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地方スーパーの差別化戦略!ドラッグストアとの競争に生き残るためのポイントサービスとは?

近年、地方のスーパーマーケットは、ドラッグストアや大手スーパーの台頭により、競争が激化しています。ドラッグストアは、薬品を取り扱っているだけではなく、生鮮食品も安い価格で販売しているため、ローカルスーパーの経営に携わっている方は「顧客が流出していく」という事態に頭を悩ませているのではないでしょうか。

本記事では、主に「ポイントサービス」という切り口・観点から、顧客を確保するための方策を徹底解説します。ローカルスーパーの経営やマーケティング、ポイント施策などに携わっている方は、ぜひ参考にしてください。


<この記事のポイント>

  • ポイント1    ドラッグストアの進出により、地方スーパーの顧客が流出しつつある

  • ポイント2 競争に生き残るためには、地域密着型のセールスを展開する必要がある
  • ポイント3 独自ポイントの付与や、共通ポイントと交換できる仕組みの提供も重要



目次[非表示]

  1. 1.ドラッグストアの進出が脅かすローカルスーパー市場
    1. 1.1.ドラッグストアの強さの理由①価格の安さ
    2. 1.2.ドラッグストアの強さの理由②生鮮食品を取り扱っていること
  2. 2.力の出し方に特徴が見られるドラッグストアのポイントサービス
    1. 2.1.ウエルシアホールディングス
    2. 2.2.ツルハホールディングス
    3. 2.3.コスモス薬品
  3. 3.ドラッグストアの進出で顧客を奪われるローカルスーパー
    1. 3.1.地域性を活かしたローカルスーパーの動き
    2. 3.2.できているように思えても、実際にはできていない「地域密着」
  4. 4.競合進出に備えるために大切なこと
    1. 4.1.近所密着型のセールスやポイントサービスの展開
    2. 4.2.地域連携ポイントやポイント交換サービスの導入
  5. 5.まとめ
  6. 6.おすすめの資料はこちら

ドラッグストアの進出が脅かすローカルスーパー市場

近年、ドラッグストアや大手スーパーの地方進出により、ローカルスーパーが苦境に立たされています。

ドラッグストアに関しては、「薬や医療機器(血圧計など)を販売している店舗だから、地方スーパーと競合する相手ではない」とお考えの方がいるかもしれませんが、実際には「日用品(ティッシュ、洗剤など)」や「食品」も販売しており、地方スーパーから顧客を奪う存在であることを認識しておきましょう

最近のドラッグストアは「安売りの王者」「薬も購入できるスーパー」などと形容されており、加工食品や冷凍食品に加えて、生鮮食品(生の野菜・果物、肉、魚など)を取り扱う店舗も増加中です。

以下、ドラッグストアが快進撃を続けている要因である「価格の安さ」と「生鮮食品を取り扱っていること」について説明します。


ドラッグストアの強さの理由①価格の安さ

ドラッグストアの強みは、圧倒的な「価格の安さ」です。菓子や飲料に関しては、一般的なスーパーより2~3割程度も割安な価格で販売されているケースが多いことをご存じでしょうか。

そこにあるのは、「日用品や食品の安売りで顧客を呼び込み、処方箋が不要なOTC医薬品を購入してもらう」というビジネスモデルです。OTC医薬品の粗利率は5割を超えているため、日用品や食品の販売で得られる利益が少なくても、店舗全体としては高い収益を上げることが可能になっています。


ドラッグストアの強さの理由②生鮮食品を取り扱っていること

近年、ドラッグストア業界の売上が拡大し続けており、経済産業省の「商業動態統計」によると、2022年の業界全体の商品販売額は7兆7,094億円(前年比5.5%増)、店舗数は18,429店(前年比4.6%増)でした(※1)。ドラッグストアの市場規模は拡大傾向にあり、食品スーパーやコンビニエンスストアといった業態から顧客を奪っています。

業績拡大の背景にあるのは、「食品」の売上高の増加です。例えば、2023年4~6月期は、前年同期比13%増となっています(※1)。最近は加工食品や冷凍食品だけではなく「生鮮食品」も取り扱うドラッグストアが増えており、医薬品や化粧品の売上を基に、食品や日用品で安値攻勢が展開されてきました

