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食品メーカーのポイント制度|事例に見る付与と特典の設計

スーパーやコンビニの棚に並び、毎日の食卓に届く食品。その一方で、「誰が・いつ・どれだけ買っているのか」という購買データは、メーカーの手元に残りにくい商品です。小売店を介した間接流通が中心のため、せっかく商品を選んでくれた消費者とのつながりが、一度の購買で途切れてしまいがちです。特売やキャンペーンで一時的に売上が伸びても、施策が終われば別の商品に手が伸び、また次の一手を打つ。そんな繰り返しに心当たりのある方もいるのではないでしょうか。こうした状況を変える手段として、自社のポイントプログラムを通じて消費者と直接つながり、継続的な関係を築く食品メーカーが増えています。

この記事では、明治、カルビー、キユーピー、そして2026年9月に始まった日清食品の「カプポ」など、食品メーカー各社の実際の取り組みをもとに、ポイントを「どのように付与し、何を特典にするか」という設計の共通点を整理します。あわせて、その設計で起きやすい課題と、会員が貯め続けたくなる使い道(特典)を見直すときの観点、その実現を支える具体的なソリューションもご紹介します。

※ 本記事の各社情報は、2026年9月30日時点の公式サイト・プレスリリース・報道をもとにしています。条件は変更される場合があります。

<この記事のポイント>

  • ポイント1 購買データが小売側に残る食品メーカーで、自社ポイントによる直接接点づくりが広がっている
  • ポイント2 付与はパッケージコード・レシート・行動の3型、特典は自社特典・応募型・ランク制が中心
  • ポイント3 自社特典はファン化に効く一方ライト層に届きにくく、特典の幅が継続を左右する

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目次[非表示]

  1. 1.なぜ食品メーカーが自社ポイントを始めているのか?
    1. 1.1.間接流通が中心の食品メーカーは、購買者を個人単位で把握しにくい
    2. 1.2.目的は値引きではなく「直接接点」と「ファン化」
  2. 2.食品メーカーのポイントプログラムにはどんな事例があるのか?
    1. 2.1.明治「明治ポイント」
    2. 2.2.カルビー「ルビープログラム」
    3. 2.3.日清食品「カプポ」
    4. 2.4.フジッコ「フジッコイン」
    5. 2.5.キッコーマン豆乳「まめレージ」
    6. 2.6.キユーピー「キユーピーポイント」
    7. 2.7.カゴメ「&KAGOME」
    8. 2.8.食品メーカー各社のポイントプログラム比較
  3. 3.ポイントの付与方法は3パターン、それぞれの向き・不向きは?
    1. 3.1.購買の証明の確実さと参加の手軽さは両立しにくい
    2. 3.2.パッケージのコード型(日清食品・カルビー)
    3. 3.3.レシート投稿型(フジッコ・キッコーマン豆乳)
    4. 3.4.行動付与型(明治・キユーピー・カゴメ)
    5. 3.5.ポイント付与3パターンの比較
  4. 4.なぜ食品メーカーの特典は「自社特典・応募型」が中心なのか?
    1. 4.1.自社特典・応募型には、ブランド体験と原資管理の面で合理性がある
    2. 4.2.ブランド体験・世界観を直接届けられる
    3. 4.3.1ポイントの単位が小さく、金銭的な価値に換算しにくい
    4. 4.4.特典にかける費用をコントロールしやすい
    5. 4.5.ランク制で「よく買ってくれる人」に報いる
  5. 5.自社特典・応募型の設計で起きやすい課題は?
    1. 5.1.ヘビー層の満足度は高めやすい一方、ライト層・新規層を取りこぼしやすい
    2. 5.2.欲しい特典がない人には、貯める理由がなくなる
    3. 5.3.上位ランク限定の特典は、よく買う人にしか届かない
    4. 5.4.有効期限までにゴールに届かないと、途中離脱につながる
  6. 6.ポイントプログラムを見直すときのチェックポイントは?
    1. 6.1.付与の手間は、継続して参加できる範囲か
    2. 6.2.ライト層でも届く「小さなゴール」があるか
    3. 6.3.ブランドごとに会員が分かれていないか
    4. 6.4.特典は自社特典だけで十分か
  7. 7.自社特典を生かしながら、より多くの人に「貯める理由」を届けるには?
    1. 7.1.ポイント・コンセント:自社ポイントを他社ポイントに直接交換できる
    2. 7.2.PCT LITE:電子ギフトを介して、主要な共通ポイントに交換できる
    3. 7.3.ポイント・コード:自社ポイントをコードにして、商品や店頭から配れる
  8. 8.よくあるご質問
    1. 8.1.Q. 食品メーカーが自社ポイントを始める目的は何ですか?
    2. 8.2.Q. パッケージのコードとレシート投稿は、どちらが良いですか?
    3. 8.3.Q. 特典は自社商品やグッズだけでも効果がありますか?
    4. 8.4.Q. 会員ランク制度は食品メーカーのポイントでも有効ですか?
    5. 8.5.Q. 自社特典を残したまま、共通ポイントへの交換先を追加できますか?
    6. 8.6.Q. まだ会員になっていない人にも、自社ポイントを配れますか?
  9. 9.まとめ
  10. 10.おすすめの資料はこちら

