
【2026年版】アパレル業界のポイント白書
2024年の総小売市場規模は8兆5,010億円(前年比101.7%、4年連続プラス成長/矢野経済研究所2025年12月発表)と非常に大きい、日本国内のアパレル業界。大規模なブランド展開から、小規模なブランド・ショップまで裾野は広く、ポイントマーケティングの面でも注目を集める業界といえます。この記事では、大手を中心にアパレル業界のポイントサービスについて詳しく解説します。
大小さまざまな規模のポイントサービスを網羅することで見えてくる、アパレル業界におけるポイントサービスの現状分析と、今後の展望もまとめました。
アパレル業界に関わる方も、他業種の方も、ポイントマーケティングの展開例としてぜひ参考にしてください。
<この記事のポイント>
ポイント1 リピーターの獲得、顧客データの管理にポイントサービスが有効
- ポイント2 アパレルショップの多くは独自ポイントを展開
- ポイント3 近年では、自社ポイントと共通ポイント・他社ポイント/マイルとの相互交換に踏み出す事例も出てきている

目次[非表示]
- 1.アパレル業界がポイントサービスを導入する理由
- 1.1.リピーターの獲得が期待できるため
- 1.2.顧客データを一元的に管理するため
- 2.アパレル業界のポイントサービス事例
- 2.1.WORLD
- 2.2.ONWARD
- 2.3.and ST(旧.st/旧ドットエスティ)
- 2.4.TSIホールディングス
- 2.5.ユナイテッドアローズ
- 2.6.ABCマート
- 2.7.楽天市場
- 2.8.Yahoo!ショッピング
- 2.9.ZOZOTOWN
- 3.まとめ
- 4.おすすめの資料はこちら
アパレル業界がポイントサービスを導入する理由
まずは、なぜアパレル業界ではポイントサービスが浸透しているのかを解説します。
リピーターの獲得が期待できるため
マーケティングにおいて新規集客には、既存顧客の5倍のコストがかかる(1:5の法則)とされます。高いコストをかけて集客した新規顧客を1度の来店で逃すのは大きな損失なのです。
そこで、多くのアパレルショップがリピーターの獲得に活用しているのがポイントサービス。
貯めたポイントを商品代金の支払いや記念品への交換などに使えるようにし、顧客に「ポイントを貯めたい」「ポイントを使いたい」と思わせ、次回以降の来店を促しているのです。
顧客データを一元的に管理するため
新規顧客から既存顧客を獲得したあとは、その顧客をいかに維持するのかが課題です。新規顧客の獲得よりコストは低いとはいえ、何もしなければ既存顧客は離れていってしまいます。
そこで、再び活躍するのがポイントサービスから得られる顧客データです。
ポイントには常に顧客の購買行動が紐付けられます。この顧客データを分析することで一人ひとりに焦点をあてた商品のリコメンドが可能となり、ひいては顧客の囲い込みにつながるのです。
このように、アパレル業界においてポイントサービスとは、新規顧客から既存顧客を獲得し、さらには既存顧客をその企業や店舗のファンにまで育てることができる重要なツールと言えます。
アパレル業界のポイントサービス事例
ただ、ポイントサービスを導入したからといって、必ずしも成果が上がるとは限りません。そこで、ここからはアパレル業界で有名な企業、店舗のポイントサービスの事例を見てみましょう。
まずは、複数のブランドを擁するアパレルグループによるポイントサービスです。
WORLD
- サービス名:WORLD Premium Club
- 種類:自社ポイント
- 対象:全国約2,500店舗とワンワールドオンラインストア
- 還元率:100円の買い物につき1ポイント
WORLD Premium Clubは「UNTITLED」や「TAKEO KIKUCHI」、「HusHusH」などWORLDが展開する約50のブランドでの買い物に使えるのが魅力です。それぞれのブランドが抱えるファンを1つのポイントサービスで一元管理することで、自社ポイントながら幅広い顧客の情報を収集しています。
ONWARD
- サービス名:オンワードメンバーズポイント
- 種類:自社ポイント
- 対象:全国のオンワードメンバーズ対象ショップ
- 還元率:年間の買い物総額に応じたステージで変動
