
ポイント還元・割引・キャッシュバックの違いとは?それぞれのメリット・デメリットを解説!
「10%ポイント還元」と「10%割引」という表示を見て、「同じではないか」とお考えになる方がいるかもしれません。しかし、両者には、さまざまな違いがあるのでご注意ください。
また、ポイント還元や割引のほかに、キャッシュバックという施策もあります。それぞれの特徴(事業者側および消費者側にとってのメリット・デメリット)を理解することで、より効果の高い施策が打ち出せるでしょう。
本記事では、主に企業でポイント施策に携わっている方に向けて、ポイント還元および割引、キャッシュバックのメリット・デメリットをご紹介します。各特徴を正確に把握したうえで、自社に適した施策を展開しましょう。
この記事のポイント
ポイント1 「オリジナルポイントによる還元」を実施すれば、顧客を囲い込みやすい
- ポイント2 「割引」や「キャッシュバック」という施策を選択することも可能
- ポイント3 メリット・デメリットを見極めて、自店舗に適した施策を展開しよう
目次[非表示]
- 1.「ポイント還元」とは?
- 2.「割引」とは?
- 3.「キャッシュバック」とは?
- 3.1.キャッシュバックの方法
- 4.ポイント還元のメリット・デメリット
- 4.1.ポイント還元のメリット(事業者側)
- 4.2.ポイント還元のメリット(消費者側)
- 4.3.ポイント還元のデメリット(事業者側)
- 4.4.ポイント還元のデメリット(消費者側)
- 5.割引のメリット・デメリット
- 5.1.割引のメリット(事業者側)
- 5.2.割引のメリット(消費者側)
- 5.3.割引のデメリット(事業者側)
- 5.4.割引のデメリット(消費者側)
- 6.キャッシュバックのメリット・デメリット
- 7.ポイント還元・割引・キャッシュバックの違いを踏まえて、自社・自店舗に適した方法を選択しよう
- 8.【まとめ】
- 9.おすすめの資料はこちら
「ポイント還元」とは?
ポイント還元とは、商品・サービスの購入金額に応じて、一定のポイントを付与する施策です。例えば、「購入金額の10%をポイントで還元」という施策を実施している店舗で、顧客が1,000円の商品を購入した場合、100円相当のポイントを付与することになります。
付与するポイントは、自社のオリジナルポイントのケースもあれば、他社でも広く使われている共通ポイントなどのケースもあります。
オリジナルポイントでも共通ポイントでも、事業者側としては、ポイントカードやアプリ、システムを準備しなければなりません。顧客側も、ポイントカードやアプリを持っていなければ還元を受けることができません。
「割引」とは?
割引とは、商品・サービスの販売価格を、通常時よりも引き下げる施策です。例えば、「10%の割引」とは、通常、1,000円で販売している商品やサービスを900円で販売することを意味します。
ポイント還元と異なり、事業者側は、ポイントサービスを実施するためのシステムやポイントカード、アプリを用意せずに済みます。顧客側も、ポイントカードやアプリを持っていなくても、恩恵を受けることが可能です。
「キャッシュバック」とは?