なぜ食品メーカーが自社ポイントを始めているのか?

食品メーカーが自社ポイントを始める主な理由は、小売店を介して販売する流通構造の中で、購入者と直接つながる接点を自社で持つためです。多くの事例では、ポイントは値引きの手段ではなく、会員IDを軸にした関係づくりとファン化の手段として位置づけられています。

間接流通が中心の食品メーカーは、購買者を個人単位で把握しにくい

小売店を通じて商品を販売する食品メーカーは、原則として、自社商品を「誰が」「どのくらいの頻度で」買っているかを個人単位で把握できません。レジで記録されるPOSデータや、小売店のポイントカードにひもづく購買履歴は、小売側が保有するデータだからです。

この構造のもとでは、メーカーが得られる情報は集計された販売実績が中心になります。その結果、よく買ってくれる顧客を特定したり、その顧客に新商品やキャンペーンの情報を直接届けたりすることが難しくなります。自社ポイントは、消費者自身にパッケージやレシート、会員登録などを通じて購買や行動を申告してもらうことで、この「見えない購買者」を会員として把握するための仕組みです。

同じ構造は飲料メーカーにも共通しています。飲料メーカーの事例と論点はこちらの記事で解説しています。

目的は値引きではなく「直接接点」と「ファン化」

食品メーカーの自社ポイントは、多くの場合、購入のたびに価格を下げる値引き施策ではなく、消費者との直接接点をつくり、ファンとしての関係を深めることを目的としています。

各社のポイントの仕組みは次の章で詳しく紹介しますが、ここでは、各社がポイントの目的をどのように位置づけているかを整理します。

たとえば明治は、「明治ポイント」の本格運用を発表したリリース(2025年1月)の中で、ポイントの狙いを「購入、体感、継続購入のマーケティングサイクル」の効率化や、「お客さまとの双方向コミュニケーション」と説明しています。また、キッコーマンソイフーズで「キッコーマン豆乳 まめレージ」の企画・運営を担う担当者は、豆乳が他社の特売などに購買行動を左右されやすい商材であることを踏まえ、「あえてキッコーマン豆乳を選んでいただく」ための理由づくりが欠かせないと語っています。

これらに共通するのは、ポイントを「1回の購入を安くする仕組み」ではなく、「次もこのブランドを選んでもらう仕組み」として設計している点です。この目的の違いが、後述する特典設計の特徴にもつながっています。

食品メーカーのポイントプログラムにはどんな事例があるのか?

