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デジタル遺産の相続は可能?現時点の法制度や今後の動向を解説

ポイント活動に励む人や、マイナポイントを受け取る人が増加中です。これからは、各種デジタル資産を遺して亡くなる方も増えるかもしれません。ポイントサービスを運営する企業は、ポイント保有者が亡くなった際の対応について、利用規約のなかで定めておくほうがよいでしょう。

本記事では、デジタル資産の種類ごとに、現時点における相続の可否をご紹介します。今後の動向についても解説するので、ぜひ参考にしてください。


この記事のポイント

  • ポイント1 今後、デジタル遺産を遺して亡くなる方が増えるかもしれない

  • ポイント2 法整備が進んでいないため、業者ごとに相続に関する取り扱いが異なる
  • ポイント3 海外の事例も参考にしつつ、専門家に相談して利用規約を定めるべき


目次[非表示]

  1. 1.「デジタル遺産」とは
  2. 2.デジタル資産の種類ごとに、相続の可否をご紹介
    1. 2.1.「電子マネー」の場合
    2. 2.2.「マイル」の場合
    3. 2.3.「ポイント」の場合
  3. 3.デジタル遺産の相続のあり方は、今後どのように変化していくのか
  4. 4.まとめ


「デジタル遺産」とは

デジタル遺産とは、故人が遺した「財産的価値を有する電磁的記録」のこと。具体的には、「電子マネー」「マイル」「ポイント」などが挙げられます。

金融資産(銀行口座の残高や株式など)や不動産に比べて少額なので、放置されているケースや、郵送物が届かないために「どの企業の電子マネー、マイル、ポイントを、どのくらい保有していたのか」を遺族が正確に把握できなないまま、有効期限切れになるケースもあるでしょう。

しかしながら、昨今、ポイント活動に励む方が増え、マイナンバーカードの普及によってマイナポイントを受け取る方も増加中です。近い将来、多額のデジタル資産を遺して亡くなる方が増えるかもしれません。一般消費者側も企業側も、デジタル遺産の相続について理解を深めておく必要があります。


デジタル資産の種類ごとに、相続の可否をご紹介

以下、代表的なデジタル資産である「電子マネー」「マイル」「ポイント」について、2022年12月時点における相続の可否をご紹介します。


「電子マネー」の場合

電子マネー」(および「スマートフォン決済サービス」)の場合、業者ごとに、残高の相続の可否が異なります。以下は、「相続可能」とされているサービスの例です。

  • Suica
  • LINE Pay
  • PayPay
    ​​​​​​​

反対に、「相続不可」とされているサービスの例を以下に示します。

  • nanaco


現状では、利用規約に残高の相続について「可能」とも「不可能」とも記載されていないケースも多いことにご留意ください。不明な場合は、業者に問い合わせましょう。


「マイル」の場合

JALおよびANAのマイレージプログラムに関しては、マイルを相続することが可能です。

飛行機を頻繁に利用していた場合、大量のマイルが貯まっている可能性もあります。放置するのではなく、遺族が相続したうえで、飛行機に搭乗する際などに有効活用してはいかがでしょうか。


「ポイント」の場合

ポイント」に関しては、基本的に「相続不可」とされています。

ただし、家電量販店のポイントについては「相続可能」なケースもあるので、電話などで問い合わせてみましょう。


デジタル遺産の相続のあり方は、今後どのように変化していくのか

ここまでご紹介してきたように、現状では業者ごとにデジタル遺産の相続の可否が異なります。ただし、消費者団体から「消費者契約法上問題である」と指摘されていることもあり、利用規約のなかに相続に関する規定を盛り込む業者が増加中です。

上述したLINE PayPayPayも以前は相続不可とされていましたが、消費者団体の指摘を受けて規約が改定され、相続が可能になったという経緯があります。今後、さまざまな電子マネーやポイントの利用規約が改正され、相続可能になるかもしれません。

なお、海外では「デジタル遺産」に関する法整備が日本よりも進んでいるので、各国の法制度を参考にすることも有益です。デジタル遺産に関して、EUでは「人格権」の保護を基調としているのに対し、アメリカでは州によって差があるものの、「財産権的な性質」に着目して保護しようという傾向が見受けられます。

日本では、まだ法整備が進んでいないこともあり、各業者の利用規約の内容が統一されていません。今後の動向を注視しつつ、海外の事例も参考にしながら、弁護士などの専門家と相談して利用規約を定めてください。


まとめ

ポイントサービスを運営する際には、相続に限らず、さまざまなケースについて「利用規約」のなかで定めておく必要があります。しかしながら、社内に法律に詳しい人材(弁護士など)がいない場合、どのように対応するべきか判断できないかもしれません。

「利用規約の策定を行う人的リソースがない」とお悩みの場合は、オリジナルポイントの代わりに、ジー・プランが提供するポイントサービス「Gポイント」を導入することも選択肢のひとつです。Gポイントなら、100種類以上の各種ポイント・電子マネー・マイルなどと交換することが可能です。新規顧客の獲得につながるだけでなく、ポイントサービスそのものをアウトソーシングすることで、法務を含めたポイント運営の負担を大幅に軽減することができるでしょう。


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監修者:弁護士 米山 清貴 

米山法律事務所(豊島区南大塚)。中小企業支援や事業再生などの他、後見や相続などの資産承継をはじめ一般民事を幅広く取り扱っている。

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佐藤拓真
佐藤拓真
2018年頃からライターとして活動。「企業がポイントサービスを活用する方法」「ポイントを活用したビジネスのトレンド」「ポイントを活用したマーケティング手法」「ポイント制度やシステムに関する基礎知識」などについて、フラットな視点からレポートしています。私は「ポイント活動(ポイ活)」が注目されるようになる前から、さまざまなポイント(電子マネー、マイルなどを含む)を貯めてきました。自分自身の経験も踏まえて記事を執筆していくので、企業でポイント制度の導入・運用に携わっている方の参考になれば幸いです。

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