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ショービジネス・興行のポイントサービスを紹介!相撲・歌舞伎・宝塚の施策を比較

人口減少によって新規顧客の獲得が困難になりつつある昨今、既存顧客を自社・自店舗の熱心なファン(ロイヤルカスタマー)として育成し、長く商品・サービスを購入してもらうための施策を講じる必要があります。しかし、「どのように取り組めば良いのかわからない」とお悩みのポイント施策・マーケティング担当者がいるかもしれません。
そこで、本記事では、さまざまな業界・業種でポイント施策・マーケティングを担当している方に向けて、ショービジネス・興行におけるポイントサービスについて詳しく解説します。具体例として相撲、歌舞伎、宝塚のポイント施策を取り上げますが、他業界・他業種でもファンマーケティングを実施するうえでヒントになる内容なので、ぜひ最後まで目を通してみてください。


この記事のポイント

  • ポイント1 ショービジネス・興行においては、熱心なファンの育成が欠かせない

  • ポイント2 昨今、他業界・他業種でもロイヤルカスタマー育成が重要になっている
  • ポイント3 相撲・歌舞伎・宝塚のポイント制度を、自社の施策のヒントにしよう!


目次[非表示]

  1. 1.ショービジネス・興行におけるポイントサービスの役割
  2. 2.ショービジネス・興行におけるポイント施策の具体例
    1. 2.1.相撲のポイント施策
    2. 2.2.歌舞伎のポイント施策
    3. 2.3.宝塚歌劇団のポイント施策
  3. 3.他業界・他業種でもファンマーケティングの一環としてポイントサービスを実施しよう
  4. 4.まとめ
  5. 5.おすすめの資料はこちら


ショービジネス・興行におけるポイントサービスの役割

ショービジネス・興行といった業種においては、物理的実体がある「モノ」を販売しているのではなく、「非日常的な体験による感動・興奮」を販売しています。
消費者がスーパーやドラッグストアで食料品やティッシュなどの日用品を購入する際には「価格が1円でも安い商品」を選ぼうとしますが、ショービジネス・興行では「素晴らしいショーだから」「このミュージシャンが好きだから」といった理由でチケットを買う消費者が多くを占め、「ほかの演劇・ライブに比べてチケットの価格が安いから」という理由で購入する消費者は少ないでしょう。
「ショーの内容そのもの」が優れていることは、消費者から選ばれるうえで必要不可欠な要素です。加えて、ショービジネス・興行を営んでいる企業は、「より多くのチケットを購入してくれる顧客に対して特別感を与えるポイントサービス」を実施し、熱心なファン(ロイヤルカスタマー)の育成に努めています。


ショービジネス・興行におけるポイント施策の具体例

ここからは、ショービジネス・興行から「相撲」「歌舞伎」「宝塚」の3種類をピックアップし、それぞれのポイント施策をご紹介します。


相撲のポイント施策

相撲の起源は、『古事記』の「国譲りの神話」において、建御雷神(たけみかづちのかみ)と建御名方神(たけみなかたのかみ)が「力くらべ」をしたのが最も古い記録とされています。
奈良時代には宮中で相撲節会(すまいのせちえ)というイベントが開催されるようになり、鎌倉時代には鶴岡八幡宮の祭礼で奉納相撲が実施されました。そして、江戸時代になると、寺社の修繕費用を集めるための勧進相撲が行われます。これが、現在の相撲の原型となりました。
現在、さまざまな個人・団体が相撲を楽しんでいますが、「大相撲」と呼称する場合は「公益財団法人日本相撲協会が主催する相撲興行」のことを指し示します。
現在の大相撲には、伝統を大切にしながらも時代の潮流に合わせて柔軟に対応する姿勢があり、ポイント制度の実施も、その一つと言えるでしょう。具体的には、大相撲公式ファンクラブにおいて「Bitfanポイント」が貯まるポイントサービスを実施しており、会員はさまざまなアクションに応じてBitfanポイントを獲得できます。
ちなみに、Bitfanとは、ファンクラブ、オフィシャルサイト、ECサイトでファンサービスの提供(Bitfanポイントの付与など)を可能にするプラットフォームです。以下に、各アクションに対するポイント付与数の例を示します。

