プロ野球のファンクラブのポイント制度について解説!事業者に向けて特徴をご紹介
野球は国民的スポーツであり、プロ野球の各球団は数多くのファンを抱えています。しかし、何の施策も講じないままでは、ファンの熱が冷めてしまうこともあるでしょう。
そこで、各球団では、既存ファンのモチベーションを維持し、新たなファンを獲得するために「ファンクラブ」を設置し、ポイントサービスなど、多種多様な施策を実施しています。
本記事では、プロ野球の球団ファンクラブにおけるポイント施策の内容をご紹介します。さまざまな業界でファンクラブを運営している事業者や、ファンクラブの設置を検討している事業者の参考になれば幸いです。
この記事のポイント
ポイント1 プロ野球の球団は、満足度向上のためにファンクラブを運営している
- ポイント2 ポイントサービスを通じて、熱心なファンに「特別感」を与えている
- ポイント3 他業界でファンクラブを運営する場合も、野球界での施策は参考になる
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プロ野球の球団は、ファンの満足度向上のためにファンクラブを運営している
日本の国民的スポーツと言っても過言ではない「野球」。地域の草野球チームから、高校野球、プロ野球に至るまで、社会階層で楽しまれているスポーツであり、最近ではワールド・ベースボール・クラッシックで日本代表が活躍する様子をテレビで見たり、球場に足を運んで応援したりした経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
このように野球は人気スポーツであるため、プロ野球の各球団には数多くの熱心なファンがいます。しかし、ファンも人間である以上、自発性に任せているだけでは、応援することに飽きてしまうかもしれません。
そこで、各球団では、既存ファンの満足度向上や、新たなファンを獲得することを目的として「ファンクラブ」を運営し、さまざまな施策を実施しています。以下は、ファンクラブにおける施策の具体例です。
- チケットの販売価格の割引
- オリジナルグッズ(タオル、クリアファイルなど)のプレゼント
- サイン会
- 撮影会
- 練習見学
- ポイントサービスの運営
ポイントサービスの詳細は球団ごとに異なりますが、全体的な傾向としては、「貯めたポイント数に応じて会員種別が上昇し、先行してチケットを購入できるようになったり、特製グッズがプレセントされたり、専用ラウンジの事前予約が可能になったりする」という具合に、熱心なファンに対して「特別感」を与える内容となっています。
プロ野球の球団ファンクラブにおけるポイント施策の具体例をご紹介
プロ野球球団を応援している人を対象に、慶應義塾大学の鈴木秀男教授が行った調査によると、2022年1月下旬時点における球団の総合満足度ランキングは、下表のようになっています。
順位 |
球団名 |
1位 |
福岡ソフトバンクホークス |
2位 |
東京ヤクルトスワローズ |
3位 |
オリックス・バファローズ |
4位 |
千葉ロッテマリーンズ |
5位 |
横浜DeNAベイスターズ |
6位 |
東北楽天ゴールデンイーグルス |
7位 |
阪神タイガース |
8位 |
埼玉西武ライオンズ |
9位 |
広島東洋カープ |
10位 |
読売ジャイアンツ |
11位 |
北海道日本ハムファイターズ |
12位 |
中日ドラゴンズ |
上表の内容は、「ファンサービス」以外に「チームの成績」なども指標とする調査結果であるため、「上位だから、ファンクラブのサービスが良い」「下位だから、ファンクラブのサービスが悪い」というわけではありません。
ただし、上位にランキングされている球団では、ファンサービスにおいても「一定のクオリティ」が確保されていると推察されます。
そこで、さまざまな業界でファンクラブを運営している事業者、あるいは、これから設置することを検討している事業者の参考になるよう、上位4球団(福岡ソフトバンクホークス、東京ヤクルトスワローズ、オリックス・バファローズ、千葉ロッテマリーンズ)のファンクラブにおけるさまざまなサービスのうち、特にポイント施策の具体的な内容をご紹介します。
福岡ソフトバンクホークスのファンクラブのポイント施策
福岡ソフトバンクホークスのファンクラブ「クラブホークス」では、「タカポイント」という名称のポイントが貯まります。
さまざまなポイント獲得手段がありますが、例えば、チケットを購入すると購入金額の10%分、各種グッズや球場内の飲食物を購入すると購入金額の5%分のポイントを獲得することが可能です。ほかにも、スマートフォン用アプリ「ためタカ!~タカポイントためるアプリ~」において、楽しみながらポイントを貯めることができるコンテンツが提供されています。
そのほか、前年度と当年度の2年分の累計獲得ポイント数により、会員ステージが「ブロンズ」「シルバー」「ゴールド」「プラチナ」「ダイヤモンド」の順に上がっていく仕組みが用意されており、ステージが高くなると「チケットの先行販売」「限定ピンバッジのプレゼント」「会員専用ラウンジ『FAN'S SQUARE』の事前予約が可能」といった特典を受けることができます。
以下は、貯まったタカポイントの使い道です。
- チケットとの交換
- オリジナルグッズとの交換
- イベント参加権利との交換
- デジタルコンテンツとの交換
なお、ポイントの有効期限は最大2年間(ポイント加算から1年経過した後に最初に到来する1月4日まで有効)とされています。
東京ヤクルトスワローズのファンクラブのポイント施策
東京ヤクルトスワローズのファンクラブ「Swallows CREW」では、「スワレージ」という名称のポイントが貯まります。
例えば、神宮球場での主催試合前売りチケットやグッズを購入すると、購入金額の5%分のスワレージが付与されるほか、主催試合来場時や、東京ヤクルトスワローズが勝利した際は、「ライト」「燕征」「キッズ」「レギュラー」「ゴールド」「プラチナ」という会員種別ごとに所定のポイントを獲得できます。ほかにも、主催試合でのチーム勝利時には来場ボーナスポイントが付与されるなど、多種多様な方法でスワレージを獲得できます。
