大手化粧品会社のポイントサービスを紹介!コロナ禍による低迷から抜け出すヒント
2023年9月下旬時点において、大手化粧品メーカー3社(資生堂、コーセー、ポーラ)はいずれもポイントサービスを実施しており、顧客の獲得にしのぎを削る状況となっています。
化粧品業界はコロナ禍の影響を強く受け、しばらく業績が落ち込んでいました。外国人観光客の増加に伴うインバウンド需要の回復や、ポイント施策の実施によって、低迷した状態から抜け出せるのかどうかに注目です。
本記事では、コロナ禍で低迷した化粧品業界の状況を概観したうえで、大手化粧品会社3社のポイントサービスを紹介します。他業界でポイント施策を担当している方は、化粧品業界における施策も参考にして売上増を実現しましょう
<この記事のポイント>
ポイント1 化粧品業界はコロナ禍の影響を強く受け、全体的に業績が低迷していた
- ポイント2 大手化粧品会社3社は、いずれもポイントサービスに力を入れている!
- ポイント3 インバウンド需要の回復とポイント施策によって業績が回復するか注目
目次[非表示]
化粧品業界は、コロナ禍によって業績が落ち込んだ
2020年からはじまった新型コロナウイルス感染症の世界的な流行によって、外国人観光客が日本を訪問しなくなり、インバウンド需要に支えられていた化粧品業界は大きな打撃を受けました。また、外出自粛が要請され、リモートワークが推奨される中、化粧をする人が少なくなったことも、化粧品の売上が落ち込んだ原因と言えるでしょう。
状況に変化の兆しが見えはじめたのは、2023年に入ってからです。それまで「ゼロコロナ政策」を堅持していた中国が2023年1月8日に方針を転換し、日本政府も5月8日に新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けを「5類相当」に変更したのを機に、外国人観光客が増加し、インバウンド需要が回復に向かいました。
大手3社はポイントサービスの実施などにより、業績回復を図る
新型コロナウイルス感染症流行の影響で化粧品の売上低迷が続く中、大手化粧品メーカー3社(資生堂、コーセー、ポーラ)は呆然と立ち尽くしていたわけではなく、さまざまな施策を展開して、少しでも売上を増やそうと努力していました。
例えば、資生堂は中価格帯の「エリクシール」をリニューアルして宣伝を強化、コーセーは敏感肌用スキンケア製品「カルテHD」シリーズを発売し、売上を伸ばしています。加えて、3社とも「ポイントサービス」に力を入れ、厳しいビジネス環境を勝ち抜くために熾烈な競争を繰り広げてきました。以下、3社のポイント施策を紹介します。
資生堂「Beauty Key」
資生堂は、以前から「ワタシプラス」というオンラインショップにおいて、「ワタシプラスポイント」を付与していました。
2022年9月に「Beauty Key」という会員サービスを立ち上げ、主にスマートフォン用アプリを通じて多種多様なコンテンツ(ブランド情報、動画など)を配信しています。会員は新たに「Beauty Keyポイント」を獲得することが可能になり、保有しているワタシプラスポイントはBeauty Keyポイントに引き継がれました。
Beauty Keyポイントは、Beauty Key参加店でショッピングをすることで、支払金額に応じて貯まります。年間購入金額によって決まる「ステージ」が上がるほど、還元率が高くなる仕組みが採用されていますが、資生堂ブランドのファンをしっかりと繋ぎ止め、他社に流出させないための施策と言えるでしょう。
貯まったBeauty Keyポイントは、オンラインショップにおいて「1ポイント=1円(税込)」の価値で購入代金に充当できるほか、ブランド商品との交換や、食事・温泉・エステなどのサービスを受けるために利用することも可能です。
コーセー「Maison KOSÉ Rewards」
