
外食チェーンのポイント制度はなぜ刷新が進む?2026年最新トレンドと“貯める・使う”の設計
スシロー、ウェンディーズ・ファーストキッチン、8番らーめん。2026年に入り、外食チェーンが相次いでロイヤルティプログラム(ポイント制度)を刷新しています。これらの動きに共通するのは、単なる特典の拡充ではなく「設計思想の転換」です。
本記事では、各社の公開発表をもとに2026年の刷新トレンドを整理し、自社のポイント制度を検討するマーケティング・CRM担当者が押さえるべき設計の勘所、とりわけ見落とされがちな「ポイントの“出口(使い道)”設計」までを解説します。
<この記事のポイント>
✓ポイント1 2026年の外食ポイント刷新は、「来店回数型」から「購買金額連動・会員ランク制」へと移っている
✓ポイント2 背景には、自社アプリのCRM基盤化が進み、来店頻度だけでなく客単価・LTVを重視する流れがある
✓ポイント3 入口(貯め方)だけでなく“出口(使い道)”の設計が定着の鍵で、外部ポイントへの「交換」が有力な補完策になる
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なぜ今、外食チェーンでロイヤルティプログラムの刷新が相次ぐのか?
2026年に起きている外食チェーンのポイント刷新は、「何回来店したか」を評価する仕組みから、「いくら使ったか」を評価する仕組みへと重心を移しています。その背景には、業界に共通する構造の変化があります。
回数型から金額連動・会員ランク型への移行
今回取り上げる刷新は、「来店ごとにスタンプを押す」「1回の来店で一律1ポイント」といった来店回数型の設計から、購買金額に応じてポイントが貯まり、累計実績で会員ランクが上がる金額連動・会員ランク型への移行を指します。
両者の違いは、評価する顧客行動が「来店の回数」なのか「一定期間の金額」なのか、という点にあります。この違いが、後述するように施策のKPIや顧客へのメッセージを大きく変えます。
アプリのCRM基盤化と、来店頻度偏重からLTV重視への転換
刷新が相次ぐ背景には、外食チェーンにとって公式アプリが「クーポン配信ツール」から「顧客データを蓄積・活用するCRM基盤」へと位置づけが変わりつつあることがあるとみられます。会員IDと購買履歴が紐づくことで、「だれが」「どの頻度で」「いくら使ったか」を把握できるようになります。
これにより、評価軸は「来店頻度」単体から、客単価×来店頻度×継続期間で表されるLTV(顧客生涯価値)へと拡張されます。「多く来てもらう」だけでなく「単価を上げ、長く通い続けてもらう」設計へと転換しているのが、2026年の刷新トレンドの本質です。
“来店スタンプ”から“金額連動ランク制”へ
2026年の刷新事例で最も象徴的なのが、来店回数型から購買金額連動・ランク制への転換です。代表的な事例を見ていきます。
スシロー:回数型「まいどポイント」を廃し、金額連動+ランク制へ
あきんどスシローは、公開発表によると、2026年6月1日に新ロイヤルティプログラム「スシローポイント」を開始しました。従来の「まいどポイント」は1回の来店につき1ポイントという回数型でしたが、新制度ではお会計100円(税込)ごとに1ポイントが貯まる金額連動型へと変わりました。
さらにランクアップ制度が導入され、12か月間で累計200ポイントを獲得すると翌月からゴールド会員となり、ポイント付与率が1.5倍に上がります。貯まったポイントは「値引きクーポン」や「グッズ交換」などの特典に交換できる仕組みです。「たべれば、たべるほど貯まる」という訴求どおり、客単価と継続利用を促す設計へと転換したことが読み取れます。
ウェンディーズ・ファーストキッチン:“来店ポイント”から“会計ポイント制”へ
ウェンディーズ・ファーストキッチンは、公開発表によると、2026年5月21日に公式アプリをリニューアルし、新しいロイヤルティの仕組み「First Wendy’s Passport」を導入しました。これまでの“来店ポイント”から、購買金額に連動した“会計ポイント制”へと進化させた点が特徴です。
税込100円ごとに10ステージポイントが付与され、累計に応じてランクが上昇し、ランクに応じた特典が提供されます。「使うほどランクが上がり、特典も手厚くなる」階層設計を取っています。スシローと同様に、金額連動×ランク制という設計思想への転換が見て取れます。