食品メーカーのポイントプログラムは、付与の方法で見ると「パッケージのコード型」「レシート投稿型」「行動付与型」の3つに分かれます。特典は、自社商品やグッズなどの自社特典、キャンペーンへの応募・抽選、会員ランクに応じた特典が中心です。ここでは代表的な事例を、付与の方法と特典に絞って紹介します。

明治「明治ポイント」

明治ポイントは、2025年1月に本格運用が始まった行動付与型のポイントです。会員限定キャンペーンへの参加や、明治のWebサービス・アプリの利用によって貯まります。貯めたポイントは、店頭で明治の商品と交換できるクーポンに引き換えられます。

カルビー「ルビープログラム」

カルビーのルビープログラムは、「折りパケ運動」マークの付いた商品のパッケージを折りたたみ、アプリでスキャンすると「ルビー」が貯まるパッケージ型の仕組みです。貯めたルビーは、ファンミーティングや商品詰め合わせ、オリジナルグッズといった体験プログラムや、キャンペーンへの応募に使えます。ランク制度があり、ルビーの有効期間は獲得日から翌年の同月末までです。パッケージを小さく折りたたむことでごみのかさを減らすという、環境面の狙いもあわせ持っています。

日清食品「カプポ」

日清食品のカプポは、カップヌードルブランドの対象商品(レギュラーサイズ11種、随時追加)のフタにある二次元コードをスマートフォンで読み込み、1食ごとに1ポイントが貯まるパッケージ型の仕組みです。ブランド55周年の施策として、2026年9月28日に始まりました。

特典は、ポイントを使って先着で受け取れる「交換リワード」と、上位ランク(BIGランク以上)の会員だけが応募できる「抽選リワード」の2種類です。累計ポイントに応じて「ミニランク」から会員ランクが上がり、上位ランクほど応募できるリワードが広がります。ポイントは、リワードの交換・応募に使う「応募ポイント」と、ランクアップに関わる「年間累計ポイント」の2種類で、いずれも初めて二次元コードを読み取った日から1年で失効します。1年経過時点の年間累計ポイントに応じて、翌年度のランクが確定する設計です。

フジッコ「フジッコイン」

フジッコの「フジッコイン」は、商品の購入レシートを投稿してポイント(フジッコイン)を貯めるレシート投稿型の仕組みです。貯めたポイントに応じてランクが決まり、ランクごとに用意された特典の抽選に応募できます。

キッコーマン豆乳「まめレージ」

キッコーマン豆乳の「まめレージ」は、LINEミニアプリで対象商品のレシートをアップロードしてポイントを貯める、レシート投稿型のロイヤルティプログラムです。ランク制度があり、ランクに応じた特典の賞品が用意されています。

キユーピー「キユーピーポイント」

キユーピーのkewpie ID会員向け「キユーピーポイント」は、会員サイト上での行動にポイントを付与する行動付与型の仕組みです。ポイントは、マイページでのスタンプ集め、野菜スクラッチ、ミッションの抽選、メールマガジンの購読、アンケート回答、通販サイト「Qummy」での買い物で貯まります。貯めたポイントは、キャンペーンへの応募、オリジナルグッズ、Qummyで使えるクーポンに交換でき、有効期限は最後にポイントが付与された日から1年間です。なお、キユーピーには「キユーピー マヨネーズ ファンクラブ」もあり、こちらはファンクラブ内のアクションに応じたポイント・ランク(バッジ)を別に運用しています。

カゴメ「&KAGOME」

カゴメのファンコミュニティ「&KAGOME」は、サイト上のアクションにポイントを付与する行動付与型の仕組みです。&KAGOMEでは、会員登録やログイン、掲示板への投稿などのアクションに「トマトポイント」が付与され、貯めたポイントは不定期開催の「スピードくじ」に使えます。カゴメのファンコミュニティ運営については、ファンマーケティングの記事でも紹介しています。

食品メーカー各社のポイントプログラム比較

企業・プログラム名

付与の方法

主な特典

ランク制

明治「明治ポイント」

行動(会員限定キャンペーン参加、Webサービス・アプリ利用)