オンワードメンバーズポイントは「23区」や「組曲」など、オンワードホールディングスが展開するブランドを扱うオンワードメンバーズ対象ショップで使えるポイントサービスです。BLUE/GOLD/PLATINUM/DIAMONDの4ステージ制で、年間の買い物総額に応じてポイントの還元率が変わります。2026年3月1日のステージ更新からはGOLDステージへの引き上げ条件が「年間20万円以上」から「年間10万円以上」に緩和され、オンライン還元率もリニューアルされました。買えば買うほど還元率がアップする仕組みで、顧客の購買意欲を高める効果が期待できます。
and ST(旧.st/旧ドットエスティ)
- サービス名:and STポイント
- 種類:自社ポイント/共通ポイント(dポイント・楽天ポイント)
- 対象:店舗やオンラインストアでの購入、レビュー投稿、Q&A回答、店舗アンケートなど
- 還元率:自社ポイントは年間の買い物総額に応じたステージで変動/dポイント・楽天ポイントは200円(税抜)ごとに各1ポイント
「and ST」は、アンドエスティホールディングス(2025年3月にアダストリアから商号変更)が展開する全国約1,300店舗とWEBストアを統合したアパレル・プラットフォーム。「グローバルワーク」「ローリーズファーム」「ニコアンド」など、比較的若年層や子育て世代の女性を中心に人気の30超のブランドを扱っています。and STのポイントサービスは、商品の購入だけでなく、レビュー投稿やQ&A回答、店舗アンケートなどさまざまな手段でポイントを付与しているのが印象的です。商品を買わなくてもポイントを貯められるので、リピーターまでにはなっていない顧客もつなぎ止めることができます。また、レギュラー~ダイヤモンドまで5段階のランク制を敷いており、最低3%(24,999円以下)から最大7%(250,000円以上)と購入金額に応じて還元率がアップします。2024年12月発行の「and ST CARD」を使用すると、会員ランクに応じてレギュラー5%~ダイヤモンド9%のand STポイントが貯まります。
さらに2025年9月16日からは、dポイントに加えて楽天ポイントとも連携し、「and STポイント」「dポイント」「楽天ポイント」の3社同時付与・使用(トリプル付与)を全国約1,300店舗とWEBストアでスタートしました。同社は「アパレル業界初のポイントサービス大手2社を含む3社のポイント同時付与・使用」と公表しています。
加えて2026年3月16日からは、JALマイレージバンクとのポイント相互交換サービスも開始。「and STポイント」1,000ポイント→JALのマイル500マイル、「JALのマイル」3,000マイル→「and STポイント」1,500ポイントといったレートで、自社ポイントとマイルを双方向に交換できるようになりました。共通ポイントの「同時付与」(入口の拡張)と他社ポイント・マイルとの「相互交換」(出口の拡張)を、自社ポイントを軸に組み合わせている事例として注目されます。
TSIホールディングス
サービス名:m.tポイント
種類:自社ポイント/共通ポイント(楽天ポイント)
対象:m.tポイントはmix.tokyo membersおよびグループ傘下ブランドの会員サービス/楽天ポイントカードはブランド単位で順次導入
還元率:レジで「m.t会員カード」と「楽天ポイントカード(楽天Payアプリ含む)」を併用提示することで両ポイントを同時付与
TSIホールディングスは、グループ共通の自社ポイント「m.tポイント」を維持しながら、ブランドごとに楽天ポイントカードを重ねていく構成が特徴です。2023年8月のナノ・ユニバースを皮切りに、2025年4月にPEARLY GATES(ゴルフウェア)、2025年12月にPROPORTION BODY DRESSING、FREE'S MART(レディース)、さらに2026年4月にNATURAL BEAUTY BASIC、N. Natural Beauty Basic、JILL by JILL STUARTの3ブランドが新たに加わり、現在は計7ブランドと、ジャンル横断で段階的に取り扱いブランドを拡大しています。自社ポイント基盤を全面的に入れ替えるのではなく、共通ポイントをブランド単位で重ねる「並行運用型」の進め方として参考になる事例です。