  • 会員登録(Bitfan IDの登録):100ポイント
  • 有料ファンクラブへの新規入会・継続更新:会費の1%分のポイント
  • サイト訪問:1ポイント
  • コンテンツ閲覧:1ポイント
  • グッズ購入:購入金額の5%分のポイント
  • 来場(会場内にあるQRコードの読み込み):50ポイント
  • 月額990円の動画配信サービス「大相撲アーカイブ場所」に加入したうえで、加入済み画面を本場所会場内の職員に提示:500ポイント

貯まったポイントは、「呼出が本場所中に使用した扇子や椅子」「力士の反物(たんもの)」「番付表パズル」「アクリルスタンド」などが当たる抽選(景品の種類は、随時変更)への応募に利用できるほか、「デジタルトレーディングカード」「オリジナル壁紙」と交換することも可能です。
「ここでしか入手できない貴重なアイテム」を景品にすることで、相撲ファンの「応援する意欲」を湧き起こし、ロイヤルカスタマーとして育成するのに役立っています。
相撲は「国技」「神事」として位置付けられ、伝統を重視していることから、「ポイントサービスに馴染まないのではないか」とお考えの方がいるかもしれませんが、うまく調和させながら、新しいファンマーケティングの手法として取り入れている様子が伺えます。


歌舞伎のポイント施策

歌舞伎は、安土桃山時代末期に、「出雲の阿国」と呼ばれる女性が京都で「かぶき踊り」を演じたのが起源とされています。江戸時代に大きく発展し、日本独自の演劇形式・伝統芸能として定着しました。

明治維新後の1889年に、「歌舞伎座」という名称の劇場が木挽町(現在の東京都中央区の南部地域)でオープンしますが、経営状態は芳しくありませんでした。経営難を救ったのは、後の松竹株式会社の創業者である大谷竹次郎氏です。大谷氏は次々に劇場を傘下に収めていき、やがて松竹株式会社が歌舞伎の興行を独占的に担うことになります。
第二次大戦後、歌舞伎は、伝統を守りつつも、常に新しい要素を取り入れ続けてきました(例えば、RPGの「ファイナルファンタジーⅩ」を題材にした新作歌舞伎への挑戦など)。
哲学者のニーチェの言葉に「脱皮できない蛇は滅びる」というものがありますが、時代に合わせて自らを変えていく姿勢がなければ、これだけの長い期間、興行を続けることは難しかったでしょう。近年は、ポイントサービスという新しいファンマーケティングの手法への挑戦もはじめました。
2023年時点において、松竹株式会社は、熱心な歌舞伎ファンを育成するために「松竹歌舞伎会」を設け、会員向けにポイントサービスを実施しています。入会者にはクレジットカード機能付きの「松竹歌舞伎会カード」が交付され、「チケットの先行販売」などの特典を提供しているほか、以下に示すように購入実績に応じてポイントを付与しています。

  • 原則として1公演につき1ポイント付与
  • 歌舞伎座で同じ月に実施される公演で、昼夜が別演目の場合は、各部購入すると2ポイント付与

なお、貯まったポイントが一定数に達すると、会員種別が「特別会員」や「ゴールド会員」に昇格し、先行発売日が前倒しになる仕組みがあります。より多くのチケットを購入してくれるロイヤルカスタマーを大切にすることで、安定的な経営を実現する戦略と言えるでしょう。