※1 出典:経済産業省「商業動態統計調査」

ドラッグストアは、高齢化や過疎化による小商圏化が進む地方において、充分な数の顧客を集めるために、生鮮食品の取り扱いを拡大しています。品質の良い食材を安い価格で販売し、弁当や総菜など、多様な商品を展開している様子を目の当たりにして、生鮮食品を主力とする地域スーパーは脅威を感じているかもしれません。​

加えて、「ポイントサービス」を実施し、顧客のロイヤルティを高める努力をしていることも、ドラッグストアの脅威と言えるでしょう。例えば、ツルハやマツモトキヨシ・ココカラファインでは、オリジナルポイントと共通ポイントの両方に対応し、セール・キャンペーンも頻繁に展開されています。また、ウエルシアでは、共通ポイントであるTポイントとWAON POINTの2重取りが可能です。


力の出し方に特徴が見られるドラッグストアのポイントサービス

ドラッグストアのなかから、売上が多い4社をピックアップし、下表に各社のポイント施策の特徴をまとめました。

ウエルシアホールディングス
  • 2023年3月28日に、全国約2,500店舗で、イオンマーケティングが提供する「WAON POINT」への対応が完了
  • 「Tポイント」との2重取りも可能
  • 独自ポイントは展開していない
  • 毎月20日は「お客様感謝デー」としてTポイントまたはWAON POINTを使うと通常の1.5倍分買い物できる

ツルハホールディングス

  • 独自ポイント「ツルハグループポイント」を展開
  • 「楽天ポイント」にも対応
  • ツルハドラッグカード(クレジットカード)で支払うと、WAON POINTを獲得可能
コスモス薬品
  • ポイントサービスを実施していない
マツキヨココカラ&カンパニー
  • 「マツキヨココカラポイント」を展開
  • 2023年6月にマツモトキヨシとココカラファインのポイントサービスが統合
  • 購入金額に応じて、還元率が変動
  • dポイントにも対応


上表のうち、マツキヨココカラ&カンパニーに関しては、生鮮食品の取り扱いが少なく(「もやし」「カット野菜」といった商品のみ)、インバウンド需要に特化し、都市部への出店に注力していることにご留意ください。

以下、地方に積極的に出店し、生鮮食品の取り扱いもある「ウエルシアホールディングス」「ツルハホールディングス」「コスモス薬品」の3社のポイント施策について詳しく説明します


ウエルシアホールディングス

ウエルシアのポイント施策の特徴は、独自ポイントを展開していないこと。その代わりに「WAON POINT」や「Tポイント」が貯まる仕組みが採用されており、「多重取り」をすることも可能です。具体的には、以下の条件を満たすことで、WAON POINTとTポイントの両方が付与されます。

  • 「ウエルシアメンバー」になっている
  • 会計時に「WAON POINTカード」および「Tカード」を提示する

付与されるポイント数は、通常、購入金額100円(税抜)につきWAON POINT10ポイントおよびTポイント10ポイントです。ただし、毎週月曜日は「ポイント2倍デー」となっており、通常の2倍のポイントを獲得できます。

ウェルシアでは2023年1月から「ウエルシアメンバーWAON POINTカード」を発行しており、2023年3月28日にはイオンマーケティングが提供する「WAON POINT」への対応が全国約2,500店舗において完了しました。
また、特筆すべきが毎月20日の「お客様感謝デー」。この日はTポイントまたはWAON POINTを使うと、通常の1.5倍分のお買い物が可能。つまり、200ポイント使って300円分の商品が購入できるとあって、ポイントを活用する層には「ウェル活」と呼ばれる一大施策となっています(200ポイント以上の利用に限定/上限は3万ポイント)。


ツルハホールディングス

ツルハでは独自ポイント(ツルハグループポイント)と共通ポイント(楽天ポイント)を並立させており、会計時にツルハドラッグポイントカードと楽天ポイントカードを同時に提示した場合、ツルハグループポイントと楽天ポイントの2重取りが可能です