店頭で使える自社商品の引換クーポン

-

カルビー「ルビープログラム」

パッケージ(折りたたんだ袋をアプリでスキャン)

体験プログラム(ファンミーティング、詰め合わせ、グッズ)、キャンペーン応募

あり

日清食品「カプポ」

パッケージ(フタの二次元コード、1食1pt)

先着の交換リワード、上位ランク限定の抽選リワード

あり

フジッコ「フジッコイン」

レシート投稿

ランクに応じた特典への応募

あり

キッコーマン豆乳「まめレージ」

レシート投稿(LINEミニアプリ)

ランク特典の賞品

あり

キユーピー「キユーピーポイント」

行動(スタンプ、スクラッチ、ミッション、アンケート等)+自社通販での購入

キャンペーン応募、グッズ、通販クーポン

ポイント自体にはなし(マヨネーズ ファンクラブは別途ランクあり)

カゴメ「&KAGOME」

行動(会員登録、ログイン、投稿など)

スピードくじ(不定期開催)

-

※ 2026年9月30日時点の各社公式情報・報道をもとに作成。「-」は公式情報に記載がない項目です

ポイントの付与方法は3パターン、それぞれの向き・不向きは?

ここまでの事例を見ると、食品メーカーのポイント付与は「パッケージのコード型」「レシート投稿型」「行動付与型」の3つに分かれます。どの方法にも強みと弱みがあり、優劣があるわけではありません。購買データを確実に取りたいのか、まずは接点の数を増やしたいのかという目的によって、向いている方法が変わります。ここからは、それぞれの方法の強みと弱みを比べます。

購買の証明の確実さと参加の手軽さは両立しにくい

3つの付与方法を比べると、「本当に商品を買ったか」を確実に確かめられる方法ほど、消費者や事務局に手間がかかる傾向があります。反対に、参加の手軽さを優先すると、購買との結びつきは弱くなります。

そのため、付与方法を選ぶときは「どの方法が優れているか」ではなく、「ポイントプログラムで何を得たいか」から考えることが大切です。商品ごとの購買データを取りたいのか、購入のタイミングや店舗まで知りたいのか、まずはブランドとの接点を広げたいのかによって、選ぶべき方法は異なります。

パッケージのコード型(日清食品・カルビー)

パッケージのコード型は、商品のパッケージに印刷されたコードやマークをスマートフォンで読み取ってポイントを付与する方法です。日清食品の「カプポ」はフタの二次元コード、カルビーの「ルビープログラム」は折りたたんだパッケージのマークを読み取る仕組みを採用しています。

この方法の強みは、商品そのものが購買の証明になることです。どの商品が、どのくらいの頻度で読み取られたかを、商品単位で把握できます。食べ終わったあとにコードを読み取る行動が、ブランドとの接点になる点も特徴です。

一方で、コードやマークを載せるためにパッケージの仕様を変更する必要があり、対象商品を後から増やすにも準備が必要です。消費者にとっても、食べるたびに読み取る手間がかかるため、こまめに参加する人とそうでない人の差が出やすくなります。

レシート投稿型(フジッコ・キッコーマン豆乳)

レシート投稿型は、対象商品を購入したレシートを撮影・投稿してポイントを付与する方法です。フジッコの「フジッコイン」や、キッコーマン豆乳の「まめレージ」が採用しています。

この方法の強みは、パッケージを変えずに始められることです。対象商品の設定を柔軟に変えやすく、レシートからは購入した日付や店舗といった情報も読み取れます。

一方で、消費者には買い物のたびにレシートを撮影・投稿する手間がかかります。事務局側にも、投稿されたレシートの内容を確認し、不正や重複を防ぐ仕組みが必要です。

行動付与型(明治・キユーピー・カゴメ)

行動付与型は、会員登録やログイン、キャンペーンへの参加、アンケートへの回答、コミュニティへの投稿など、会員サイトやアプリ上での行動にポイントを付与する方法です。明治の「明治ポイント」、キユーピーの「キユーピーポイント」、カゴメの「&KAGOME」がこの方法を取り入れています。