キャッシュバックとは、条件(「キャンペーン期間内に特定の商品を一定個数・一定金額以上購入する」「有料オプションに一定期間加入する」など)を満たした顧客に対して、商品・サービスの購入金額の一部を「現金」の形で払い戻す施策です。
購入と同時にキャッシュバックが実施されることもあれば、後日、キャッシュバックが実施されること(例えば、「有料オプションに3ヶ月以上加入」といった条件がある場合)もあります。
割引と同様にキャッシュバックでも、事業者側は、ポイントサービスを実施するためのシステムやポイントカード、アプリを用意する必要がありません。また、顧客側は、ポイントカードやアプリを持っていなくても恩恵を受けられます。
キャッシュバックの方法
以下は、キャッシュバックの主な方法です。自社の業務内容やキャッシュバックの条件を踏まえて、現金を受け渡す方法を選択しましょう。
- 現金の手渡し
- 銀行口座への振込
- スマートフォン決済サービスの残高へのチャージ
- コンビニエンスストアのATMで受取り
- クレジットカードの請求額などからの差し引き
- ゆうちょ銀行の普通為替証書の送付
このほか、対面で実施する形態のビジネス(美容院・ネイルサロン・エステサロンなど)の場合は、一定の条件を満たす顧客に対して、直接、手渡しでキャッシュバックする方法も採用可能です。
「インターネット回線・携帯電話の契約を一定期間継続する」といった条件で、後日、キャッシュバックを実施する場合は、一般的に銀行口座への振込が選択されます。また、スマートフォン決済サービスの残高にキャッシュバック相当額をチャージする方法もあります。
近年、「コンビニエンスストアのATMを操作し、受け取りに必要な番号を入力することでキャッシュバックの現金を受け取れるサービス」も登場しました。銀行口座を登録したくない(あるいは、登録するのを面倒に感じる)消費者を自社の顧客として取り組みたい場合は、選択肢のひとつになるでしょう。
そのほか、クレジットカードなどの請求額から差し引く形でキャッシュバックが実施されるケースや、ゆうちょ銀行の普通為替証書の送付といった方法もあります。
ポイント還元のメリット・デメリット
以下、ポイント還元に関して、事業者側と消費者側のメリット・デメリットをご紹介します。
ポイント還元のメリット(事業者側)
まず 、事業者側としては、以下に示すメリットがあります。
- オリジナルポイントの場合、顧客の囲い込みが可能
- 「10%割引」よりも「10%ポイント還元」のほうが、事業者にとっての負担が少ない
付与するポイントがオリジナルポイントの場合、自店舗で使わざるを得ないため、顧客の囲い込みが可能になります。顧客がポイントを利用する際には、ポイントだけを消費するのではなく、超過した金額を合わせて支払うケースも多く、付与したポイント以上の効果を見込めるでしょう。また、購入する機会を作ることで、自然と顧客が自店舗に愛着を持つようになり、さらなる追加購入も期待できます。
共通ポイントを導入した場合は、利用できる場所が多いため、自店舗で貯まったポイントを自店舗で使ってくれるとは限りません。ユーザーにとっては利便性が高い部分ですが、事業者側からすれば販売機会を失うことにもつながります。逆に、他店舗で貯まったポイントを自店舗で使ってくれるケースもあるので、その点は一長一短と言えそうです。
ところで、同じ「10%」という文言が含まれていても、10%割引よりも10%ポイント還元のほうが、事業者側の実質的な負担は軽くなることをご存知でしょうか。
例えば、1,000円の商品を販売して100円相当のポイント(1ポイント=1円の価値があるポイントの場合は、100ポイント)を還元した場合、「10%分の割引と同じではないか」と思う方がいるかもしれませんが、実は「10%の割引」とは異なります。
ポイントを付与しても、顧客が使わないまま放置し、有効期限が到来する場合もあるでしょう。ポイントは、付与したタイミングではなく、以下に示すように、使用されたタイミングで「割引」の効果が生じることにご注意ください。
- 顧客が1,000円の商品を購入したタイミングで、100円相当のポイントを付与(まだ、割引の効果は生じていない)
- 顧客が付与されたポイントで100円の商品を購入(この時点で、割引の効果が生じる)
上記を踏まえると、「10%のポイント還元」とは「1,100円分の商品を1,000円で購入できる」という意味になり、顧客にとっての実質的な割引率は以下のようになります。
100円÷1,100円=約9.1%(小数点第2位を四捨五入)
つまり、事業者側にとっては、「10%割引」よりも「10%ポイント還元」のほうが負担が軽くなるわけです。
ポイント還元のメリット(消費者側)
次に、消費者側にとってのポイント還元のメリットを以下に示します。
- 「会員ランク制度」「会員ステージ制度」などを実施している場合、「特別感」を得られる