回数型と金額連動型でKPIが変わる
回数型と金額連動型では、重視するKPIが異なります。回数型は「来店頻度の最大化」に適し、低単価・高頻度の業態や、まずは来店習慣をつくりたい局面に向きます。一方、金額連動・ランク型は「客単価の引き上げ」や「上位顧客の囲い込み」に適しています。
ただし、金額連動型への移行には注意点もあります。少額利用の顧客にとっては「以前より貯まりにくい」と感じられるケースがあるため、ランク特典や誕生月特典などで「継続する動機」をどう補完するかが設計の重要な論点となります。
自社アプリを軸にしたCRM基盤化と“脱クーポン”
もう一つの大きな潮流が、クーポン配信中心だったアプリを、来店ポイントを軸にしたロイヤルティ基盤へと作り変える動きです。割引で来店を促す“点”の施策から、会員データを蓄積して継続的な関係を築く“線”の設計へと移りつつあります。
8番らーめん:クーポン中心アプリから「来店ポイント」を軸にしたロイヤルティ基盤へ
株式会社ハチバンは、2026年6月1日に8番らーめん公式アプリをリニューアルし、新たにポイントプログラムを導入しました。従来は毎月8日の「8の日クーポン(8%引き)」などクーポン配信が中心でしたが、刷新後はお会計時に「来店ポイント」(1会計につき10ポイント)が付与され、貯まったポイントをクーポンと交換できる仕組みが加わりました。
注目すべきは、事前決済・オンラインショップ・冷凍自動販売機といった店舗外チャネルをポイント交換クーポンの対象外とし、実店舗での利用に主眼を置いている点です。これは、アプリを「割引の入口」から「実店舗の来店データを蓄積する基盤」へと位置づけ直す設計意図と読み取れます。
狙いは会員ID・購買データの自社蓄積
こうした“脱クーポン”の狙いは、「会員IDと購買データを自社に蓄積すること」にあります。単発のクーポン配信は来店のきっかけにはなっても、「だれが・どの頻度で・何を買ったか」を継続的に把握する基盤にはなりにくいためです。
来店ポイントを軸に会員データが蓄積されれば、ロイヤル顧客の可視化や高頻度層の特定が可能になり、One to Oneの販促や休眠顧客の掘り起こしといった次の施策につなげられます。クーポンによる短期的な来店促進と、会員データ蓄積による中長期的な関係構築を切り分けて設計することが、実務上の要点となります。
ブランド横断で進む“グループ共通ポイント”化
もう一つ広がりつつあるのが、複数ブランドを束ねた「グループ共通ポイント」です。ブランド単位ではなく企業(グループ)単位で顧客を囲い込む発想で、グループ内のどのブランドを利用してもポイントが貯まり、共通で使えるようにします。
サンマルク:19ブランドを束ねる統合アプリ「myサンマルク」で全ブランド共通ポイントを導入
サンマルクグループは、公開発表によると、2026年2月に同グループ19ブランド・約370店舗で使えるブランド横断の統合型公式アプリ「myサンマルク」を始動しました。各ブランドの情報を一つのアプリに集約するとともに、アプリ内のデジタル会員証をPOSで読み取ることで、ブランドを横断してグループ共通ポイントを貯めて使えるようにした点が特徴です。
あわせて、共通の会員基盤を持つことで、ブランドや店舗を横断した利用状況の分析や、地域・店舗単位でのリアルタイムな販促が可能になります。同グループは45ブランド・877店舗を展開しており、「サンマルクカフェ」など主要ブランドも順次参画していく予定とされています。
ブランド単位から「企業単位」の囲い込みへ
グループ共通ポイントの本質は、囲い込みの単位を単一ブランドから企業(グループ)全体へ広げることにあります。複数業態を持つ企業にとって、ブランドごとに分断されたポイントは顧客の回遊を生みにくく、データも分散しがちです。
共通ポイント化により、「朝はカフェ、昼はパスタ、夜はレストラン」といったグループ内の回遊を促し、1人の顧客の利用機会を最大化できます。同時に、ブランド横断で顧客データを統合できるため、グループ全体でのLTV最大化に向けた施策設計が可能になります。
入口の次に効いてくる、ポイントの“出口(使い道)”設計
ここまで見てきた各社の刷新は、いずれも自社(グループ)の経済圏を強くし、顧客に自店へ戻ってきてもらうための設計です。8番らーめんが店舗外チャネルをポイント対象外にしたように、まずは“自店で貯めて・自店で使ってもらう”を徹底するのは、理にかなった選択といえます。