この方法の強みは、購入していなくても接点を作れることです。レシピや記事などのコンテンツ、ファンコミュニティと組み合わせやすく、ブランドに関心を持った段階から会員として関係を築けます。

一方で、ポイントが購買にひもづかないため、「誰が・何を・どれだけ買ったか」という購買データの取得にはつながりにくくなります。そのため、キユーピーのように自社通販での購入をあわせて付与対象にするなど、購買との接点を別に設けるケースもあります。

ポイント付与3パターンの比較

付与の方法

購買の証明

消費者の手間

導入時の準備

取得できるデータ

パッケージのコード型

確実(商品そのものが証明になる)

食べるたびに読み取りが必要

パッケージの仕様変更

商品単位の購買・読み取り履歴

レシート投稿型

確認できる(レシートの審査が前提)

買い物のたびに撮影・投稿が必要

レシートの確認・審査の仕組み

購入商品、購入日、購入店舗

行動付与型

原則として購買にはひもづかない

比較的少ない

会員サイト・アプリ、コンテンツの用意

行動履歴、関心、アンケート回答

なぜ食品メーカーの特典は「自社特典・応募型」が中心なのか?

付与の方法は各社で分かれる一方、特典の設計には共通点があります。食品メーカーのポイント特典は、自社商品やオリジナルグッズ、体験プログラムといった自社特典と、キャンペーンへの応募・抽選が中心です。これは、各社がポイントの目的を値引きではなくファン化に置いていることに加え、ブランド体験を届けやすい、ポイントの単位が小さい、特典にかける費用を管理しやすいといった、実務上の理由があるためです。

自社特典・応募型には、ブランド体験と原資管理の面で合理性がある

自社特典や応募型の特典は、「ポイントの使い道が限られている」と見られることもあります。しかし、食品メーカーのポイントプログラムの目的から考えると、こうした設計には十分な理由があります。

ポイントで実現したいのが「次もこのブランドを選んでもらうこと」であれば、特典もブランドとの関係を深めるものであることが自然です。また、1回の購入で付与されるポイントが小さい商材では、特典の形式を工夫しなければ「貯める楽しさ」をつくりにくくなります。さらに、特典にかける費用をあらかじめ見積もれることは、継続的な運用にとって欠かせない条件です。以下では、こうした理由を順に整理します。

ブランド体験・世界観を直接届けられる

自社特典の最大の強みは、値引きでは届けられないブランド体験を、会員に直接届けられることです。カルビーの「ルビープログラム」がファンミーティングなどの体験プログラムを用意しているように、限定グッズやイベントといった特典は、そのブランドでしか得られない価値になります。

こうした特典は、金銭的な価値が大きくなくても、「選ばれた」「参加できた」という特別感や達成感につながります。ファンとの関係を深めるうえで体験価値が果たす役割については、ファンマーケティングの記事でも解説しています。

1ポイントの単位が小さく、金銭的な価値に換算しにくい

食品は1回あたりの購入金額が小さい商材です。日清食品の「カプポ」のように1食ごとに1ポイントを付与する設計では、ポイントを値引きや金銭的な特典に換えると、1回あたりの還元はごく小さくなります。

そこで有効なのが、応募・抽選型の特典です。少ないポイントでも大きな特典に応募できるようにすることで、還元額の大小ではなく、「当たるかもしれない」という期待感でポイントを貯める動機をつくれます。

特典にかける費用をコントロールしやすい

先着型や抽選型の特典は、用意する特典の数量をあらかじめ決められるため、特典にかける費用(原資)を管理しやすい設計です。ポイントの交換が想定以上に増えても、費用が際限なく膨らむことはありません。

日清食品の「カプポ」が、先着で受け取れる「交換リワード」と、上位ランク会員向けの「抽選リワード」を組み合わせているのも、特典の数量を管理しながら、会員の期待感を高める設計といえます。