コーセーは、「Maison KOSÉ Rewards」というポイントサービスを提供しています。オンラインショップ「Maison KOSÉ」で商品を購入すると100円(税込)につき1ポイントの「KOSÉポイント」が付与されるほか、レビューの投稿や各種キャンペーンへの参加でも獲得することが可能です。貯まったKOSÉポイントは、オンラインショップで「1ポイント=1円」の価値で商品購入に利用できます。
誕生月には100ポイントのKOSÉポイントを進呈して顧客に「特別感」を与えるなど、購買意欲を喚起するように工夫されています。電気やガス、灯油、食料、ティッシュペーパーなどと異なり、化粧品は「あらゆる人にとって生活に不可欠な商品・サービス」というわけではありません。そのため、「特別感による衝動買い」を誘導することは、化粧品の売上増を実現するうえで重要です。
ポーラ「ポーラ プレミアム パス」
ポーラは、会員向けWebサービス「ポーラ プレミアム パス(POLA Premium Pass)」を展開しています。最新のキャンペーン情報が配信されているほか、スマートフォンアプリと連動させて「肌分析」の詳細データを表示させることも可能です。
ポーラ プレミアム パス会員は、購入金額1円(税抜)につき「1マイル」を獲得でき、貯まったポイントはオリジナルギフトと交換できます。1年間で貯まったマイル数に応じて「クラス」が上昇する仕組みになっており、上位クラスの会員を特別イベントに招待することでロイヤルカスタマー育成を図っています。
化粧品メーカーのポイント施策の特徴
少子高齢化が進行し、日本国内の人口が減少しつつある昨今、新規顧客の獲得は困難になっています。このような時代においては既存顧客を大切することが不可欠であり、大手化粧品会社のポイント施策からも、「自社ブランドのファン・既存顧客を大切にする」「より多くの商品を購入してくれる顧客を優遇し、ロイヤルカスタマーに育てる」といった戦略が見て取れます。
化粧品は「生きるために絶対に必要な商品」ではありません。そのため、新型コロナウイルス感染症の流行や、ロシアによるウクライナ侵攻を原因とする物価上昇など、非常事態が発生すると売上が落ち込みやすくなります。
しかし、化粧品業界の「冬の時代」であるからこそ、ポイントサービスを含めたマーケティング施策を総動員して既存顧客の流出を防ぎつつ、海外市場開拓による新規顧客獲得を実現することが不可欠と言えるでしょう。
2023年9月時点においては、海外からの観光客がコロナ禍以前の水準に戻りつつある状況になりました。インバウンド需要や各社のポイント施策によって化粧品の売上が2019年以前の状態にまで回復し、さらに伸びていくかどうかに注目です。
まとめ
新型コロナウイルス感染症流行の影響で、化粧品業界では売上が大幅に減少しました。しかし、ポイントサービスによる既存顧客の囲い込みや、外国人観光客の増加によるインバウンド需要の回復によって、売上がコロナ禍以前の水準に戻ることが期待されます。
化粧品業界のポイント施策の特徴としては「ステージ制度やクラス制度を導入し、より多くの商品を購入してくれる顧客を大切にする」「自社ブランドのファンを育てる」という点が挙げられますが、人口減少によって新規顧客の獲得が困難になりつつある昨今、他業界であっても同様の施策は有効です。
ただし、ポイントサービスを実施するにあたり、自社の独自ポイントを付与するだけでは新規顧客を獲得しにくいかもしれません。他社・他店舗の顧客を自社・自店舗に誘因するために、「独自ポイントを共通ポイントなどと交換できる仕組み」を提供することも選択肢のひとつです。
ジー・プランでは、法人向けにポイント交換ソリューションを提供しています。例えば、「キャンペーンの景品として共通ポイント(dポイント、楽天ポイントなど)を提供したい」、「レビューや口コミ投稿に対して他社ポイントを付与したい」とお考えであれば大手ポイントや共通ポイントに交換できる電子ギフト「マルチバリューコード」を導入することも検討してみてはいかがでしょうか。
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