宝塚歌劇団のポイント施策

宝塚歌劇団の前身組織である宝塚唱歌隊が発足したのは、今から110年前の1913年です。宝塚唱歌隊は1939年に宝塚音楽学校と宝塚歌劇団に分離しましたが、一貫して音楽学校の卒業生が歌劇団の団員を務める体制が続き、これまでに5,000名以上が舞台に立ちました。
1500年以上の歴史を有する相撲や、400年以上の歴史がある歌舞伎に比べると、誕生してからの期間は短いものの、熱心なファンに支えられて戦前・戦中・戦後を通してエンターテインメント業界で大きな存在感を放っています。
歴史を振り返ると、宝塚以外にもさまざまな「歌劇団」が存在しましたが、松竹歌劇団(SKD)は1996年に解散し、OSK日本歌劇団は2003年に一時解散を余儀なくされました。
宝塚歌劇団が解散や一時解散の憂き目に遭わずに済んでいるのは、「ヅカファン」と呼ばれるロイヤルカスタマーの強力な支持があるからです。中高年層だけではなく、大学生などの若者にもファンがいて、「同好会」が結成されている大学も見受けられます。
歌劇団の運営に携わっている阪急電鉄株式会社は、「ファンの自発的な支持」に委ねるだけではなく、さまざまな施策(公式アプリ「宝塚歌劇Pocket」による情報発信など)を講じて積極的にロイヤルカスタマーの育成を図っていますが、「宝塚友の会」という名称の会員制度を設け、会員向けにチケット先行販売、限定イベント開催、ポイントサービスなどを実施していることも有効な施策のひとつと言えるでしょう。
宝塚友の会では、「ステイタス制」が導入されています。ステイタス制とは、サービスの利用に応じてステイタスポイントが付与され、ポイントに応じてステイタスランクが決定する仕組みです。ステイタスランクが高い会員は、チケット先行販売の抽選における当選確率が上昇します。
なお、ステイタスポイントをチケットの購入代金に充当することはできません。「割引」としてではなく、「熱心なファン(多くのチケットを購入するロイヤルカスタマー)に対して便宜を図ることで、歌劇団を安定的に運営していくための施策」として実施されていることが伺えます。

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他業界・他業種でもファンマーケティングの一環としてポイントサービスを実施しよう

ショービジネス・興行におけるポイントサービスの例として、相撲・歌舞伎・宝塚の施策を取り上げてきましたが、「熱心なファンを育成する」という観点は、他業界・他業種においても重要です。
国内人口が減少し続けている昨今、新規に顧客を獲得するのは容易なことではありません。既存顧客を大切にし、より多くのお金を使ってくれる顧客を、ほかの顧客よりも優遇する施策(チケットの先行販売、限定イベントの開催など)は、安定的にビジネスを営むうえで有効です。
ポイントサービスを導入したうえで、相撲や歌舞伎、宝塚を参考にしつつ、「会員ランクや会員ステージを導入し、上位ランクの会員に対して特別感を与える特典を提供する」「ポイントでしか入手できないアイテムを景品として用意する」といった施策を講じることも検討してはいかがでしょうか。


まとめ

ショービジネス・興行だけではなく、他業界・他業種でもポイントサービスなどを実施してロイヤルカスタマーを育成することは重要です。
ところで、ポイントサービスを実施する際に「自社・自店舗の独自ポイント」のみを付与する選択肢もありますが、「他社ポイントと交換できる仕組み」や「他社ポイントを直接付与する仕組み」も用意すれば、ユーザーにとっての魅力・利便性が増し、他社・他店舗からの新規顧客も流入しやすくなるでしょう。
例えば、コンテンツ閲覧やサイト訪問、口コミなどでのポイント付与なら、ジー・プランの「PCT LITE」または「マルチバリューコード」を活用することも検討してみてはいかがでしょうか。
PCT LITEは、電子ギフトを用いて、手軽に自社ポイントと他社ポイント(dポイント、Pontaポイント、楽天ポイントなど)との交換を可能にするサービスで、各ポイント事業者との契約やシステム連携が不要なため、短期間かつ低コストで導入できます。また、マルチバリューコードは、初期費用・発行手数料0円からと低コストで導入でき、大手・共通ポイントに直接交換できる電子ギフトサービスです。消費者は自分の好きなポイント銘柄を選んで取得できるため、幅広いユーザー層にアプローチできます。



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佐藤拓真
佐藤拓真
2018年頃からライターとして活動。「企業がポイントサービスを活用する方法」「ポイントを活用したビジネスのトレンド」「ポイントを活用したマーケティング手法」「ポイント制度やシステムに関する基礎知識」などについて、フラットな視点からレポートしています。私は「ポイント活動(ポイ活)」が注目されるようになる前から、さまざまなポイント(電子マネー、マイルなどを含む)を貯めてきました。自分自身の経験も踏まえて記事を執筆していくので、企業でポイント制度の導入・運用に携わっている方の参考になれば幸いです。

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