そして各社が入口(貯め方)の設計を高度化させている今、自然と視野に入ってくるのが、貯めたポイントを「どう使ってもらうか(出口)」というテーマです。これは特定の企業の課題というより、ロイヤルティを磨き込むほど多くの企業が次に向き合う、共通の設計論点といえます。
使い道が限られると、ポイントは“貯まるだけ”で離脱・失効を招く
自社ポイントの使い道が「自店の割引クーポン」などに限定されていると、来店頻度が低い顧客や、貯まるスピードが遅い顧客ほど「使い切れないまま失効する」状態に陥りやすくなります。これは「貯める動機」そのものを弱め、アプリ離脱や休眠化を招くリスクになります。
特に金額連動・ランク型へ移行すると、上位ランクの魅力は高まる一方で、ライト層にとっては「貯まりにくく、使いにくい」と感じられがちです。出口(使い道)の幅を広げ、どの顧客層にとっても「貯める価値がある」と思える状態をつくることが、定着させる鍵になります。
自社ポイントを他社ポイントへ「交換」できるようにする
ここで有効なのが、自社ポイントを他社ポイント(共通ポイントなど)へ「交換」できるようにすることです。これだけで使い道が広がり、ポイントの利便性を底上げできます。
外部へ交換できるようにすると聞くと、「せっかく囲い込んだ顧客を外へ逃がすのでは」と感じるかもしれません。しかし狙いはその逆です。囲い込みの網から外れがちなライト層や、失効間近のポイントに“受け皿”を用意し、エンゲージメントを保つことが目的です。自店利用を主軸に据えたまま、出口の一部だけを外に開く、という補完的な使い方です。
次章では、こうした“出口”設計を現実的に実現する具体的な手段として、ジー・プランのソリューションを紹介します。
ポイントの価値を高めるジー・プランのソリューション
今回のように、囲い込みを主軸に据えつつ出口の一部だけを補完したい場合は、大きな基盤を新設するよりも、小さく始められる手段から検討するのが現実的です。ジー・プランの『PCT LITE』は、まさにそうしたライトな出口拡張に向いたソリューションです。
スモールスタートで“出口”を広げられる『PCT LITE』
『PCT LITE』は、電子ギフトの仕組みを介して、自社ポイントを他社ポイント・サービスへ引き換えられるサービスです。本格的なシステム連携を新たに組まなくても、既存システムへの改修を最小限に抑えて始められる点が特徴で、対応銘柄は主要な共通ポイント等の7銘柄に絞っています。
- 対応銘柄:Vポイント・PayPayポイント・Pontaポイント・dポイント・nanacoポイント・WAON POINTといった主要ポイントとAmazonギフトカードの計7種類
- 導入期間の目安:CSV納品なら2〜4週間、API連携なら2〜3ヶ月(自社システムからオンデマンドで発行)
- 特徴:大規模な基盤新設が不要で、既存システムへの改修を最小限に抑えて開始できる
キャンペーンや期間限定の交換施策と相性がよく、ロイヤルティ刷新の初期検証や、ライト層・失効対策の受け皿づくりの第一歩として活用しやすい選択肢です。囲い込みを主軸に置いたまま、出口の一部だけを小さく試したい場合に向きます。
まとめ|2026年の刷新トレンドと設計のチェックポイント
2026年に外食チェーンで相次ぐロイヤルティ刷新は、大きく3つのトレンドに整理できます。
- 来店回数型から購買金額連動・会員ランク制へ
- 自社アプリのCRM基盤化と“脱クーポン”
- ブランド横断のグループ共通ポイントによるグループ単位の囲い込み
そして、これらの入口の刷新を一段と引き立てる“次の一手”になり得るのが、ポイントの“出口(使い道)”設計です。貯める仕組みを整えるだけでなく、貯めたポイントを「どう使ってもらうか」まで設計することで、ライト層の取りこぼしや失効を抑え、顧客価値と継続利用をさらに引き上げられます。
自社のポイント制度を見直す際は、「入口(貯め方)」の刷新とあわせて「出口(使い道)」をどう広げるかを検討することをおすすめします。
ジー・プランでも、自社ポイントの“出口(使い道)”づくりを支えるソリューションをご用意しています。『PCT LITE』のようにスモールスタートで始められる選択肢もありますので、ぜひご検討ください。ご不明な点があれば、下記よりお気軽にお問い合わせください。
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