- 「その店舗だけの独自の景品」と交換できる場合がある
単純に「実質的な割引率」だけを見ると、10%ポイント還元よりも10%割引のほうがお得ですが、ポイントサービスでは「割引」にはない仕組み(「会員ランク制度」「会員ステージ制度」「独自の景品との交換システム」など)を用意することが可能です。
市場競争を勝ち抜くためには、値引合戦で疲弊するよりも、独自の価値を顧客に提供し、価格以外の面で選んでもらうことが重要になります。その際に、ポイント還元という施策は強い武器となり得るでしょう。
ポイント還元のデメリット(事業者側)
以下は、事業者側にとってのポイント還元のデメリットです。
- ポイントカードやアプリ、管理するためのシステムを用意しなければならない
- 会員ランク制度を設計したり、景品を準備したりするために、一定の人員・コストがかかる
割引と異なり、ポイント還元を実施する場合は、ポイントカードやアプリ、会員ごとに貯まっているポイント数を管理するシステムなどを用意しなければなりません。
また、会員ランク制度を導入する場合は、「どのような条件でランクがアップするのか」や「ランクごとの特典」を設計・準備するための人員を確保する必要があります。店独自の景品を用意するのであれば、企画や発注に要するコストもかかるでしょう。
ポイント還元のデメリット(消費者側)
消費者側のデメリットとしては、上述したように、同じパーセンテージであれば、単純な割引よりも、ポイント還元のほうが実質的な割引率が低くなることが挙げられます。
有効期限が設定されているポイントの場合、有効期限が到来すると価値がゼロになることもデメリットと言えるでしょう。
割引のメリット・デメリット
ここからは、割引に関して、事業者側と消費者側のメリット・デメリットをご紹介します。
割引のメリット(事業者側)
以下は、事業者側にとっての割引のメリットです。
- ポイントカードやアプリ、システム、景品などを用意する必要がない
- 突発的に実施することも可能
ポイント還元と異なり、割引なら、ポイントカードやアプリ、ポイント数を管理するためのシステム、景品などを準備する必要はありません。「今日は少し売れ残っている」と感じた場合に、突発的に値札に赤線などを引いて「1,000円→900円」のように割引を実施することも可能です。
割引のメリット(消費者側)
消費者側のメリットとしては、上述したように、「同じパーセンテージであれば、ポイント還元よりもお得」という点が挙げられます。また、その場ですぐに割引が受けられるため、「有効期限が到来して、付与されたポイントの価値がゼロになってしまう」という心配もありません。
割引のデメリット(事業者側)
事業者側にとっての割引のデメリットを、以下に示します。
- 自店舗への顧客の囲い込みが難しい
- 他店舗との値引き競争に突入するリスクがある
割引の場合、ポイント還元と異なり、ポイントカードや会員用アプリ、ランク制度、オリジナルの景品などによって、顧客を囲い込むことができません。
また、顧客は「1円でも安く販売している店舗」を探すため、多店舗との値引き競争に突入するリスクがあります。ビジネスを安定的に営むためには、一定の売上を確保することが不可欠です。値引き競争に巻き込まれると充分な売上を確保できなくなり、経営が困難な状況に陥るかもしれません。
割引のデメリット(消費者側)
消費者側のデメリットとしては、「特別感」を得られないという点が挙げられます。割引は、ポイントカードなどを持っていなくても、すぐに受けることが可能ですが、「会員だからこそ受けられる特別なサービス」もありません。業種・業態によっては、「価格が他社よりも1円安い」ということよりも、「どれだけ満足感を得られるか」が重要なケースもあります。
スーパーなど、どこの店舗でも同じような商品を扱っている業種・業界では、「顧客が価格のみに基づいて店舗を選択する」という場合もあるでしょう。
しかし、旅行・美容・エンターテインメントといった業種・業界では、価格が1円安いかどうかよりも、商品・サービスの内容が購入の決め手となる場合もあります。そのようなビジネスを展開する場合は、単純な割引ではなく、ポイント還元を選択し、顧客に特別感を与えるプログラム(会員ランク制度、独自の景品のプレゼントなど)を実施すると良いでしょう。
キャッシュバックのメリット・デメリット
ここからは、キャッシュバックに関して、事業者側と消費者側のメリット・デメリットをご紹介します。
キャッシュバックのメリット(事業者側)
以下は、事業者側にとってのキャッシュバック施策のメリットです。
- ポイントカードやアプリ、システム、景品などを用意する必要がない
- 一時的に手元に現金が入ってくるため、資金繰りが改善する
- 一定期間、顧客が自社サービスを利用し続けるため、良さを知ってもらえる
- 商品価格を維持することができる