次に、独自展開のセレクトショップによるポイントサービスです。
ユナイテッドアローズ
- サービス名:UAクラブ
- 種類:自社ポイント
- 対象:店舗とオンラインストア
- 還元率:購入金額1,000円以上に対して、100円あたり1ポイント
国内外のアイテムを扱うセレクトショップのユナイテッドアローズは、2023年夏にポイントサービスをリニューアルし、現在は「UAクラブ」として購入金額に応じて貯めたマイルを、クーポンに交換できるサービスを展開しています。店舗やオンラインストアでの購入で1円(税抜)=1マイル(セール時は2円=1マイル)が貯まり、50,000マイルからクーポンに交換でき、マイルを多く貯めるほどより交換率の高いクーポンがもらえるという仕組みです。また、ショッピングだけでなくアプリのインストールやLINEアカウントの連携、ショッピングバッグの辞退など、さまざまなアクションでもマイルが貯まり、顧客の個人情報を収集しやすい足がかりにもなっています。
ABCマート
- サービス名:ポイント
- 種類:自社ポイント
- 対象:店舗とオンラインストア
- 還元率:購入金額1,000円以上に対して、100円あたり1ポイント
全国展開する靴の小売りチェーン、ABCマートのポイントサービスでは、購入金額1,000円以上に対して、100円あたり1ポイント、つまり1%のポイントが還元されます。アプリに登録するとすぐ使える500円分の「新規会員登録クーポン」がプレゼントされる仕組みを用意することで、アプリをダウンロードすることに対する顧客のハードルを低くし、効率的に新規の利用者を増やしています。そうして得られた情報はマーケティングに役立ちます。
最後に、アパレル商品を展開するショッピングモールのポイントサービスです。
楽天市場
- サービス名:楽天PointClub
- 種類:共通ポイント
- 対象:楽天市場、楽天証券、楽天銀行、Rakuten Energyなど
- 還元率:100円の買い物につき1ポイント
小物から食品、家電など「なんでも揃う」ショッピングモールである楽天市場ですが、アパレルショップの出店も多く、また「ブランド公式アイテム」の取り扱いを謳う「Rakuten Fashion」も展開するなど、アパレル商品の販路として避けて通れない存在でもあります。そんな楽天市場でアパレル商品を購入した場合に貯まる(使える)楽天PointClubは、アパレル以外の買い物の場合と共通なので、幅広い顧客を持ちます。同じアイテムなら「ポイントを貯めている楽天のショップで」と考えるユーザーも多いことでしょう。
Yahoo!ショッピング
- サービス名:PayPayポイント
- 種類:共通ポイント
- 対象:Yahoo!ショッピングなどYahoo! JAPANの関連サービス、PayPay提携店
- 還元率:基本の付与1%に加え、「毎日もらえる 最大+5%」「5のつく日+4%」「PayPayカード・PayPayクレジット利用で+1%」などのキャンペーン特典を組み合わせて獲得(2025年2月からPayPayポイント・ヤフーショッピング商品券は「PayPayポイント(期間限定)」に統合済み)
上記の楽天市場と非常に似た存在であるのがYahoo!ショッピングです。PayPayポイントが貯まるYahoo!ショッピングも大規模のショッピングモールで、多くのアパレルショップが出店しています。Yahoo!ショッピングのポイントサービスは計算方法が複雑ではありますが、一方で上手に組み合わせれば高い還元率でポイントを得られることで有名です。また、2025年7月時点で登録ユーザー数が7,000万人を突破し、日本の人口の約2人に1人が登録しているPayPayに対応することで利便性が高まり、顧客のリピートを促しています。
ZOZOTOWN
- サービス名:ZOZOポイント
- 種類:独自ポイント
- 対象:ZOZOTOWN
- 還元率:ZOZOTOWNでの通常の買い物のほか、ブランド古着買取サービスやLINEギフトなど利用するサービスによって変動