ランク制で「よく買ってくれる人」に報いる

多くの食品メーカーが、ポイントとあわせて会員ランク制度を取り入れています。日清食品の「カプポ」、カルビーの「ルビープログラム」、フジッコの「フジッコイン」、キッコーマン豆乳の「まめレージ」はいずれもランク制度を設けており、キユーピーも「キユーピー マヨネーズ ファンクラブ」でランク(バッジ)を運用しています。

ランク制度は、購入や参加を重ねた会員ほど上位の特典を受けられるようにすることで、よく買ってくれる人に報い、継続して選んでもらう動機をつくる仕組みです。会員ランク制度の設計の考え方については、会員ランク制度の記事で解説しています。

ただし、こうした設計にも、特典が届きにくい会員層があります。次の章では、その課題を整理します。

自社特典・応募型の設計で起きやすい課題は?

自社特典・応募型を中心とした設計は、ブランドへの関心が高い会員の満足度を高めやすい一方で、関心がそれほど高くない会員や、購入頻度が低い会員には「貯める理由」が届きにくいという課題を抱えやすくなります。ここでは、その設計で起きやすい課題を整理します。

ヘビー層の満足度は高めやすい一方、ライト層・新規層を取りこぼしやすい

自社特典や上位ランク向けの特典は、ブランドをよく知り、繰り返し購入してくれるヘビー層にとっては魅力的です。限定グッズや体験プログラムは、ブランドへの愛着があるからこそ価値を感じられる特典だからです。

一方で、ポイントプログラムに参加する会員は、ヘビー層だけではありません。たまに購入するライト層や、キャンペーンをきっかけに登録した新規層にとっては、同じ特典でも「欲しい」と感じにくく、ゴールまでの道のりも遠く見えます。その結果、ヘビー層との関係は深まる一方で、これから関係を育てたい層ほど途中で参加をやめてしまう、ということが起こりやすくなります。

欲しい特典がない人には、貯める理由がなくなる

特典が自社商品やオリジナルグッズ、抽選に限られていると、ブランドへの関心がそれほど高くない会員には、その魅力が伝わりにくくなります。どれだけポイントが貯まっても、交換したいと思える特典がなければ、ポイントを貯め続ける動機は生まれません。

抽選型の特典も同様です。「当たるかもしれない」という期待感は参加のきっかけになりますが、落選が続くと、ポイントを貯めても手元に何も残らないという印象につながることがあります。

上位ランク限定の特典は、よく買う人にしか届かない

ランク制度は、よく買ってくれる会員に報いる仕組みとして有効です。ただし、魅力的な特典が上位ランクに集中していると、その特典は上位ランクに届くヘビー層にしか届きません。

ライト層にとっては、上位ランクに到達するまでの道のりが長く、「自分には関係のない特典」と受け取られる可能性があります。ランク制度でヘビー層に報いるのと同時に、下位ランクの会員にも手が届く特典を用意できているかが、設計上の分かれ目になります。

有効期限までにゴールに届かないと、途中離脱につながる

ポイントに有効期限がある場合、購入頻度が低い会員ほど、期限内に交換や応募ができるポイント数まで貯まりにくくなります。食品は日常的に購入される商材ですが、特定のブランド・対象商品に限ると、購入のペースは会員によって大きく異なります。

期限までにゴールに届かずポイントが失効すると、会員にとっては「貯めても無駄になった」という体験になり、次の参加をためらう原因になりかねません。独自ポイントの利用期限がライト層のメリット感を下げやすい点は、プロ野球ファンクラブのポイントを扱った記事でも触れています。

ポイントプログラムを見直すときのチェックポイントは?