キャッシュバックを実施する場合、ポイント還元とは異なり、ポイントカードやアプリ、システム景品などを用意する必要はありません。
また、割引の場合は手元に入ってくる現金が減少するため、資金繰りが悪化する可能性がありますが、「即時ではなく、後日、条件を満たした顧客にキャッシュバックする方法」であれば、一時的に手元に現金が入ってくるため、資金繰りの改善に役立ちます。
さらに、「条件を満たす場合に、後日、キャッシュバックを実施する」という方法がとられることも多く、その場合は一定期間、顧客が自社サービスを利用し続けることになります。その結果、サービスの良さを知って、キャッシュバック後も利用し続ける顧客を獲得できる可能性があることもメリットです。
なお、キャッシュバックではなく割引を実施すると、後日、消費者が「この前の価格よりも高い」と感じてしまうため、売れにくくなる可能性があります。しかし、キャッシュバックであれば、価格は同じままなので、消費者が「安くて当然」という感覚を持ちにくくなるでしょう。
キャッシュバックのメリット(消費者側)
消費者側のメリットとしては、後日であっても「現金」を入手できるという点が挙げられます。現金ではなく共通ポイントを還元する場合も、幅広い店舗で利用できるため、消費者はある程度の利便性を感じるかもしれません。また、忘れたころに現金が返ってくることで「お得感」をより得られるというメリットもあるでしょう。
キャッシュバックのデメリット(事業者側)
まず、事業者側にとってのキャッシュバック施策のデメリットを以下に示します。
- まとまった金額の現金を保管しなければいけない(金庫や防犯システムの導入が必要)
- 銀行振込やスマートフォン決済サービスの残高へのチャージなどの労力・手数料がかかる
「店頭で手渡しする方法」でキャッシュバックを実施する場合、ポイント還元や割引と異なり、店舗内にまとまった金額の現金を用意しておかなければいけません。多額の現金を保管するのであれば、金庫を購入したり、防犯システム(監視カメラ・人感センサーなど)を導入したりするために一定のコストがかかります。
もちろん、「銀行振込」や「スマートフォン決済サービスの残高へのチャージ」などでキャッシュバックするのであれば、店舗内に大量の現金を保管しておく必要はありません。しかし、振込・送金するための労力や手数料はかかることになります。
キャッシュバックのデメリット(消費者側)
消費者側のデメリットとしては、「後日、条件を満たせばキャッシュバックされる」という場合、すぐに「お得感」を得られないという点が挙げられます。
条件が複雑だったり、条件を満たすまでに長期間かかったりする場合は、キャッシュバックよりもポイント還元や割引のほうが、消費者の目には魅力的に映るかもしれません。
ポイント還元・割引・キャッシュバックの違いを踏まえて、自社・自店舗に適した方法を選択しよう
下表に、ここまで述べてきた内容(事業者にとっての主なメリット・デメリット)をまとめました。
施策 |
事業者にとってのメリット |
事業者にとってのデメリット |
ポイント還元 |
|
|
割引 |
|
|
キャッシュバック |
|
|
商品価格を維持できる(消費者から「安くて当然」と思われずに済む)という点は、ポイントサービスでも実現できる場合があります。ただし、ECサイトなどで「ポイント還元後の価格」も併記する場合は、消費者側はポイント還元額も織り込んで購入するため、商品価格が維持されているように感じない可能性があることにご留意ください。
それぞれの特徴を踏まえ、自社に適した施策を選択しましょう。なお、施策は1種類しか採用できないわけではなく、複数を組み合わせることも可能です。
例えば、「通常はポイント施策で顧客を囲い込みつつ、売れ残りが発生した場合は突発的に割引を実施してロスを防ぐ」という対応や、「ポイント施策を実施しつつ、一定期間、特定の有料オプションを契約し続けたロイヤルカスタマーに対してはキャッシュバックも上乗せで実施する」という対応も検討してはいかがでしょうか。
【まとめ】
ポイント還元・割引・キャッシュバックは、似ているように感じる方がいるかもしれません。しかし、本記事でご紹介したように、さまざまな違いがあります。
「1つの施策しか実施できない」というわけではないので、ポイント施策担当者は、それぞれのメリット・デメリットを把握したうえで、上手に組み合わせましょう。例えば、「通常はポイント施策で顧客を囲い込みつつ、売れ残りが発生した場合は突発的に割引を実施してロスを防ぐ」という対応も可能です。
ポイント還元を実施するのであれば、自社のオリジナルポイントを付与して顧客を囲い込むのも選択肢のひとつですが、この場合は利用できる場所が限定されるため、新規顧客の獲得が難しくなります。
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