PayPayポイントも参入!「共通ポイント」について徹底解説
近年、共通ポイントの利用が拡大しています。本記事では、共通ポイントの概要や、4大サービス(楽天ポイント、dポイント、Ponta、Tポイント)の特徴について徹底解説します。共通ポイントのメリットやデメリット、2022年10月以降に共通ポイント業界に参入するPayPayポイントの動向も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
この記事のポイント
ポイント1 共通ポイントとは、複数の企業が加盟できるポイントサービス
ポイント2 共通ポイントのメリットとデメリットを把握しよう
ポイント3 2022年10月以降、PayPayポイントが共通ポイント業界に参入
目次[非表示]
共通ポイントの概要と4大サービスの特徴を解説
共通ポイントとは、さまざまな店舗・企業が加盟できるポイントサービスです。例えば、飲食店で貯めたポイントを、ドラッグストアやコンビニエンスストアなど別の店舗、または旅行などでも利用することが可能になり、消費者にとって利便性が高まります。
それに対し、特定の店舗・企業(グループ)内のみで運用されるポイントサービスは、独自ポイントと呼ばれます。
下表に、4大共通ポイントサービス(楽天ポイント、dポイント、Ponta、Tポイント)の特徴をまとめました。
ポイント名 |
特長 |
楽天ポイント |
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dポイント |
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Ponta |
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Tポイント |
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ちなみに、米国ミシガン州トロイに本社を置く調査会社J.D. パワーが実施した「2022年共通ポイントサービス満足度調査」によると、楽天ポイントの満足度が最も高くなっています。
ただし、ユーザーの多くは「メインで利用している共通ポイントを過去に切り替えたことがある」と回答しており、今後どの共通ポイントサービスが覇権を握るのかを予想するのは容易なことではありません。大切なのは、さまざまなニュースをチェックし、常に業界の動向の把握に努めることです。
共通ポイントのメリットとデメリット
共通ポイントの主なメリットは以下の通りです。
- 幅広い顧客層にアプローチできる
- 来店率が向上し、客単価がアップする
- 管理・運用コストを削減できる
共通ポイントは認知度が高く、ブランド力があるため、これまで接してこなかった顧客層に対してもアプローチをしやすくなり、新規顧客の獲得につながります。
また、「共通ポイントを利用できる」という事実が来店を促し、客単価アップに寄与することも認識しておきましょう。同レベル・同価格帯であれば、「共通ポイントを使用したり、貯めたりできる店舗で購入したい」という消費者も存在するため、競合他社に対する優位性を確保できます。
そのほか、独自ポイントに比べて、管理・運用コストを削減できることも魅力です。共通ポイントを利用すれば、自社でデータベースなどを用意する必要はありません。
ただし、共通ポイントサービスには、「独自のルールを作れない」「自由度が低い」といったデメリットもあることにご留意ください。共通ポイントサービスの導入を検討する際には、メリットとデメリットを把握しておきましょう。
PayPayポイントの参入で、共通ポイント市場の活性化が予想される
これまでは、上述した4大ポイントが共通ポイント市場でしのぎを削ってきました。そこに、新しく「PayPayポイント」が参入することをご存知でしょうか。
PayPayとは、2018年10月5日からサービスを開始したスマートフォン決済サービスであり、2022年8月時点でユーザー数が5,000万人を突破しています。PayPayポイントは、PayPayが使える店舗で1ポイント=1円分として利用できるポイントです。
ソフトバンクとヤフーを母体として2018年に設立されたPayPay株式会社は、2018年~2019年の時点では共通ポイント市場への参入に及び腰でした。
しかしながら、2022年3月末の「Yahoo!ショッピング」などにおけるTポイントの付与・利用の終了、および、4月からのPayPayポイントへの切り替えを契機として、共通ポイント業界に乗り出すことになったという経緯があります。
従来は、PayPay側がキャンペーンを実施しない限り、加盟店側が独自にポイント還元を提供することはできませんでした。しかし、2022年10月以降、PayPayポイントが共通ポイント市場に参加した後には、店舗独自のキャンペーンでPayPayポイントを提供することも可能になります。
PayPayの中山一郎社長は、「PayPay決済を導入していない企業でも支払額に応じてPayPayポイントだけためられる、というパターンもありえる」「2023年には発行額1位のポイントを目指す」と述べており、今後、さらに共通ポイント業界が活性化していくことが予想されます。
PayPayポイントの年間発行額は4,000億円弱という規模を誇りますから、共通ポイントサービスの勢力図を塗り替えることになるかもしれません。
なお、PayPay側は、共通ポイントサービス参入に関して詳細な戦略を明らかにしていないため、今後の動向から目が離せません。
ちなみに、ファーストリテイリング(ユニクロ)やヤマダホールディングスは、現状では共通ポイントサービスを採用していませんが、PayPayポイントが両者を切り崩せるかどうかに注目です。
PayPayの母体であるソフトバンクグループを率いる孫正義社長には「突破力」があります。孫社長は、1981年に日本ソフトバンク(現・ソフトバンクグループ株式会社)を創設して以来、常にビジネスの第一線で活躍を続けてきました。携帯電話事業をはじめとして多種多様な事業を成功に導いてきた実績があるので、これまで壊せなかった壁を突き崩すことが期待されます。
また、ファーストリテイリングを率いる柳井正社長は十数年間、ソフトバンクグループの社外取締役を務めていました。ヤマダホールディングスの山田昇社長も、ソフトバンクからの出資を仰いだことがあり、孫社長との関係が深いため、PayPayの陣営に入るかもしれません。
定期的にPayPayポイントの公式サイトでのアナウンスをチェックすることをおすすめします。
業界動向をチェックしたうえで、自社に適したサービスを選択しよう
昨今、共通ポイントサービスを導入する企業が増加中です。共通ポイントには「幅広い顧客層にアプローチできる」「来店率が向上し、客単価がアップする」「管理・運用コストを削減できる」といったメリットがあります。
なお、共通ポイント業界では「4大サービス」と呼ばれる楽天ポイント、dポイント、Ponta、Tポイントが、大きなシェアを占めていることを認識しておきましょう。
ただし、2022年10月以降は、PayPayポイントが共通ポイント業界に参入することで、勢力図が変わる可能性があります。また、2024年春をめどに、TポイントがVポイントと統合する予定となっていることも注目されています。
一方で、ジー・プラン株式会社が提供する「Gポイント」のように、共通ポイントはもちろん約100種もの各種ポイント・主要電子マネー等と提携したポイント交換サービスもあります。このサービスを利用すれば、ユーザーは貯めたポイントを自由に他のポイントに変換することが可能になりますから、汎用性という意味ではもっともメリットが大きいかもしれません。業界の動向をチェックするとともに各種サービスの形態も広くリサーチ、比較して、自社に適したサービスを探しましょう。