ポイントプログラムを見直すときは、前章で見た特典の課題に加えて、付与の方法や会員基盤のまとまりもあわせて確認することが大切です。具体的には、「付与の手間」「ゴールまでの距離」「会員基盤のまとまり」「特典の幅」の4つを確認すると、課題のありかが見えやすくなります。いずれも、ヘビー層だけでなく、ライト層や新規層にも「貯める理由」を届けられているかを確かめるための観点です。

付与の手間は、継続して参加できる範囲か

ポイントを貯めるたびにコードの読み取りやレシートの投稿が必要な場合、その手間が会員にとって続けられる範囲かを確認しましょう。最初は参加してもらえても、手間に対して得られるメリットが小さいと感じられれば、参加は続きません。

確認するときは、付与方法そのものを変えるだけでなく、読み取りや投稿の操作をどこまで簡単にできるか、行動付与を組み合わせて購入以外の接点でもポイントを貯められるか、といった観点もあわせて検討できます。

ライト層でも届く「小さなゴール」があるか

購入頻度が低い会員でも、有効期限内に届く「小さなゴール」が用意されているかを確認しましょう。少ないポイントでも交換できる特典があれば、「貯めたら使えた」という成功体験を早い段階で届けられます。

上位ランク向けの特典や大きな抽選はそのままに、下位ランクや少ないポイント数でも確実に手に入る特典を加えることで、ヘビー層とライト層のそれぞれに「次の目標」を示しやすくなります。

ブランドごとに会員が分かれていないか

複数のブランドを持つ食品メーカーでは、ブランドや商品ごとにポイントプログラムや会員が分かれていることがあります。その場合、同じ消費者が複数のブランドを買っていても、ポイントが分散してゴールに届きにくくなり、メーカー側も会員をまとめて把握できません。

ブランド別のプログラムを一つの会員基盤にまとめることで、ポイントを貯めやすくなるだけでなく、ブランドをまたいだ購買の傾向も把握しやすくなります。飲料メーカーでの同様の論点は、飲料メーカーの記事でも整理しています。

特典は自社特典だけで十分か

会員の好みが幅広い場合は、特典が自社特典だけで十分かどうかを検討しましょう。自社特典はブランド体験を届けるうえで重要ですが、ブランドへの関心度が異なる会員にまで、同じように魅力が伝わるとは限りません。

そこで選択肢になるのが、自社特典に加えて、共通ポイントや電子ギフトへの交換を組み合わせる方法です。普段の買い物で使える交換先があれば、ブランドへの関心がそれほど高くない会員にも「貯める理由」を用意できます。自社特典を置き換えるのではなく、会員が自分に合った使い道を選べるようにするという考え方です。

自社特典を生かしながら、より多くの人に「貯める理由」を届けるには?

ライト層や新規層にも「貯める理由」を届けるには、貯めたポイントの使い道を広げることと、ポイントを受け取るきっかけを増やすことの2つの方向から考えると効果的です。使い道が広がれば、すでに会員になっている人がポイントを貯め続けやすくなり、受け取るきっかけが増えれば、まだ会員になっていない人にもプログラムに参加してもらいやすくなります。

どちらも自社で一から仕組みを作ることはできますが、外部のサービスを利用すれば、既存の自社特典や会員基盤を生かしたまま始められます。ジー・プランでは、使い道を広げる2つのサービスと、受け取るきっかけを増やす1つのサービスを提供しています。

「ポイント・コンセント」は、自社ポイントを約150銘柄の他社ポイントに直接交換できるプラットフォームです。交換先ごとの個別契約やシステム開発が不要で、交換に関わるファイル連携を一元化できます。地域ポイントなど、新たなポイントとの接続にも対応しています。

自社商品やグッズ、抽選といった既存の特典はそのまま残し、交換先の選択肢を「追加」できるため、ブランド体験を大切にしながら、ライト層にも「貯める理由」を届けられます。自社ポイントを中長期で運用し、交換先の幅を本格的に広げたい企業に適したサービスです。

PCT LITE:電子ギフトを介して、主要な共通ポイントに交換できる

「PCT LITE」は、電子ギフトを介して、主要な共通ポイントなど計7銘柄に交換できるサービスです。導入方法は、CSVでの納品(2〜4週間)とAPI連携(2〜3か月)から選べます。

