
ウエルシアとツルハが統合!ポイントサービスはどのように変化するのか?
ドラッグストア業界1位のウエルシアホールディングス株式会社を傘下に収めるイオン株式会社は、2024年1月29日に「業界2位の株式会社ツルハホールディングスの株式を取得するための独占交渉に入った」という主旨の発表を行いました。すでに3社は経営統合に向けた協議を開始しており、2027年末までに最終的な契約を目指しています。
本記事では、今後、大手ドラッグストアの「ウエルシア」と「ツルハ」が経営統合した場合に、ドラッグストア業界にどのような影響があるのかを分析し、統合後のポイントサービスがどのように変化するのかに関しても考察します。ポイント施策担当者は、ぜひ参考にしてください。
<この記事のポイント>
- ポイント1 ウエルシアとツルハが、2027年末までに経営統合する方針を発表!
- ポイント2 ドラッグストア業界再編の要因のひとつに、ポイント商戦の激化がある
- ポイント3 ドラッグストアチェーンの多くはマルチポイントサービスを採用
目次[非表示]
ウエルシアとツルハが2027年末までに経営統合へ!
冒頭で述べたように、ドラッグストア業界大手のウエルシア(業界1位)とツルハ(業界2位)は、2027年末までに経営統合する方針を発表しました。両社が統合すれば、ドラッグストア業界全体に大きな影響が及ぶことは不可避です。
統合した場合の業界への影響について考察する前に、まずは両社の基本情報をご紹介します。
ウエルシアホールディングス株式会社
ウエルシアホールディングス株式会社は、流通大手のイオン株式会社のグループ企業で、ドラッグストアの「ウエルシア」を日本全国に展開しています(2024年4月5日時点では合計2,819店舗)。
なお、2023年5月までの1年間に迎えた決算期において、ウエルシアはドラッグストア業界1位の連結売上高です。
株式会社ツルハホールディングス
株式会社ツルハホールディングスは、ドラッグストアの「ツルハ」などを展開する企業で、2023年5月までの1年間に迎えた決算期において業界2位の連結売上高です。
2024年3月15日時点では、日本全国に2,647店舗を展開しています(「ツルハ」以外の「くすりの福太郎」なども含む連結店舗数)。
業界1位・2位の統合で、ドラッグストアの勢力図はどのように変化する?
ウエルシアとツルハが統合すると、売上高2兆円規模の「巨大ドラッグストア連合」が誕生します。ドラッグストアの勢力図に大きな変化が生じることは避けられないでしょう。
国内では少子高齢化によって人口が減少する中、充分な利益を確保するためには、経営の効率化が必要と考えられています。ウエルシア(およびイオン)とツルハは、各社の経営資源を最大限活用して商品の仕入れや物流などを効率化し、国内事業の強化に努める方針を示しています。加えて、アジア圏を中心に海外展開も積極的に進める予定です。
現在、ウエルシアは関東圏に、ツルハは北海道・東北地方に多くの店舗があります。双方の店舗網を有効活用することで、東日本(北海道から関東圏)においてドラッグストアを主導する立場になるでしょう。
これまで、ドラッグストア業界では、ダイナミックな統合・再編が繰り返されてきました。今後、ウエルシアとツルハの統合に対抗することや、コンビニ・スーパーとの競争で生き残ることを目的として、他社の合従連衡が進み、もう一段階の業界再編が起こるかもしれません。
ポイント商戦の激化も、業界再編の一因
現在、ほとんどのドラッグストアにおいて、何らかのポイントサービスが実施されています。ポイント商戦の激化も、ドラッグストア業界再編の要因かもしれません。
消費者にとっては、商品価格の安さも重要ですが、利用できる(付与される)ポイントの種類も店舗選びを左右する要素です。企業が統合されると、店舗で利用できる(付与される)ポイントも、相互利用可能になったり統合されたりすることが予想されます。
ウエルシアとツルハが統合された場合、ポイントサービスはどうなる?
2024年4月5日時点においてウエルシアとツルハで導入されているポイントの種類を、下表にまとめました。
ウエルシア |
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ツルハ |
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ウエルシアは、2024年5月1日以降、WAON POINT中心の体制に移行することを発表しています。
ちなみに、ウエルシアでは、毎月20日の「お客様感謝デー」にポイントが1.5倍の価値で使えます。この日に買い物をすることでポイントを有効に使うことを「ウエル活」と呼んで節約につなげている消費者が少なくありません。この「お客様感謝デー」は新生Vポイント(旧Tポイント)とWAON POINTが対象ですが、2024年8月20日以降はWAON POINTだけが対象に変更になることがアナウンスされています。ウエル活はいわゆるポイ活ユーザーに親しまれており、顧客の囲い込みにも一役買っていると思われますが、ウエルシアとツルハの統合がこの「ウエル活」にどう影響するのかも注目したいところです。
ツルハでは、楽天ポイントとツルハグループポイントに対応してます。現時点では、ポイントの一本化に関するアナウンスはありません。ウエルシアとの統合前にポイント施策に変化があるかもしれないので、定期的に情報をチェックしましょう。
ウエルシアとツルハ統合に伴って、ポイント施策はどのように変化するのでしょうか。未来を正確に予測することは不可能ですが、参考までに同業他社の事例を見てみましょう。
2021年に株式会社マツモトキヨシホールディングスと株式会社ココカラファインが経営統合して株式会社マツキヨココカラ&カンパニーが誕生した際には、双方の独自ポイント(ココカラポイントとマツキヨポイント)が「マツキヨココカラポイント」に一本化されました。
統合前に双方で利用できた共通ポイントであるdポイントは、統合後も引き続き利用可能です(独自ポイントのマツキヨココカラポイントと並存)。
これは、あくまでも株式会社マツモトキヨシホールディングスと株式会社ココカラファインが経営統合した事例です。現時点では、ウエルシアとツルハの統合後に、どのようにポイント施策が変化するのかを予測することは困難なので、今後の経営統合協議の進展を見守りましょう。
なお、ドラッグストアチェーンの多くでは、昨今、「マルチポイントサービス(複数のポイントサービスに対応する施策)」を実施しています。上述したように、現状(統合前)のウエルシアやツルハにおいても、統合後のマツキヨココカラ&カンパニーにおいても複数のポイントを利用することが可能です。
マルチポイントサービスには、消費者にとっての利便性や満足度を向上させる効果・メリットがあり、新規顧客獲得やロイヤルカスタマー育成に役立ちます。
まとめ
ドラッグストア業界1位のウエルシアと2位のツルハは、2027年末までに経営統合する方針を示しています。企業や団体でポイント施策を担当している方は、統合に伴うドラッグストア業界の勢力図の変化や、両社のポイント施策にどのような変化が生じるのかを注視しましょう。
本記事でご紹介したように、大手ドラッグストア各社(ウエルシアやツルハ、マツキヨココカラなど)では、自社の独自ポイントと共通ポイントを併用しています。独自ポイントのみでは既存顧客が流出する可能性があり、新規顧客獲得も困難な場合があるので、共通ポイントにも対応するほうが良いでしょう。その際、工数・手間を削減したいのであれば、法人向けの支援サービスを活用することも選択肢のひとつです。
例えば、ジー・プランの「ポイント・コンセント」や「PCT LITE」では、他社ポイントの直接発行や、自社の独自ポイントと共通ポイントなどとの交換が可能になります。既存顧客の流出防止や新規顧客の獲得に役立つので、導入することも検討してみてはいかがでしょうか。
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