1上映回につき会員本人1枚のみ利用可、無料鑑賞クーポンを利用できる座席数には限りがあるなどの制約を設けています。また、ポイントの有効期限は、最終加算日から6カ月となっています。その他、リピーター割引やお誕生日特典なども提供されています。


6,ヒューマックスシネマ

ヒューマックスシネマでは、入会金のみ有料、年会費・更新料無料の「ヒューマックスシネマ」ポイントカードを発行しています。チケット1枚購入、鑑賞すると1ポイントがたまり、6ポイントでチケット1枚が無料になります。

また、フード・グッズ購入でポイントがためられるLINEミニアプリ「HUMAX CINEMA ポイントプラス」も提供。年間累計購入金額により、グリーン・ブロンズ・シルバー・ゴールド・ロイヤルの5ランクに分けられ、グリーンではポイント付与率が0.5%、ロイヤルではポイント付与率が5%と、ランクが上がるごとにポイント付与率も上がります。

ためたポイントは30ポイントから、ポップコーンなどの商品や映画館関連グッズ、映画招待券ペアなどと交換することができます。


7,シネマワールド

シネマワールドでは、年会費・更新料ありの「シネマワールドメンバーズ」に会員登録することで、ポイント特典を受けることができます。店頭ではプラスチックカードも発行しています。

利用回数により会員ランクが設定されており、会員ランクに応じた割引鑑賞クーポンの発行や、バースデークーポンの発行といった特典が提供されています。また、1回鑑賞ごとに1ポイントたまり、6Pで無料鑑賞クーポン1枚を得ることができます。

マイページ会員に登録することで、60歳以上の会員は常時割引価格で鑑賞できるなど、年齢層に応じた特典も展開しています。


小規模映画館のポイントサービス事例

小規模な映画館でも、さまざまな独自ポイントサービスを展開しています。以下では、小規模映画館のポイントサービス事例について解説します。


1,チネチッタ

神奈川県川崎市の映画館「チネチッタ」では、会員サービス「チネクラブ」を運営しており、独自ポイントがたまるポイントカードを発行しています。カード作成は有料ですが、年会費や更新料はありません。

有料鑑賞1回につき10ポイントたまり、50ポイントで無料鑑賞クーポン1枚と交換できます。ポイント有効期限は最後の有料鑑賞日から1年間となっています。


2,神保町シアター

東京・神保町の「神保町シアター」では、「神保町シアターポイントカード」を発行しています。手続き不要、随時受付で発行される紙のポイントカードで、有料入場1回につき1ポイント押印、5ポイントで次回以降にカードと引き換えに無料入場券が進呈されます。


3,キネマ旬報シアター

千葉県柏市の「キネマ旬報シアター」では、年会費が必要な「友の会」会員に登録すると、スタンプカードが発行され、スタンプを5つためると「鑑賞券」がプレゼントされます。会員有効期限は1年となっており、その他KINEJUN図書館の書籍貸出サービスの特典などが付いてます。


4,シネマイクスピアリ

千葉県浦安市の「シネマイクスピアリ」では、入会金・年会費無料の「ムービーファンカード」を発行しています。ポイントには最終鑑賞月の翌月から3カ月間の有効期限がありますが、カード自体には有効期限はありません。

映画を1作品有料鑑賞すると1ポイントたまり、6ポイントごとに1回映画を無料鑑賞することができます。マイページに追加情報を登録しておくと、カード紛失時に手数料を負担することで会員情報やポイントを引き継いだまま再発行が可能となっています。


5,新文芸坐(名画座)

東京・東池袋の「新文芸坐」では、「映画ランド」アプリを通じて年会費有料の「新文芸坐会員」に登録することで、ポイントサービスを受けることができます。チケット料金の10%がポイント還元され、500ポイントから割引クーポンと引き換えることができます。


6,キネカ大森(名画座)

東京・品川の「キネカ大森」では、キネカ大森専用の会員カード「キネカード」を発行しています。キネカードは年会費有料で、名画座1回鑑賞で1スタンプ押印してもらえ、6個たまると次回の名画座を1回無料で鑑賞できます。年間の鑑賞回数が30回を超えると、ゴールド会員やプラチナ会員など、会員ランクにステージ制が設けられており、ロードショーの無料鑑賞招待券やフード引換券プレゼントなどの特典があります。


7,元町映画館

神戸・元町の「元町映画館」では、「元町映画館スタンプカード」を発行しています。1作品鑑賞ごとにスタンプを1つ押印してもらえ、スタンプが10個たまったカードを持参すると、1作品無料(一部対象外あり)で鑑賞することができます。


8,なんばパークスシネマ

大阪・難波の「なんばパークスシネマ」は、「PARKS CINEMA members」という会員制度を採用しています。カード発行なしでもインターネットから会員登録ができ、会員本人の有料鑑賞1回につき10ポイント付与され、60ポイントで無料鑑賞クーポンに交換が可能。

また、有料鑑賞1回で次回使える鑑賞クーポンが付与される「リピーター割引」も実施しています。その他、お誕生日クーポンの発行や、一般よりも先行購入できる特典なども採用しており、顧客満足度の向上に貢献しています。


まとめ

都心から地方まで、大小問わず映画館のポイントサービスを調査するなか、多くの映画館は顧客とのエンゲージメント強化とリピーター獲得のために、独自ポイントサービスを提供していることがわかりました。無料(割引)鑑賞や飲食物との交換など、魅力的な特典は顧客の再来店を促進する重要な役割を果たしています。

課題としては、年齢層や興味関心に応じた特典提供など、多様な顧客層への対応が挙げられます。例えば、若年層向けにはスタンプラリーや複数回鑑賞割引、シニア層向けにはお得な鑑賞時間帯設定などは、幅広い顧客層を引きつける重要な要素となり得ます。

さらに、ポイントサービスの価値を高めるために、クレジットカード会社や他のポイントプログラムとの連携も有効です。ポイントの相互交換や共同キャンペーンは、新たな顧客層の獲得にもつながります。

また、映画業界の顧客満足度向上のためには、顧客からのフィードバックを収集し、サービスの改善に活かすことが重要です。顧客のニーズや期待の変化に敏感に対応し、サービス内容を調整する必要があります。

映画業界では、特に小規模館において、アナログのポイントカード(スタンプカード)のシステムが根強く残っています。近年は、従来のリアルスタンプによるポイントサービスを残しつつも、簡易に利用できるアプリサービスも増えており、今後は、顧客の利便性を向上するために、ポイントサービスのデジタル化がさらに進むと考えられます。

自社の独自ポイントを、共通ポイントなどに交換できれば、さらなる顧客満足度の向上につながります。ジー・プランが提供するソリューション「ポイント・コンセント」は、150社以上の銘柄と提携しており、大手・共通ポイントはもちろん、地域独自ポイントなどへの直接交換も可能です。

また、ジー・プランが提供する「PCT LITE」では、自社の独自ポイントの景品(電子ギフト)とすることで、顧客がdポイントや楽天ポイントなどへ簡単に交換することができます。独自ポイントと共通ポイントを活用することで、顧客満足度の向上や、他社との差別化にもつながります。自社のポイント施策のひとつとして、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。



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中野友希
中野友希
大学院で租税法を専攻し法学修士を取得。税理士補助・社労士補助、衛生管理者などを経て、フリーライターに。ビジネス、ガジェット、ヘルスケア、ペットなどのWEBメディアを中心に『読むサプリ』をモットーに執筆中。

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