まずは小さく始めて会員の反応を確かめたい場合や、周年施策などの期間限定キャンペーンで共通ポイントへの交換を試したい場合に適しています。

ポイント・コード:自社ポイントをコードにして、商品や店頭から配れる

「ポイント・コード」は、自社ポイントを16桁のシリアルコードにして配れるサービスです。本記事で紹介したパッケージのコード型のように商品からポイントを届けるには、コードの発行や受付、二重利用を防ぐ仕組みが必要ですが、ポイント・コードならそれらをそろえた状態で始められます。

商品への貼付やキャンペーンの賞品、店頭のチラシなどでコードを配れば、まだ会員でない人にも届けられます。受け取った人は会員登録をしてからコードを入力するため、配布そのものが新規会員獲得の入口になります。費用は使われたコードの分だけで、受付画面・管理画面・セキュリティ対策はジー・プランが提供します。自社ポイントをコード化する仕組みは、こちらの記事で解説しています。

ポイント・コンセントやPCT LITEで使い道を広げ、ポイント・コードで受け取るきっかけを増やせば、貯め始める理由と貯め続ける理由の両方を用意できます。

よくあるご質問

Q. 食品メーカーが自社ポイントを始める目的は何ですか?

A. 主な目的は、小売店を介して販売する中で、購入者と直接つながる接点を自社で持つことです。多くの事例では、ポイントは値引きの手段ではなく、会員との関係づくりやファン化の手段として位置づけられています。

Q. パッケージのコードとレシート投稿は、どちらが良いですか?

A. どちらが優れているというより、目的によって向き不向きが分かれます。パッケージのコードは購買の証明が確実ですが、パッケージの仕様変更が必要です。レシート投稿はパッケージを変えずに始められ、購入日や店舗も把握できますが、消費者の投稿の手間や、事務局による確認の仕組みが必要です。

Q. 特典は自社商品やグッズだけでも効果がありますか?

A. ブランドへの関心が高いヘビー層には十分な効果が期待できます。一方で、関心がそれほど高くないライト層や新規層には魅力が伝わりにくいため、会員の好みが幅広い場合は、共通ポイントや電子ギフトなどの選択肢を組み合わせることも検討できます。

Q. 会員ランク制度は食品メーカーのポイントでも有効ですか?

A. よく買ってくれる会員に報い、継続して選んでもらう動機をつくる仕組みとして有効です。日清食品やカルビーなど、多くの食品メーカーが取り入れています。ただし、魅力的な特典が上位ランクに集中するとライト層には届きにくいため、下位ランクでも手が届く特典を用意することが大切です。

Q. 自社特典を残したまま、共通ポイントへの交換先を追加できますか?

A. 可能です。ポイント交換のプラットフォームを利用すれば、既存の自社特典はそのままに、共通ポイントや電子ギフトを交換先として追加できます。交換先ごとに個別の契約やシステム開発を行う必要もありません。

Q. まだ会員になっていない人にも、自社ポイントを配れますか?

A. ポイントをシリアルコードの形で発行すれば可能です。コードを受け取った人が会員登録をしたうえで入力するとポイントが付与されるため、配布をきっかけに新規会員の獲得にもつなげられます。

まとめ

食品メーカーのポイントプログラムは、購買データが小売側に残る構造の中で、消費者と直接つながるための仕組みとして広がっています。付与はパッケージのコード・レシート・行動の3つの方法で行われ、特典は自社特典や応募型、ランク制を中心に設計されています。

こうした特典は、ブランド体験を届けるうえで大きな役割を果たします。その強みを生かしながら、ライト層や新規層にも届く使い道や、ポイントを受け取るきっかけを組み合わせることで、より多くの会員に「貯め続ける理由」を用意できます。

ジー・プランでは、自社ポイントの交換先を広げる「ポイント・コンセント」「PCT LITE」と、自社ポイントを会員以外にも配れる「ポイント・コード」を提供しています。特典設計の見直しをご検討の際は、資料ダウンロードまたはお問い合わせからお気軽にご相談ください。

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