また、ツルハドラッグカード(クレジットカード)で支払うと、WAON POINTが200円(税込)ごとに2ポイント(通常の2倍)付与されます。

ツルハドラッグポイントカード保有者は、購入金額に応じて会員ランクおよび還元率が上がる仕組みになっており、2021年5月16日以降、貯まったツルハグループポイントは「1ポイント=1円相当」の価値で利用できるようになりました。

ちなみに、ツルハは独自のスマートフォン決済サービス「HAPPAY(ハッペイ)」を提供しており、HAPPAYで支払った場合は、原則、220円(税込)につき1ポイントのツルハグループポイントが貯まります。

そのほか、多種多様なセール・キャンペーンを頻繁に実施していることも、ツルハの特色と言えるでしょう(例えば、毎月1日・10日・20日の「ツルハお客様感謝デー」には5%割引が適用)。


コスモス薬品

2023年11月時点において、コスモス薬品は、ポイントサービスを実施していません。過去にはポイントカードが配布されていた時期もありますが、2003年5月に廃止されました。現在では「ポイントは不要」「ポイントカードなどを持つのが面倒」という顧客が不利益を被らないように、ポイント値引き相当分を販売価格へ反映し、商品価格を割安にすることで他社との差別化を図っています。

また、「毎日、同じように安く売る」という姿勢を貫き、特売やセールを実施していないことや、基本的に「現金払い」のみに対応していることも特色です。

100株以上を保有している方に対し、5,000円分の株主優待券が年に2回配布されますが、ポイントサービスやキャッシュレス決済サービスへの対応はありません。システム導入にかかる費用や維持費、手数料などを省くことで、割安な価格での商品販売を実現していると言えるでしょう。

社会のあらゆる領域でポイントサービスが実施されるようになりましたが、今後もコスモス薬品がポイントサービスに対応しない姿勢を貫くのかどうかに注目です。


ドラッグストアの進出で顧客を奪われるローカルスーパー

生鮮食品を取り扱うドラッグストアが次々と地方に進出してくる昨今、さまざまなローカルスーパーが、顧客を奪われないために「地域性を活かす取り組み」を重視しています。ただし、「地域密着」ができているように思えても、実際にはできていないことがあるのでご注意ください。以下、「地域性を活かしたローカルスーパーの動き」をご紹介したうえで、実際には「地域密着」ができていないケースもあることを説明します


地域性を活かしたローカルスーパーの動き

全国展開しているドラッグストアや大手スーパーは、潤沢な資金があり、スケールメリットを活かしてビジネスを展開しています。そのため、「ローカルスーパーは生き残れるのだろうか」と不安になる方がいるかもしれません。

しかし、「地域スーパーならではの強み」を最大限に発揮すれば、ドラッグストアとの競争で生き残ることは可能です。実際に、地元産の生鮮食品や地元メーカーの加工食品を充実させたり、地元飲食店とのコラボレーション企画を実施したりすることで、「地域住民が親しんでいる味を大切にしている」「地元に寄り添う店舗である」とアピールし、顧客流出を阻止している事例が多数あります

ところで、「大手も、地場の野菜や果物を売り場に並べている」と反論したくなる方がいるかもしれません。確かに、ローカルスーパー以外でも、地場産品は取り扱われているでしょう。

ただし、「スタッフの本気度」「郷土愛」に違いがあります。ローカルスーパーの場合、地元で生まれ育った従業員が、「あまり流通しておらず認知度が低いけれども、品質が良く美味しい商品」を自らの足で探し回る傾向があることが強みです。

例えば、東京都や神奈川県で20店舗のスーパーを展開する「文化堂」では、「知名度は高くないものの、高品質かつ価格がリーズナブルな商品」の調達に取り組み、独自の品揃えを実現。競争が激しいエリアで事業を営みながらも、7期連続で増益を達成しました。

また、ローカルスーパーのなかには、本部主導ではなく、各店舗に裁量権を与える「個店経営」によって商圏ニーズにフレキシブルに対応し、「その店ならではの品揃え」を実現して、売上増につなげているケースもあります。

例えば、愛知・岐阜・三重の3県でスーパーを展開する「タチヤ」では、商品の仕入れや売場作りに関する画一的なマニュアルが存在しないそうです。各店舗の仕入れ担当者が市場に出向いて、商圏ニーズに合った商品を買い付け、売場作りを考える体制が構築されています。