貯まったスワレージは、さまざまなオリジナルグッズと交換できます。以下は、交換可能なグッズの主な具体例です。
- クリアファイル
- バッジ
- ボールペン
- ノート
- ユニフォーム
なお、スワレージの有効期限は最大1年間(2023年度に貯めたポイントは2023年12月末まで有効)とされています。
オリックス・バファローズのファンクラブのポイント施策
オリックス・バッファローズのファンクラブ「BsCLUB」では、「Bsポイント」という名称のポイントが貯まります。以下は、Bsポイントを貯める方法の具体例です。
- 来場(オリックス主催の 1軍オープン戦・1軍公式戦、1~20ポイント)
- チケットの購入(オリックス主催の 1軍オープン戦・1軍公式戦、購入額の1~2%)
- グッズの購入(購入額の1~2%)
- 飲食物の購入(税込500円ごとに5ポイント)
ポイント獲得手段によっては、会員種別ごとにポイント付与数に差があります。会員種別は、年会費や年齢などによって「無料会員」「ジュニア会員」「レギュラー会員」「ゴールド会員」「プラチナ会員」「エクストラプレミアムメンバー」に分類されています。貯まったポイント数によって昇格するのではなく、最初から会員ランクを選んで入会する仕組みです。なお、コンパニオンアニマル(ペット)向けに「Bsわんにゃんクラブ」という会員種別も用意されています。
貯まったBsポイントは、「サイン入り色紙」「指定席引換券」「球場(京セラドーム大阪)内で利用できる商品券」などに交換することが可能です。有効期限は「各シーズンの交換受付最終日まで」とされており、翌年に持ち越すことはできません。
千葉ロッテマリーンズのファンクラブのポイント施策
千葉ロッテマリーンズのファンクラブ「TEAM26」では、「Mポイント」という名称のポイントが貯まります。以下は、Mポイントを貯める方法です。
- 来場
- チケットの購入
- グッズの購入
- 飲食物の購入
付与されるポイント数は、会員ステージによって異なります。会員ステージは「M1」「M2」「M3」「M4」「M5」「M6」という6段階に分かれており、2シーズン分の累計獲得ポイント数によって変動する仕組みです。
貯まったMポイントは、チケットを購入する際に1ポイント=1円の価値で利用できるほか、各種グッズ(サイン入りボール、ジャケット、バッグ、壁掛け時計など)と交換することも可能です。
なお、Mポイントの有効期限は、「獲得したシーズンの翌シーズンの終了日まで」、つまり2シーズンとなっています。例えば、2023年度のシーズン中(2023年2月1日〜2024年1月31日)に獲得したMポイントは、翌シーズンの最終日(2025年1月31日)に失効し、それ以降は持ち越せません。
プロ野球の球団ファンクラブで実施されているポイント制度の特徴
ここまで、プロ野球4球団をピックアップし、ファンクラブで実施されているポイント施策をご紹介してきました。いずれの球団ファンクラブでも、獲得ポイント数や年会費などに応じて「ステージ」などの会員種別が設定されてます。
熱心なファンは、チケットやグッズを多く購入するため、その分、獲得するポイント数も増加し、会員種別の上昇スピードも速くなります。会員種別が上位のファンに対して「限定特典」を付与すれば、「応援しよう」というモチベーションを維持しやすくなるでしょう。また、そこまで熱心ではない「ライト」なファンも、「上の会員種別を目指そう」という気持ちが湧きおこるかもしれません。
野球ファンクラブ業界全体としての傾向ですが、付与されるポイントが独自ポイントであり、ポイント交換先も「チケット」「グッズ」などに限定され、「球団内で消費させる仕組み」が構築されている様子が見受けられます。既存ファンの囲い込みや、他球団への流出を防止することを目的としているのでしょう。
ただし、「独自ポイントによる囲い込み」は万能の施策ではなく、「他社ポイントと交換できる仕組み」を用意するほうが、新規のファンが流入しやすくなる場合があるかもしれません。独自ポイントには、「この店舗・サービスでしか使えないポイントなら、貯めるのをやめておこう」と考えるファンが一定数出てしまうリスクがあります。特に利用期限がある場合、ライトなファンにとっては消費のタイミングが少なく、メリット感も薄くなりがちです。ファン層の拡大を目指すのであれば、「独自ポイントによる既存ファンの囲い込み効果」と「他社と交換可能な仕組みを用意することによる新規ファンの流入」のメリット・デメリットを精査し、自社に適した施策を講じることが大切です。
まとめ
プロ野球の球団ファンクラブでは、既存ファンのモチベーションを維持したり、新規ファンを獲得したりするために、さまざまなポイント施策を実施しています。
業界全体の傾向としては、「ステージ」などの会員種別制度を設けていることや、「独自ポイントを付与し、交換先もチケットやグッズに限定することで、球団内部で消費させる」という戦略を採用していることが挙げられるでしょう。
ただし、独自ポイントには、「この店舗・サービスでしか利用できないのなら、貯めるのをやめておこう」と考えるファンが一定数生じてしまうリスクがあります。そのため、各業界でファンクラブを運営している事業者や、これからファンクラブの運営を開始する予定の事業者は、「他社ポイント(共通ポイントなど)と交換可能な仕組み」を提供することも選択肢として考えると良いかもしれません。
例えば、ジー・プランのソリューションのひとつ「Gポイント交換」なら、独自ポイントを、Gポイントを経由して100種類以上の銘柄に交換することが可能になります。ファンクラブでポイントサービスを実施するのであれば、独自ポイントの提供と併行して、「Gポイント交換」も導入してみてはいかがでしょうか。
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