WEB/アプリで展開するアパレルのセレクトショップとしてはもはや最大手といえるZOZOTOWN。前項の楽天市場やYahoo!ショッピングと同様に、モール型のオンラインショップではありますが、ポイントサービスの種類はあくまでもZOZOTOWNでのみ使える独自ポイントです。ポイントの貯め方はZOZO CARD(クレジットカード)での購入で5%還元というもので、他の支払い方法で貯まるポイントは基本的にはありません。モールに出店しているブランドごとにポイント還元がある場合もありますが、そこで得たポイントは当該ショップでしか使えません。若干、利用範囲の狭さが目立つものではありますが、ほかでは使えないという独自性によって、顧客の囲い込みを強固なものとしています。また、古着の買い取りも積極的に行なっているZOZOTOWNならではの取り組みとして、買い取り時にポイントによる買い取りを選択すると、査定額が5%アップするといった施策も。現金ではなくポイントを動かすことで、買い取りと新規購入の回転をスムーズにしています。
まとめ
多くのブランドが集まったECサイトでは、ブランドを横断してアイテムを集めて見せたり、スタッフのリアルなコーディネートを紹介するなど、好きなブランドをきっかけに、ほかのブランドへの興味関心を促進するコンテンツが多くみられます。アパレル系のECサイトではコスメや生活雑貨などの取り扱いも多く、ライフスタイル全般を楽しめるよう工夫されていることも昨今の特徴のひとつといえるでしょう。好きなブランドの店舗で購入するのとは違った楽しさや学びを提供することで、ブランドだけでなく、そのサイトへのファン化や帰属意識を高めています。
さて、昨今、共通ポイントを中心に展開されるポイントマーケティング界にあって、大手アパレル業界では自社ポイントを多く展開していることがおわかりいただけたと思います。このことが、顧客の定着やロイヤルカスタマーの育成に効果を上げているといえるでしょう。中にはand STの例のように、自社ポイントに加えてdポイント・楽天ポイントを同時付与する「トリプル付与」や、JALマイレージバンクとの相互交換まで踏み込むケースも出てきています。また、TSIホールディングスのようにグループの自社ポイントを維持しつつ、ブランドごとに共通ポイントを重ねていく進め方も見られます。ポイントの二重取り、三重取りが当たり前になってきているなか、今後はアパレル業界全体で大手を中心にその流れに追随していくことが予想されます。自社ポイントの有効活用とともに、共通ポイントを併用したり、他社ポイント・マイルとの相互交換を取り入れたりすることで既存顧客へのサービスの強化や、新規顧客の獲得が期待できます。
この記事では大手アパレル業界を中心に主だった事例を見てきましたが、国内アパレルの売上最大手であるファーストリテーリングのユニクロでは、2026年4月時点でもポイントサービスを導入していません。ポイントでの還元よりも価格を下げることで顧客に還元するという考え方でポイントサービスを導入しない企業は他業種でも見受けられますが、今後ファーストリテーリングがポイント業界に参入するかの動向が注目されています。
また、記事でも紹介した「ABCマート」「ZOZOTOWN」は自社のECサイトのほか、楽天市場やYahoo!ショッピング内でも展開することで、ユーザーが自分の貯めているポイントを考慮して購入するサイトを選べるような形をとっています。顧客満足度の向上につながる施策といえますが、このような展開は出店料などのランニングコストを考えると、大手企業ならではともいえるでしょう。
そこで、より効率的でユーザーメリットの高いポイント施策を検討するならば、「共通ポイントなどと交換することが可能な仕組み」を用意する方法もあります。ジー・プランの「ポイント・コンセント」を導入すれば、独自ポイントを共通ポイントなど(約150銘柄)に直接交換することが可能です。また、「PCT LITE」なら、自社の独自ポイントの景品(電子ギフト)とすることで、顧客がdポイントや楽天ポイント、PayPayポイントなど主要銘柄と手軽に交換できます。自社ポイントと共通ポイントをうまく使うことで、顧客満足度を向上し、他社との差別化にもつながる施策としてご検討ください。
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