できているように思えても、実際にはできていない「地域密着」

筆者の調査によると、ローカルスーパーのファン(上顧客)は、必ずしも近所に住んでいるわけではなく、遠方から買い物に来る方も少なくありません。つまり、「熱心なファンがいつも買い物に来てくれるから、地域密着経営が実現されている」という考えは間違っているかもしれません。

スーパーの利用頻度が高い顧客としては、「ファン的な支持者」のほかに「最寄りだから利用している顧客」も存在しますが、ドラッグストアの進出によって「最寄りだから利用している顧客」が奪われてしまう傾向が、地方スーパーの顧客体験調査で見受けられました。

競合他社の進出に対抗するために最も重要な戦略は、真の意味での「地域密着型経営」を実現することです。すなわち、「店舗の近くに住んでいるファン」を増やし、上顧客として定着してもらえるように努力を積み重ねましょう。


競合進出に備えるために大切なこと

競合進出に備えるために大切なことは、「近所密着型のセールスやポイントサービスの展開」および「地域連携ポイントやポイント交換サービスの導入」です。以下、それぞれについて詳しく説明します。


近所密着型のセールスやポイントサービスの展開

上述したように、ローカルスーパーがドラッグストアとの競争に生き残るためには、「地域性を活かしたサービス」を展開することが欠かせません。

全国のスーパーのセールに関する情報を収集し、ドラッグストア(ツルハなど、細かなセール展開をしている事業者)の動向も参考にしながら、セールやポイントサービスを実施してください。

具体的には、「夜の時間帯のタイムセール」「通勤通学ポイントサービス」「来店ポイント」など、近くに住んでいる人ほど有利になるサービスを展開すれば、「地域に密着したスーパー」として近隣住民から愛される存在になれるでしょう

また、本部ですべての施策を決めるのではなく、各店舗に裁量権を付与したうえで、店舗独自のセールやポイントサービスを、ニーズに応じてきめ細やかに展開することもご検討ください。


地域連携ポイントやポイント交換サービスの導入

「地元のスポーツチームとのコラボレーション企画」や「地域で営業する他社のポイントや、行政主導の地域ポイントとの連携」も、ローカルスーパーが生き残るために有効な施策といえるでしょう

加えて、自社の独自ポイントを、共通ポイント(dポイント、Pontaポイント、Tポイント、楽天ポイント)や、それ以外の大手ポイント(nanacoポイント、WAON POINTなど)に交換できる仕組み(ポイント交換サービス)を提供することも、ドラッグストアや大手スーパーとの競争に生き残るうえで重要になります。


まとめ

ローカルスーパーが、スケールメリットで押してくるドラッグストアや大手スーパーとの競争に生き残るためには、「近所に住んでいるメリットが感じられるスーパー」「近隣住民に愛着と信頼を持ってもらえるスーパー」に変貌する必要があります。

厳しさを増すビジネス環境において、自社が生き残るうえで鍵となるのは、「競合大手に負けないポイントサービス」を実施すること。独自ポイントを提供することに加えて、「共通ポイントなどと交換することが可能な仕組み」を用意することが重要です

例えば、ジー・プランの「ポイント・コンセント」を導入すれば、独自ポイントを共通ポイントなど(約150社の銘柄)に直接交換することが可能になります。また、「PCT LITE」なら、自社の独自ポイントの景品(電子ギフト)とすることで、顧客がdポイントやPontaポイント、Tポイント、楽天ポイントなどと手軽に交換できるようになり、競合他社との差別化に役立つでしょう。



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佐藤拓真
佐藤拓真
2018年頃からライターとして活動。「企業がポイントサービスを活用する方法」「ポイントを活用したビジネスのトレンド」「ポイントを活用したマーケティング手法」「ポイント制度やシステムに関する基礎知識」などについて、フラットな視点からレポートしています。私は「ポイント活動(ポイ活)」が注目されるようになる前から、さまざまなポイント(電子マネー、マイルなどを含む)を貯めてきました。自分自身の経験も踏まえて記事を執筆していくので、企業でポイント制度の導入・運用に携わっている方の参考になれば幸いです。

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